因果律の逆転と
知っている。
私は、知っている。
この違和感を。
日常という水面に投げ込まれたこの小石を。
この動揺という名の波紋を。
「りんご飴、おいしい!!」
「どこで買ってきたの??」
「ん?あそこの店だよー。」
「あ、じゃあ、私も買ってきていい??」
「うん。一緒に行こ!!」
そうだ。
芹那さんの性格からして一人で、屋台に向かうだろうか??
一緒に夏祭りに来ている私を置いて。
『えー??でも、本が友達って感じ……。』
過去の思い出が終わってないぞと、背を伝う。
まだ、続いているんだということを、肩に手をかけやってくる。
「どうしたの??」
「え??」
「飴、買わないの??」
気が付くと私はすでに屋台の前に立っていて、目の前の果物は水飴と明かりで鈍く光っていた。
「……私はぶどう飴にしてみようかな。」
「あー、おいしそうだよねー。」
「……うん。」
そうだ。
過去とは違う。
芹那さんは、芹那さんだろう。
……当然のことだ。
さて、私は先ほど感じた違和感の正体を知っている気がする。
学校での一連の出来事、今のこと。
全ての共通項に霧崎君がいる。
「あっち行ってみよー。」
「うん。」
「次は何食べる??」
「また食べ物っ?!」
談笑しながら人の流れに乗る。