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01 ようやく召喚
「成功だ!」
「おお、これが……。」
「勇者様の光ですな。」
王都、王宮、王の間。
国王、王后、王子、王女そのほか多数の要人の目の前でその儀式は行われた。都に迫る魔王の軍勢に対抗する最終手段である。
眩い光線が全員の視界を覆う中、様々な異音とともに異世界から人間を召喚する手順は順調に進んでいっていた。
やがて光は薄れ、床に描かれた大きな魔法陣の上に一人の少年が立っているのが影となってわかってきた。彼は悠然と立って──
「勇者……様……?」
悠然と立っていた。
だがあまりにも余裕があり過ぎる悠然さだった。