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「どうだい、気分は落ち着いた?」
バウエルの部屋に入った私は彼に問いかけた
「うん……何となくだけど」
「そりゃ良かった」
彼は薄い掛け布団を首まで掛けてベットに横たわっていた。部屋のあちこちには縄で縛ってある木箱が幾つか置かれていた
「あの二人は……いい人だったよ。ここに俺を運ぶまでに何度も心配してくれた。申し訳無いことをしたな」
「それからあの死神……寝たふりをしながら
あの丘を振り返ったら泣いていたね。木の影で……まるで少女みたいだった」
その顔はまるで墓を寂しげに見つめる老人の様だった
「独りじゃ無かったんだって……もっと早く気付けば良かったかな。今更遅いけどさ」
小さく彼は笑う
「妻と娘に別れを告げた理由は守れないと悟ったからなんだ……暴漢からアイツらを守れなかった時に……守れないって……」
「思えば逃げてばっかりの人生だった……病気もアイツらの事も自分の事も」
「あまり自分を責めるな、来世に響く」
「来世……か」
彼が窓の方に顔を向けたので私は窓を開けてやった
「来世はそうだな……」
「少年になってあんたと友達になりたいな」
窓から風が入ってきた。それは世界の全てを吹き飛ばす勇気も無い様な弱っちい風だった
「手を……握ってくれるか」
「ああ」
私は彼の手を握るというより彼が私の手に触れたのだ。温もり、生きている温もり
しばらくして震える様な小さな声で彼は
「死ぬの……こわい……」
と言った
「誰だっていつかはそうなる。俺だってな」
「ありがと……」
彼はゆっくりと瞼を閉じ、深い深い眠りについた。その手にはまだ温もりがあった
「おやすみ、友よ」
力いっぱい握って、そっとベットに置いてやった。改めて見ると本当にひどいベットシーツだ。汚れだってある穴まで空いている
「だってのにこんなに気持ちよさそうに寝やがって……馬鹿野郎が」
私は涙を堪えながら、部屋を後にした
文章力が足りなくてこんな感じになっちゃいました……
ごめんなさい