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106話:火竜の怒り、心の炎

火沼の深い霧の中で、レンデは竜の住処を目指して待機していた。しばらくして、火竜が怒り狂ったように現れた。巨体が轟音と共に沼の辺りから飛び出し、その姿を現した。火竜は全身が炎に包まれ、怒りに満ちた目でレンデを見据えていた。


火竜は轟くような咆哮を上げ、巨大なしっぽを地面に叩きつけた。その振動で周囲の岩が揺れ、沼の水面が激しく跳ね上がる。怒りの炎が、辺りの空気を灼熱に変えていた。


レンデは震えながらも、冷静さを保つように努めた。「火竜の体は火に耐性がある…それなら、より高い温度で攻撃しなければ!」と自分に言い聞かせ、火の魔法を使い始めた。だが、火竜の体に火の熱線が当たっても、その効果はほとんど見られない。


「どうすればいいんだ…」レンデは焦り始めた。近くにある大きな岩を魔法で浮かせ、火魔法で溶かして火竜にぶつけようと試みたが、その攻撃もほとんど効果がないようだった。


その時、ヘルミオの声がレンデの耳に届いた。「心を燃やせ!魔力に心を注ぎ込まなければ、かなわないぞ!」


レンデは一瞬困惑した。「心を燃やせ!?どういう意味だ?」と心の中で問いかけた。しかし、火竜が一歩迫ってきて、大きな口を開けて火のブレスを放とうとするモーションを見せた。レンデは背中に冷たい汗を感じ、急いで対策を考えなければならないと感じた。


「国のため、自分のため、エリスのために、守るために燃やせ!」ヘルミオの喝が再び響いた。その言葉にレンデは心を動かされ、背筋が凍るような恐怖が襲ってきた。初級魔法学校でいじめられていた時の恐怖感が突然蘇り、全身が震えた。


「いやだ…あそこには戻りたくない。今、守りたいものがたくさんある!」レンデは心の中で必死に自分に言い聞かせた。守るべきものがある今、自分は以前の恐怖に戻るわけにはいかない。


レンデは再び火竜に向き直り、心の奥底から燃え上がる情熱を魔力に込めていった。心を燃やし、自分の意志と熱意を魔法に注ぎ込む。その瞬間、レンデの周りに炎の光が集まり、火竜に向けて強力な火のブレスが放たれた。


火竜の体に直撃したその炎は、通常の火魔法とは比べ物にならないほどの威力を持ち、火竜の耐性を凌駕する強烈な熱を発した。火竜は苦痛の叫びを上げ、その身に宿る炎が一瞬のうちに激しく揺らめいた。レンデの目の前で火竜が崩れ、倒れる様子が見えた。

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