魔王サイド『開発力”全振り”』
「それでなもぐもぐ……頼みたいのはもぐもぐ……」
「あの、食べてからでいいですよ、魔王さま」
「そう?では、そうするかのもぐもぐ……」
「……」
魔王は用意された朝食を食べていた。
だが、その朝食はどう見ても。
(お子様プレート……!)
(魔王ちゃん、子供扱いされてるって気付かないの!?)
(プリンにチューリップのは旗が刺さってるんだよ……?!)
「げぇぷっ、でな、頼みたいことというのは……」
「は、はい……」
(はしたないよ、魔王ちゃん)
「我が軍でついに新兵器の開発に成功したのじゃ!」
「新兵器!?」
(驚いたな……魔王とかの世界観で、兵器開発なんて)
「実はここに用意しとる、見るがいい!」
そう言うと、魔王はテーブルクロスを引き抜いた。
「え、そこなの!?」
テーブルだと思っていたのは四角い透明なガラスの中に収められた、鎧に見えた。
しかも、その鎧は……
(すごく……メカです)
「ふははは……!驚いただろう!!これは機械文明を持つ、
お主の元の世界でも未だ到達していない”てくのろじぃ”、
”せんとうようぱわあどすうつ”なのだ!」
「確かにすごい……!」
「ふふふ、聞いて驚くな?
この”ぱわあどすうつ”一機で、一国の軍隊を滅ぼすことが出来る!!
これが、魔王軍の科学力の結晶なのだ!!」
「そ、そんな……!!」
(まずい、こんなモノが造られたのなら、世界は……!
……あれ、でもそれって)
「あの、こんな凄いものがあるなら、私のような参謀も作戦も何もいらないのでは?」
「うっ……む、それが、ちと困ったことになってのぉ……」
「はい?」
「造ったはいいが、コレ、動かせないのじゃ」
「えっ」
「コレを動かすには莫大な魔力が必要なのじゃ」
「莫大な魔力……具体的にどれくらいですか?」
「自慢じゃが、魔王である妾は世界一の魔力貯蔵量を誇る」
(自慢なんだ……まぁ、魔王だし、そういうこともあるか……)
「その妾が30人くらいいるのぉ……」
「……そんなの造ってどうするんですか?」
「ええい!妾が聞いてるのじゃ!!」
(そんな理不尽な……)
「ええと、その魔力、どうにか出来ないんですか?」
「どうにか、とは?」
「どこかから、引っ張ってくる、とか……」
「ううむ…………まぁ、世界中の魔力を集めることが出来たら動かせるかも知れぬな」
(それで、かも、なんだ……
それでも、まぁ、危険なものには変わらないし、使わせない方向に持っていこう)
「魔力のことはよくわかりませんが、現実的な話とは思えませんね。
これをこのまま使うのはやめましょう」
「むむむ……しかし、だな」
「どうしたんですか?」
「いやぁ、既に量産体制に入って、300機造ってしまったのだ」
「……ちなみにこの世界っていくつ国があるんですか?」
「大小合わせて30くらいだったかの?」
「……ちなみに、費用の出どころは?」
「勿論、魔王軍の運用費じゃ」
「……ちなみに、その運用費の残りは?」
「いやぁ、コレがあったら、他に何もいらないと思って、殆ど残っとらんのぉ」
「……魔王様って、本当は世界に平和をもたらそうとか考えてますか?」
「えっ」