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逆ハー追い出し
きらびやかな城内。
ざわざわと、人々が話し合う中国王である男――――――アルスはニヤリと笑いながら言った。
「見ろ、アイカもリンの実を取って来た。これで文句はあるまい?」
その手の中にあるリンの実。
特別な意味を持つそれは、選ばれた者しか手にする事は出来ない。
ここリューヘルス王国の国王の伴侶となる者にしか・・・。
由岐は冷めた目付きでアルスを見た。
愛花に何かしらの能力があるとしても、ここまで堕ちるとは正直思わなかったのだ。
しかし、目の前の光景が全てを物語っている。
呆れたようにため息をついた由岐を、心配そうにカイが見ていた。
安心させるように頭を撫でる。
まだ五歳にも満たない我が息子であるカイを、自分が守ってやらなければ・・・。
「・・・どうする?」
決意を新たにした由岐に、傍に控えていたハイネが聞いて来た。
どうするも何も、既に話し合った通りの行動を取るしかなかった。
それをわかっていながらも、ハイネは尋ねるしかない。
一時とはいえ、由岐の気持ちを知っているから。
そうして由岐は国王であるアルスから玉座を奪った。
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