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俺の考えは今のところ変わらない1

 翌日。早朝から俺は眠い目をこすって学校に赴いた。眠いのには理由がある。もうみんな分かってるよね。昨日会長にもらったお仕事だ。

 ルールをワープロでぽちぽち打ち、途中で鎮守府に着任し、さらには人理の修復を始め、おまけにアイドルをプロデュースした結果、どんどん効率が落ちて気づいたら朝になっていた。

 ……うん、今日はもしかしなくても俺が悪いわ。

 でも朝五時くらいに完成してちゃんと会長にメールで送ったから許してほしいな‼

 ついでに北条と欅田にもいろいろとメールを打っておく。

 今日で、いろいろなことを終わらせられるように頑張ろう。


 朝練の時間だったらしく、一緒に家を出た千春は、化生の類を見ているような顔をしていた。

 実際、ただでさえ寝坊しがちな俺は夏休みのラジオ体操も行ったことも、中学から部活に入ったこともない俺は、この時間に起きたことがほぼない。W杯の試合を見るときくらいだ。

 とはいえ、開口一番「誰?」はひどくないすか……?

 こんな時間にわざわざ学校に出向かないといけないのは、れっきとした理由がある。体育祭当日に、部活会に有志の手伝いを出してもらえるようにするためだ。

 部活会は基本的に二年生が代表として出ている。三年生は春か夏で引退することがほとんどなので、代替わりはキリがいい年度の頭になる。つまり今はもう、俺らの同級生が部活会を取り仕切っている。

 加えて、うちの学校は代々運動部では男子野球部、そして女子バスケットボール部が強い。大会成績が良いらしい。といっても地区大会で優勝するくらいで、県大会はさっぱりらしいが。

 たまたま俺の知り合いには、野球部エースで人望に厚く、今年度の野球部代表かつ部活会の議長を務め、彼女が女バスのキャプテンというチーターがいる。今回はあいつに頼ろうという算段だ。俺は生まれ変わったらあいつになりた……くはないな、うん。


 歩きながら時間を確認する。このままいけば、学校には野球部の朝練が終わる時間には余裕をもって着くことができるはずだ。

 夜のうちにまた雨が降ったのだろうか、濡れたアスファルトを踏みしめながら一歩一歩進んでゆく。だいぶ湿気が気になる季節にはなったけれど、こんな早い時間ではまだ暑くはない。むしろ肌につく湿気が程よく涼しく、気持ちがいい。

 肺に取り込まれたしっとりとした空気が、春を過ぎてしまったことを寂しく知らせた。あと一、二週間もすれば梅雨入り宣言がなされて、それが過ぎれば次は夏だ。

 先の季節のことを考えれば、自然とそこにいる自分も思い描くことになる。

 去年までの俺は、夏休み中ほぼ誰とも関わることなく日がな一日惰眠をむさぼったり、本を読んだり、ゲームをしたりしていたわけだが、果たして今年も同じようにいくのか。

 無論こんなことを考えてしまうのは、確実にあいつの所為だ。正直に言って、俺は今の日々に少し愉悦を感じてしまっている。決して俺は悪徳神父でも英雄王でもないが。

 俺が嫌いで、敵視すらしていた、欺瞞と悪意に満ちている「現実」こそが俺が抱いていた「幻想」で、本当はそんなものどこにもないんじゃないか、そんなことも思ってしまう。

 もし仮に、本当にそうであるならば俺は今までの姿勢を崩すだろうか。これまで「現実」との間に引いてきた一線を越えてしまうだろうか。


「おっと」

 結論を決めかねているうちに、気づけば学校の前に到着していた。こういうのは落ち着いた時に考えるべきことだ。結論を急いだところで、特にいいことはない。

 考え事をしながら歩いていたせいか、思ったより時間が経っている。ちらほらと登校している生徒が見え始めている中、俺は校門をくぐった。

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