１１７話：焦がしつくす
煙が晴れるにつれて、地面の変わり果てた様子がより鮮明に見えてきた。炎が消えた後の地表には、残された炭化物の山が点在し、毒の沼だった頃の面影を完全に消し去っている。空気は徐々に清浄さを取り戻し、煙が薄れていくにつれて、周囲の風景も落ち着きを取り戻していった。
全体として、焼けた地面は荒れ果てた様子でありながらも、毒の沼に代わって清浄な地帯へと変わったことを示している。レンデの魔法によって、かつての危険な沼地が、再び安全な道へと変貌を遂げたのだ。
レンデの魔法が発動し、毒の沼が一瞬で焼き払われる様子を見守っていた隊員たちは、その光景に圧倒されていた。炎の魔法が毒の沼の上に広がり、猛烈な火勢で地面を焼き尽くしていく中、彼らの目は驚きと畏怖の念で見開かれていた。
リナは目を大きく見開き、口をぽかんと開けて言葉を失っていた。炎が一気に広がり、煙が立ち上る中で、彼女の瞳にはその壮大な光景が鮮烈に映し出されていた。「こ…これが、レンデの魔法…？」
アレスもその驚愕の光景に、普段の冷静さを失い、口を軽く開けたまま立ち尽くしていた。彼の顔に浮かんだ表情は、まるで信じられない現実を目の当たりにしたかのような驚きの色を帯びていた。「これが…本当に可能なのか？」
周囲の隊員たちは、火の魔法の威力に驚嘆し、感嘆の声を上げ始めた。ある者は目を凝らしながら、ただただその圧倒的な力に圧倒されていた。別の者は自分の目をこすりながら、まだその光景が現実なのか確認しようと必死になっていた。
「すごい…本当に、毒の沼が消えた！」若い隊員の一人が興奮気味に叫び、その声には信じられないという気持ちが込められていた。彼の視線は地面に残された炭化物の上を彷徨いながらも、目の前の魔法の力に釘付けだった。
レンデは魔法を使い終わり、少し疲れた様子で立ち上がりながら、周囲の反応を目にした。彼の顔には、努力が実を結んだ安堵と、達成感が浮かんでいた。しかし、その表情の裏には、魔法の力が引き起こした驚きと敬意を受け止める複雑な心情もあった。
「まさか…本当にこれほどの力を持っていたなんて。」リナがしばらく沈黙してから、ようやく声を絞り出した。「君の力を侮っていたわけじゃないけど、こんなにすごいとは思わなかった。」
アレスがその後に続けて、力強い声で言った。「レンデ、君の魔法がこの場を救った。君の力には感謝する。これからも、この調子で頼むぞ。」
レンデは息を整えながら、火の魔法が毒の沼を完全に焼き尽くしたことを確認した。周囲に漂っていた毒の匂いも消え、空気が一変した。
「これで、毒の沼はなくなった。」レンデが安堵の声を漏らした。「みんな、安全に進めるようになったはずだ。」
アレスが再び隊全体を見回し、確認のために言った。「よし、毒の沼が片付いたことが確認できた。再び進むぞ。レンデ、よくやったな。」
