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03 戦闘は突然に
「なるほど、勇者様は入念な準備を行っていたのですね。」
「さようにございます。王太子妃殿下。貴女のような高貴なお方に対して失礼のないような教育を女神様に望んだところ、私のような異郷の人間の願いにも関わらず聞き入れてくださったのは流石の神徳を心に感じ入る瞬間でした。」
第一王子の妃に宮城内を案内される間も一切の無礼を働かないこの少年に、通常ならば誰もが流石の勇者であると感銘を受けてもおかしくないだろう。
しかし彼は召喚されて間も無く各人の地位等を把握した立ち振る舞いをしているのだ。正直なところ戦力として以外には期待していなかった異世界人側は困惑を超えて不気味な心地を抱えていた。
「ところで──」
王太子妃がさらに踏み込んだ質問をしようとした矢先。
爆音!
亀裂が入った目の前の回廊が壁材の粉塵で吹き荒れる。
登場したのはファンタジーで有名なオーガ、オーク、ゴブリン、コボルトの連合特殊部隊だ!それもそれぞれ赤、青、黒の稀出強固個体。 王都への襲撃はなんと大胆にも中央部王城内部へ繋がれた次元ゲートから!