表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
除霊師シオ  作者: らすく
第2章 除霊師達の活躍
16/19

私はトップアイドル(1)

 ~~~~~ サカの視点 ~~~~~


 もう出番まで余り時間がない。周りはセカセカとしている。私も以前はその立場だった。今はだが今は彼女達に世話をされる側なのだ。

 「サカさんOKだよ。」

 付き人の娘はニッコリと笑う。彼女はいつも愛想のよい女の子だ。彼女は私の無二の親友である。かつては同じアイドルグループのメンバー同士だった。そしてその後、私はソロデビューして大きく飛躍した。一方、彼女はアイドルの道を諦め裏方に回り、私の世話をしてくれているのだ。それでも売れるまでの苦難を共に戦ってきた同志だ。上下関係など私たちの間にはなかった。

 ====== サ、カ、サ、カ、サ、カ! ======

 観客席からの声援が聞こえる。自分の心臓の鼓動の高鳴りを感じる。

 

 自分で言うのもおこがましいけど、今や私はトップアイドルの1人なのだ。今日もステージを満員にするのが自分の使命だと思っている。

 「よし!」

 気合を入れた。そして声援を浴び、私はステージへ躍り出た。しかし・・・。

 「え?」

 拍子抜けとは、正にこのことではなかろうか。これは一体どうしたのだろうか、観客席には誰もいない。あれ程に激しい歓声は、もう存在しない。彼らは何処に行ったのだろうか。

 「え?ええ!?」

 その状態に対して訳が分からない私は、ただ周りをキョロキョロと見回すばかりだ。でも戸惑うのは少しの間だった。すぐに次の展開は訪れたのである。

 ===== ガパッ =====

 「きゃっ!!」

 なんと床がまるで扉のように開き、私は落下したのだった。


 「う、ん・・・・・・。」

 どうやら私は気絶していたようだ。気がつくと、私は自分自身の体を撫でていた。生きている。痛みも感じない。それほど高いところから落ちては無かったようだ。

 (ここは何処なの・・・・?)

 ここは何もない白い壁の部屋だった。本当に物は何も置かれていない。真に不思議な感じなのだ。でもそれ以上に不思議な事が起こった。

 ====== ズウウウウウン ======

 「へ?」

 何なのだろうか。突然に二つの影が、私の目の前に現れたのだった。この扉も窓も部屋に・・・。これはテレポーテーションというやつなのだろうか。その影は人であった。

 「は、はわわ・・・。」

 なんとそれは私の大嫌いな人種なのであった。男性のお医者さんと、女性の看護師さんの二人だったのだ。いや私は別に、彼らの人格が嫌いな訳ではない。自分は子供の頃から、病院が大の苦手だったのだ。だから人が嫌いなのではない。でも・・・・、こんな言い訳をしても嫌なものは嫌なのだ。

 「へ、ひいいい・・・。」

 なんと彼らは無言で私の方に歩いて接近してくる。マスクを着用して表情が見えないところが、より一層に自分の恐怖心を掻き立てられる。勿論、私は後ずさりをする。

 (こ、怖い・・・・、純粋に怖い・・・・。)

 私は・・・・、ヤケクソとなった・・・。

 ===== バリバリバリン!! =====

 私は部屋の壁を破った。当然そんな事ができると思っていなかったが、できてしまったのである。

 「はあっ!!」

 迷わずに私は部屋を勢いよく飛び出した。我ながら後先を考えない性格だと思う。そんな自分の性が生み出した結果は・・・。

 「う、うわあああ!!」

 またしても私は落下した。


 「う、うん・・・・。」

 目が覚めた。でもそこは不思議な場所では無かった。

 「え・・・・?」

 私は病院のベッドで寝ていたのだった。そしてその事は不自然に感じられなかったのである。何故なら自分は分かっているのだ。

 ===== もう私は助からない病なのだ =====

 もう長い事、抗がん剤治療を受けている。痛い、苦しい・・・・髪の毛も抜ける・・・・・。アイドル活動を休止したのは、いつからなのだろうか。もうファンは誰も、私が戻ってくるとは思っていないのではなかろうか。もうかつてのトップアイドルが戻ってこなくても、芸能界は盛り上がっている事だろう。間違いなく代わりに誰かが、自分のポジションを獲得しているはずだ。最早、元通りにはならない・・・・。自分の努力ではどうにもならない・・・。でもそれは誰かのせいでもない。だから怒りをぶつける相手はいない。そんなことは初めから分かっている。だから自分は人生に失望している。私はベッドから降り、部屋の窓際に脚を進めた。

 「自分自身で終わらせる。」

 もう以上は悩みたくない、苦しい治療も受けたくない。だから自ら命を絶つのだ。私は窓から身を乗り出した。しかし・・・・。

 ===== ガシッ =====

 「えっ!?」

 誰かが私の腕を掴んだ。いや自分の良く知った肌触りだ。忘れるハズもない。

 「ウミ・・・・・。」

 振り向くと親友の顔があった。彼女の瞳は涙で溢れていた。

 「サカ、もうやめて・・・・。」

 (心から私を心配してくれているんだね、ウミ・・・・。)

                           

                                     <続く>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ