VS刺客
「現魔王であらせられる我が君の命令により、お命を頂きにまいりました……」
「魔王だと?世代交代をしたつもりはないのだがな??」
ギリギリと睨み合い、爪と手甲が火花を放つ。
「貴方の時代は終わっているのですよ……魔族を裏切り、人間に屈した愚かな元魔王様?」
「その汚らしい口を閉じろ…愚か者が……!!『炎波』!!」
ゴウと激しい炎が吹き出し、悪魔を弾き飛ばす。
しかし悪魔はニヤリと口元を歪めて指先に魔力を収束させていく。魔力は黒く煌めき、陽炎が揺らめく。
「黒く染まりなさい『黒炎球』!!!」
触れた草木は燃えるわけではなく、ぐじゅぐじゅと音を立てて腐りゆく。
(食らう訳には…行かないな……。どうするか、おい、イフリート)
(うっす、なんすか主)
(お前それ受けられる自信は)
とたんにイフリートは慌てふためき、泣きわめいてしまった。
(いやいやいやいや!バカでしょ!?存在消滅しますって!!生まれ変わって頭沸いたんじゃねえっすか!?)
(だよな。じゃあとりあえず存在保てる分の魔力以外全部渡せ。死にたくなかったらな)
(う、うす、、押し負けたらマジで二度と許さないっすからね!)
魔力が供給されているのがわかる。現在の魔力総量は万全な状態の2倍といったところだろう。
魔力を確認し、術式の展開に移る。闇属性を打ち消すのなら対局の光属性、勇者の魔法が一番効くはず。
「極虹、息吹、白夜の陽炎、聖、あとえーとなんだっけ…」
(余裕ねぇっすよ!!何忘れてんすか!)
(主様ー!!まずいですよぉ!!!)
「あぁそうだ。救済の御心、主神と母なる大地の祝福によって……!」
流石にかつての勇者のような精度とは行かないだろうが見せてやろうじゃないか。これが聖剣を超えた聖剣。
「光翼展開!『勇者ノ聖剣』!!!!!!」
純白の聖剣と漆黒の炎がぶつかった。爆発し、打ち消された。
「魔王時代とより劣っていると聞いていたのですがね…これは、想定…外……!」
「ここまでしてただで退けると思うなよ?悪魔風情が…」
突如、周囲に結界が張り巡らされる。
正直、黒炎球を相殺するくらいならエイディスの魔力のみでも事足りていた。しかし、それでは相殺したあと動けなくなり殺されるだろう。イフリートの魔力分は手付かずであった。
(この悪魔が狙うのは我だ。ここで逃せばいずれ王国にも攻めてきかねない、危険すぎる)
腰にさした2本目の短剣を抜き、構える。
「さて、第2ラウンドと行こうか?悪魔君」
(逃がしてなるものか…ここで、殺す)
エイディスはニヤリと笑っていた。




