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124話:レンデに足りないもの

王都に戻った調査隊は、騎士アレスが報告を行い、各自に三日後に王城の騎士団を訪れるように伝えた後、解散した。レンデとバラシュは宿屋に戻り、レンデは自室でヘルミオと話していた。


レンデは、自分が戦闘でうまく立ち回れなかったのではないかと心配していた。「本当に自分の力を発揮できたのだろうか?」と、心の中で反芻しながら考えていた。


ヘルミオは、冷静にレンデに語りかけた。「君が実力を発揮できなかったわけではない。実戦の経験が足りないだけだよ。危機的な状況で心を保つのは難しいが、心を鍛えなければならない。火の竜を倒した時の強い心を思い出すべきだ。」


レンデはその言葉を深く受け止め、自分の心の状態に反省し、自己改善に努める決意を固めた。ヘルミオの助言に従い、毎晩瞑想を行い、次に遭遇するであろう敵に迅速に対処するためのイメージトレーニングを続けた。こうして、三日間の準備を重ねた。


三日後、レンデは指定された時間に王城の騎士団詰め所を訪れた。整然とした詰め所の雰囲気に圧倒されながらも、警備の騎士に調査員の報酬を受け取りに来たことを伝えると、その騎士はすぐに案内を始めた。


詰め所の受付には、たくましい体格の女性騎士が座っていた。

「調査員の報酬を受け取りに来た」と伝えると、その女性は、騎士アレスがあなたに話があるのでついてくるように、と告げ、奥の部屋に案内された。


奥の部屋には、アレスが待っていた。部屋の扉が開くと、アレスが立ち上がり、温かく迎え入れてくれた。彼の顔には軽い微笑みが浮かんでいた。


「レンデさん、お疲れ様でした。」アレスが声をかけた。「これまでの活躍についてお話ししようと思います。まずは、こちらにどうぞ。」


レンデは少し緊張しながらも、アレスの言葉に従い部屋の中へと進んだ。アレスは机の前に座り、レンデを席に招き入れた。


「あなたの魔法の使い方についてお話ししたいと思います。調査の結果や各人の貢献についてもお話ししましょう。」アレスは真剣な表情で言った。


レンデはアレスの前に座り、調査の結果や今後の対応について話し合っていた。その中で、アレスがふと口を開いた。


「レンデさん、あなたの魔法の使い方は見事でしたし、実力を高く評価しています。そこで、騎士団の魔術部隊に入ってみないかと考えています。部隊の一員として、さらに成長し、経験を積むことができるでしょう。」


レンデは少し驚いた表情を見せたが、心の中で自分の考えを整理しながら答えた。「ありがとうございます。しかし、私は現在、リーヴァルト王国に対して復讐を考えています。ただし、その対象は黒い魔術師です。彼が恐らく三年前の戦争を引き起こしたのです。そのために黒い魔術師を探しており、騎士団がこの三年間でできなかったことを、自分は別の方法で切り開きたいと思っています。」


レンデ自身もその言葉が出てきたことに驚きながらも、深い決意が込められていた。アレスはその言葉をじっと聞きながら、思索にふける様子を見せた。


しばらく沈黙が続いた後、アレスが慎重に口を開いた。「理解しました。あなたの意志と目標は非常に明確で、尊重します。ただ、実戦経験が不足していることも事実です。そこで提案があります。騎士団の魔術部隊に正式に加わるのは難しいかもしれませんが、実戦訓練には定期的に参加するという形でどうでしょうか?それによって、経験を積むと同時に、黒い魔術師に対する手がかりも得られるかもしれません。」


レンデはその提案を聞き、目を輝かせた。アレスの提案は、自分が求めていた実戦経験を積む絶好の機会であり、また、黒い魔術師に対する手がかりを得る可能性もあると思った。


「それは非常に歓迎する内容です。ぜひ、定期的に実戦訓練に参加させてください。」レンデは快く応じた。


アレスは頷き、満足そうに微笑んだ。「では、正式にその方向で進めましょう。魔術部隊の訓練スケジュールや詳細については、後ほど連絡します。あなたの成長と成功を祈っています。」


レンデは礼を言い、部屋を後にした。

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