偏執 14
「女子高生を誘拐しているところを見たって通報があっただと!」
どうしても一連の事件との関連性は考えてしまう。
「先輩、佐伯がいつもと違う車、バンで帰宅してきました。何か臭いませんか」
「お前は1人で突入するなよ、すぐに応援を向かわせる。俺も行くから少し待ってろ」
佐伯家に集まった数人の警察官、こんな少ない情報で乗り込んでいいものか。
「何もなかった場合俺が全責任を取る。失われるかもしれない命を助けることの方が大切なんだ。乗り込むぞ」
チャイムを押す。返事はない。鍵は空いている。
「佐伯先生!留守ですか?!」
留守だとしたら随分不用心なものだ。倒れていられても困るので入るしかないか…
突如、風を切る音がして身を引いた。そこにいたのは…佐伯崇だ。大型の刃物、ノコギリを手にしている。ホームセンターで買ったのはもしかするとノコギリか?そんなものを見落としていたとは笑い者だな。とても笑える状況ではないが命の危機に脳がフル回転して余計なことまで考えてしまう。
「佐伯、今ので殺人未遂の現行犯であなたを逮捕することができる。大人しく着いてきた方が身のためだぞ。お互い痛い目にはあいたくないだろう」
「なんでこのタイミングで来ちゃうかなぁ僕の崇高な儀式の邪魔をしないでくれませんかね」
佐伯はいつもの人の良さが嘘のように早口で何かを喋っている。
「話は署で聞かせてもらおう。ふっ!」
素人が警察の体捌きについてこられるはずもなく、あっさりと佐伯は取り抑えられた。
「先輩!地下室があります」
財前の声に導かれ、大和田は部下に佐伯を任せて地下室へと降りていった。
シーツが敷かれた寝台の上には、全裸の若い女性がいた。
「残念ながら息はないようです…綺麗なまま死ねたのがせめてもの救いですかね」
「死は救いではない。彼女も悪質な事件の被害者なんだ」
近くに畳まれていた衣服、所持品から身元は白蓮女学院の生徒、和泉華だと判明した。




