113話:募集所での選択
王都ルーメリアの騎士団募集所の広いロビーには、入り口付近に掲示された情報が来訪者たちを迎えていた。レンデは、重厚な扉を押し開けて中に入ると、募集所の賑やかさと活気に包まれた。
彼は騎士団の制服を着た兵士たちと、各種の申請書類を取り扱っている職員たちを見渡しながら、目的の窓口に向かった。
レンデは、窓口で待機している人々を観察しながら、受付係に声をかけた。「こんにちは。リーヴァルト王国の調査隊に参加したいのですが、どのように申し込めばよいでしょうか?」
受付係は、若いレンデに少し驚いた様子であったが、すぐにプロフェッショナルな表情に戻り、手続きの説明を始めた。「調査隊に参加するためには、まずこの窓口で申請を行う必要があります。ここでは、調査隊の詳細や参加条件についての説明を受けることができます。また、調査隊に応募する際には、軍歴や過去の経験についての簡単な面接も行われます。」
レンデは案内されたとおりに申請書類を受け取り、必要事項を記入した。彼の年齢や経験がまだ若干不足していると見られるかもしれないが、魔法の腕前については一切触れることなく、一般的な経験や意欲を記載した。
申請書を提出すると、受付係はそれを受け取り、レンデに待機するよう指示した。「申請が受理されました。次に、簡単な面接と確認が行われますので、こちらでお待ちください。」
レンデは、他の来訪者たちと共に待機エリアに座りながら、周囲の会話に耳を傾けた。人々の中には、リーヴァルト王国の調査隊についての噂話や、恐怖心を語る者もいれば、報酬の話題に盛り上がる者もいた。
「調査隊に参加するには命がけだと聞いたけど、どうしてそんな危険なことを?」と誰かが話すと、周囲が頷いた。「そうだよ、あそこにはもう何があるかわからない。霧に包まれているって話もあるし。」
レンデは、これらの話題を静かに聞き流しながら、自分の決意を新たにしていた。彼が調査隊に参加する理由は、報酬よりもリーヴァルト王国に隠された謎を解明することにあった。自身の能力を試す機会であり、同時に国に対して貢献するための一歩だった。
しばらく待った後、彼の名前が呼ばれ、面接エリアに案内された。レンデは簡潔に自己紹介をし、調査隊に参加する意志と目的について説明した。
面接官は彼の説明を聞きながら、時折頷き、メモを取っていた。「君の目的と意志は理解した。調査隊は非常に困難な任務であり、多くの危険が伴う。しかし、君がこの挑戦を受ける覚悟があることは伝わった。」
レンデはしっかりと目を合わせ、答えた。「はい、リーヴァルト王国の謎を解明し、国に貢献するためには、どんな困難も乗り越える覚悟です。」
面接官はレンデの言葉を受け入れ、最後に頷いた。「了解しました。君の申請は受理されました。後日、調査隊の具体的な編成や訓練についての詳細が連絡されるでしょう。準備を整えておいてください。」
レンデは深く礼をし、募集所を後にした。