魔王サイド『馬鹿の相手をしたほうが”馬鹿”を見る』
魔王軍
魔王の間
「さぁ!現れるがよい!そして、共に世界を支配しようぞ!」
魔王の前に光が収束していく――
そして、
光が弾けた―――
ぱぁぁああ……
光の粒がキラキラと煌めく中心で、制服の少女は立っていた。
「あ、れ……私、は……」
「……」
「……」
魔王は近くにいた側近に耳打ちをする。
「の、のう……なんか思ってたのと違くね?」
「魔王様、キャラがぶれております」
「む、すまぬ。だが、どう思う?」
「いやー、そんなこと言われてもわかんねっすわ。始めてのことだし」
「いや、お主もキャラ崩れとるやないかい!」
「いいんっすよ。側近たってモブですから」
「なんじゃと、お主ばかりずるいぞ!」
「ずるくないでーす。次から出ないかも知れませーん」
「おのれ~~!!……あれ、デジャヴ?このやり取り見た気がする」
「あのー……」
どうしていいかわからない京香は堪らず声を掛けた。
「魔王様、ほら!」
「オホン!よく来たのう、まずは歓迎するぞ」
「は、はぁ……それで、ここはどこなんですか?」
「おお、そうじゃったな!ここは我が城、そして妾の間じゃ」
「……あの、それだと貴女が何者か先に言わないといけないのでは?」
「おお!確かに!流石、我が軍の参謀になる者じゃ、よく頭がきれる」
「参謀?」
「ここはお主にとっての異世界。そして妾は魔王じゃ!」
「い、異世界!?それに……魔王ですって!?」
「そうじゃ、さぁ、妾の力に……」
「こんな小さな子が?」
魔王の見た目は身長140センチにも満たない少女だった。
「なんじゃと!馬鹿にしたな!」
「え、あ、ごめんなさいっ!」
「許さぬぞ!どう落とし前をつけるつもりじゃ!」
「え……じゃあ、どうぞ」
京香はたまたま持っていた棒付きキャンディを渡した。
「ほう、貢物か。わかってはいるようじゃの」
魔王はキャンディを口に入れた。
「美味じゃ!お主には世界の半分を褒美にやろう!」
「あ、ありがとうございます?」
恐らく、次元一安い世界だろう。
「今日は気分がいい。お主の願いを叶えてやろう」
「え、本当ですか?」
「うむ!共に世界を支配しようではないか!わははははっ!」
「……えっ?」
「……えっ?」