あなたがついた嘘
エイプリルフールなのでそれっぽい短編を
ほんとに短編です。
「またね」
私はそう言って彼に手をふって電車にのる。
「ああ、また日曜日」
彼はにこりと笑う。
彼と出会ったのは大学のサークルの飲み会だった。
彼は一際不思議なオーラを放っていたのを覚えている。
だから、私は話しかけた。
彼はとても驚いていた。
なんでも、友達に無理やり連れてこられたとぼやいていた。
私は、お構いなしに彼に話しかけていた。
それくらいに彼は魅力的だった。
飲み会が終わってすぐに連絡先を交換した。
それから私はなんとか彼と付き合いたくて連絡をして何回もあった。
そして、デートを重ねて、私は彼に想いを伝えた。
彼は想いに答えてくれた。
あの日以降、彼からの連絡は一切途絶えた。
彼の家も訪ねた…
彼はどこにもいなかった…
家にいたのは、彼のお母さんだった。
突然の遭遇に戸惑った。
お母さんは言った。あの日別れたとき、彼は死んだ。
自殺だった…
私は何も気づかなかった、彼が自殺をするほどに悩んでいたことを
彼は私といるときはいつも笑顔で、私の愚痴も聞いてくれていた。
何で言ってくれなかったの、私は泣いた。
「また日曜日」
うそつき…もう何回日曜日を迎えたと思ってるのよ。
うそつき…
私は日曜日に彼に毎週会いに行く。
「いい眺めだね」
彼の墓前に花をそえて、言う。
「またね」
あなたが嘘つきにならないために、