偏執 10
「新しい遺体が上がっただって!?」
大和田は終わりを迎えたかと思っていた事件が再発したことに動揺を隠せないでいる。連日起きていた事件が2ヶ月間動きがなかったため犯人の目的は果たされたものだと思っていた。もしかするとこのままグレーの人々の中から犯人が見つからないかもしれないとまで考えていた。事件が起きたことを喜ぶわけではないが、手がかりが掴める可能性が再び浮上したことには違いない。
「それで、ガイシャは?」
発見者から話を聞いてきた部下に尋ねる。
「両手足欠損、これは一緒に袋に詰められていました。子宮が取り除かれているため一連の事件と関連性があると見て間違い無いでしょう。池に浮かんでいる袋から肌が見えていて通報したそうです。ゴミ捨て場から池に、隠し方も変わってきていますね。お陰で発見が遅れて腐敗が進んでいるので酷いもんですよ。誰がこんなことするんでしょうね」
「腐敗は進んでいても歯形から身元の特定はできそうか?最近の行方不明者の1人かもしれないな」
「身元の特定は進めています。近いうちに結果は出ると思いますよ、遠くからガイシャを調達してきたというなら変わってきますけどまた白蓮女学院の生徒なんじゃないですかね」
推測でしかないことを言うのはどうかとも思うが、その推測に至るのも無理はないので大和田は口をつぐんだ。
「しかしこう女子高生ばかり狙われるのは犯人は異状性癖者なんじゃないですかね、若い子を殺すのを楽しんでるとか」
「その可能性もあるが何か信条や理論に基づいて犯行が行われている線も捨てるなよ、思い込みは捜査の邪魔になることもあるからな」
「ちょっといいかな」
監察の西田がドアを叩いた。
「被害者の身元が特定されたよ。花添みどりさん15歳。市立第一高校に在学してた学生さんだね」
「「白蓮女学院じゃないんですか」」
大和田と部下の声が重なる。
「これは白蓮女学院の関係者以外にも目を向けないといけなくなるな…思い込みはダメだと言って俺自身が思い込みで話を進めていたとはお笑い種だな。被害者の共通項、もっと広い視点で見た方がいいな。無差別の線もあるのか?いや、無差別ならこんな悪趣味な犯行を起こす必要がないんじゃないのか。振り出しに戻ってしまったな…」
混乱する大和田。これ以上事件が続かないようにするためにも、早急に解決する必要があるというのに。焦りばかりが渦巻いていく。




