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除霊師シオ  作者: らすく
第1章 除霊師シオ登場
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紙袋の男(4)

私はこの人が好きだ。私たちは一緒に帰宅した。

「お帰りなさい。」

いつも通り母が笑顔で迎えてくれる。

「ただいま!」

いつも通り私たちもご機嫌なテンションだ。

「今日は豪華よ。何てったって今日は。」

なんだか母は自信満々なご様子だ。・・・・そうだ、母のいう通り今日は・・・・。

「ハッピーバースデー沙月♪ ハッピーバースデー沙月♪ (中略(笑)) ハッピーバースデー テューユー♪♪」 

母と紙袋の男は私の誕生日を祝ってくれた。とても嬉しい!!

小さい(失礼!)ながらも楽しい我が家・・・・!


「はっ。」

気がついたらそこは年期のはいった和室であった。今までの私は一体・・・・・。

沙月さつき、大丈夫!?」

明里あかりの顔を見て私はホッとした。少なくとも自分は安全な状況にあるようだ。正面にはセーラー服の少女が座っていた。それで私は理解した。自分は帰宅して夜中に夢を見たわけではないのだ。明里と共に、この少女のもとを訪ねていた。そして私は意識が何らかの理由で意識が飛んでいたのだ。そう推測される。だがそれがいつのタイミングなのかは分からない。今日なのかもしれないし。はたまた訪ねて行った初日なのかもしれない。実はすべて皆、この私の妄想だったって可能性もある。・・・・・でも目の前にいるセーラー服の少女は、本当に存在しているようだ。ひとまず落ち着くことにしよう。私は出されているお茶に手を付けた。だが話しはそこで終わりではない。さらに予期せぬ事が起こったのだ。

「沙月。」

「えっ!?」

端なく私は大きな声をあげてしまった。何故この人がこの場にいるのだろう。

「隠しててごめんね。沙月。もとはといえば私が頼んだのよ。」

「え?」

意外な場所で会った意外な人。なんと自分の母親だ。私は明里とセーラー服の少女の顔をみた。各々異なる表情であるが少なくとも母が言っていることを否定するものではなかった。では何故、母はここまで早く手を回したのだろうか。その答えは考えるまでもなく判明することとなる。

「お母さん。」

私は問いかける様な口調で呼び掛けた。とにかく理由が分からない。

「実はね。この人が現れたからなのよ。」

「えっ!!」

またしても私は端ない声をあげてしまった。母の横には思いもよらない人が座っていた。その人は紙袋を頭から被っていた。


「こ、この人は。」

もう私は狼狽を隠し得ない。自分の悪夢の、いやもはや恐怖の対象ではない。この人は私の大切な人。私を幼い頃から守ってくれた人。一目を憚らず泣いた。何故なら自分がこの人に対して、したことを思い出したからだ。その時、私は全てを悟った。

「お父さん、ゴメンなさい・・・・。」


私は幼いときに取り返しをつかないことをしたのだ。お父さんは私を脅かそうとして紙袋を被り迫ってきた。勿論、お父さんに悪意はなく、ふざけていただけだった。そして結果は悲惨な結末を迎えた。驚いた私は父を・・・、殺害してしまったのだ・・・・。

「沙月、お父さんはね、今まで私たちを見守っていてくれたのよ。」

「えっ!?」

私は驚いた瞬間、紙袋を被ったお父さんはコクリと頷いた。母は続けた。

「今になって沙月の前にお父さんが現れたのは、沙月が立派に成長したからなのよ。」

「えっ・・・・・。」

もう私は自分の表情を保っていられなかった。

「お父さん・・・、私を許してくれるの・・・・?」

「当たり前よ・・・・。ねえ、父さん・・・。」

再び紙袋を被ったお父さんはコクリと頷く。あくまでも自分の推測なのだが、お父さんが紙袋を被っているのも、言葉を発しないのも何かの霊的は事情があるのであろう。そう考えると自ずと、これからどうなるのか見当がついてきた。

「沙月、お父さんはもう、お別れしなければいけないんだって・・・。沙月が大人になりかけているから、心配なくなって成仏しなければいけないのよ。」

三度、お父さんはコクリと頷いた。紙袋の上からでも私には分かる。お父さんが寂しげな顔をしている事を・・・。私は童女の様に父に飛びついた。そして泣きじゃくっただろう・・・。父は霊体なのだが暖かい感触があった。間違いなく、お父さんだ・・・。できることなら、いつまでも我が身を委ねたい。そんな私の頭を父は優しく撫でてくれた。

「沙月、もうそろそろ・・・。」

母が私の背中を優しく摩った。

「う、ん・・・。」

母の言う通りに、私は父から離れた。私は聞き分けの良い子なのだ・・・・。

「では・・・。」

セーラー服の少女が立ち上がった。それが何を意味するのか、この場にいる自分を含めた全員が理解していた。彼女はゆっくりと右手を上げ、さらにまたゆっくりとその手を降ろした。

(はっ・・・。)

多分、心中で声をあげたのは自分だけではないだろう。もうすべてが終わっていた。紙袋の男・・・、お父さんはもうこの場からは消えていた。まるで最初から、ここにはいなかったかのように・・・。


「おはよう。」

「おはよう、沙月。」

私は母が用意してくれたトーストと卵焼きを食べた。本当にいつも通りの朝だ。特別な会話は無く、私は登校した。

「行ってきます。」

門を出る前にフッと私は家の花壇の方を振り向いた。・・・・そこには誰もいない。それとも私は何かに期待をしていたのだろうか。

「おはよう沙月!!」

「おはよう。」

相変わらず明里は元気だ。本当にいつもの朝だ。

「・・・・!!」

予期せぬことに私は驚いた。

それは紙袋・・・・・・・、・・・・・ただの紙袋が道端に落ちていた。私は何かに期待しているのかも知れない。

                                 ~「紙袋の男」~ <完> 

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