109話:竜の霊薬と再会のひととき
レンデはクライン家に戻り、エリスとの再会を果たした。エリスの屋敷に到着すると、彼女が迎えに来てくれた。
「レンデ、おかえりなさい!」エリスは輝く笑顔で彼を迎え、目をキラキラさせた。「お疲れ様!どうだった?」
「ただいま、エリス。」レンデは少し戸惑いながらも、「実は、竜の心臓を持ち帰ったんだ。」と告げた。「ちょっと見せられないけど、霊薬を作るための重要な材料なんだ。」
エリスの目が大きく見開かれ、驚きと喜びが入り混じった表情を見せた。「本当に?それはすごいわ!ありがとう、レンデ。」
「さあ、調薬室に行こう。」エリスは彼を案内しながら、調薬室へ向かうことにした。
クライン家の調薬室は広く、整然とした配置で、壁一面に薬草や器具が並んでいた。レンデはその光景に感心しつつも、「この部屋、すごく整ってるね。」と感心の声を漏らした。
「ええ、ここは私たちの家の自慢の部屋なの。」エリスは微笑みながら言った。「さあ、霊薬の調合を始めましょう。」
レンデはエリスと共に作業に取り掛かることにした。彼は具体的な作業手順を知らなかったが、ヘルミオの指示に従いながら作業を進めることに決めた。
「まず、心臓の処理から始めましょう。」エリスは、心臓を処理するための器具を取り出し、レンデに渡した。
レンデはヘルミオの指示に従って、心臓を切り分ける作業を始めた。彼は慎重に心臓を切り、エッセンスを抽出する準備を整えた。エリスはその間、必要な薬草や器具を用意しながら、レンデに指示を出してくれた。
「次に、心臓から抽出したエッセンスを濃縮するために、この薬草を使います。」エリスは薬草の束を取り出し、レンデにその使用方法を説明した。
レンデはエリスの指示通りに薬草を細かく刻み、エッセンスと混ぜ合わせた。作業中、ヘルミオの指示が繰り返し耳に入ってきた。
「エッセンスが十分に濃縮されたら、次はこの鉱石を加える必要がある。」ヘルミオの声がレンデの耳に届いた。エリスもその指示を確認しながら、青く光る鉱石を取り出した。
「この鉱石はエッセンスの効果をさらに強化するためのものよ。」エリスはレンデに説明し、鉱石を細かく砕くよう指示した。
レンデは鉱石を砕き、エッセンスと混ぜ合わせた。その過程で、エリスは慎重に調整と確認を行いながら、作業をサポートした。
作業は1日半かかり、エリスとレンデは黙々と調合を続けた。エリスの指示とヘルミオのアドバイスに従いながら、レンデは各ステップを慎重にこなし、霊薬の完成を目指して努力を重ねた。
「やっと完成ね。」エリスは、完成した霊薬を瓶に注ぎ終わり、ほっとした様子で言った。
「これでRANKアップができるわ。」
「お疲れ様、エリス。」レンデは微笑みながら霊薬を受け取った。「君のためにできて、本当に良かった。」
「本当にありがとう、レンデ。これで私の力もさらに強化されるわ。」エリスは嬉しそうに瓶を受け取り、感謝の気持ちを伝えた。
その後、エリスとレンデは、クライン家のメイドが用意した食事を共にしながら、一日の出来事を振り返った。レンデはエリスとの再会を喜び、彼女のためにできることに満足していた。