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004. 現実(いつも)は何も変わりもない現実

 自分がゲーム世界の魔王になるという意味の分からない事態からの寝落ち。

 起きたときは知っている天井が見えた。


 無慈悲に響く時計の秒針の音―――――


 いつもの椅子に寄りかかり、目の前にある学習机はいつもの配置。

 いつもの明るい光が窓から差し込み、そして手元にある画面にはいつものゲームタイトル画面「End Of Life」という文字が表示されていた。


 近くにあるデジタル時計を見る。


 「2018年8月26日 10時32分」と表示されている。


 周囲や日時に異常は見当たらない。

 ゲームを始めてから、ちょっと寝てしまったぐらいの感覚である。


 外からの日差しは少し強く、引きこもりにはきつい。


 引きこもり暮らしを始めて2年目。

 学校にも行かず、働くこともせず、友達はいない。


 家には自分と兄弟しかいない。

 両親は海外赴任でここ2年ほど家に戻ってきていない。


 ただ、お金の面倒を見てくれる両親には呆れられ、兄弟にも見知らぬ人として扱われている。


 就職するために勉強しなければならないのに、見るのはゲーム画面のみ。

 死んだような生活をしていた。


 いつもの状態である。


(・・・コンビニに行くか)



・・・・・・



 いつものコンビニの看板、Familyという字が見えた。


(さっきのは夢だったのだろうか?)


 考え事をしながらコンビニに入店する。

 聞きなれた入店音が鳴り響いたが耳に入ってこなかった。

 無意識のまま商品を選び、お金を払っておつりを貰い、流れるように退店する。


(・・・いいや、あの感覚はどう考えても現実(リアル)だ)


 コンビニ店員からもらったおつりの重さを感じると、自分が着ていた鎧の重さを思い出した。

 コンビニからの帰り道は一段と熱くなっているなったような気がした。


(あづい~~こんな時はクーラーの効いた部屋で、アイスでも食べならがゲーム三昧がいい!)


 家の玄関を開けると、コンビニ袋を持ったまま

 2階にある自分の部屋に直行する。


(いつから"ただいま"を言わなくなっただろう)

 そんな心の声が聞こえたような気がした。



 いつもの自分の机に座る。


(あの出来事は夢ではない)


 いつもの癖でPCを開き、ブラウザにはゲーム攻略Wikiが表示されていた。


 新しいタブを作り、今日、体験した現象と似たようなことがないか調べてみた。

 「ゲーム世界」「ダイブ」「ファンタジー世界」

 色々検索してみるが、引っかかるのはどれも架空の物語である。


 こんなことを調べている自分が馬鹿馬鹿しく思えてきた。


(いやーそれにしても、リアルリリーシュちゃんは可愛かったなー、また会いたいなー、でも面倒ごとは勘弁)


 夢のようなことを考えながらコンビニで買った袋の中身を見たとき、現実を思い知らされた。


「ゴリゴリ君 クレアおば・・・」



・・・・・・



 攻略Wikiを見ると左サイドバーにあるイベントの箇所に目が止まった。


 あっ、新しいイベント発生しているじゃん!


 確認してみるとイベント内容はこんな感じだった。


 「魔王ダンジョンから大量のモンスターが溢れ出てきた! (スタンピード)

 暴徒化したモンスターから村を守りつつ、戦力が衰えている魔王ダンジョンを陥落させよ!」


 あれれ~? どっかで聞いたことのあるような?


 気になったので、3つ目のアカウントにログインしようと思ったがパスワードを忘れていた。

 PC内のどこかに保存されているかもしれないが、探すのが面倒である。


 とりあえず、今進めている「突撃!人でなしランサー」のアカウントでログインした。

 画面内を隈なく探してみるがWikiに書いてあるイベントが見つからない。


(別のサーバーでやっているのかな?)


8月26日 23時30分

 結局、目的のイベントは見つからないままで

 ゲーマーとしてはこれからが本番という時間になった。

 いつもなら目がギンギンになっているはずだが、今日はなぜか眠い。


 次第に机と顔の距離が近くなったため、仕方なくベットに倒れこむ。

 周囲に「デバフ」という音が響くとともに眠りに落ちた。


 再び起きた時には広い草原の上に寝ていた。

8月は普通は学校が休みであるのに対して、1話にて平日なのに学校には行かないと書いているのはわざとです。

あと、その伏線はたぶん回収しないです。そこまでにたどり着く前に私が書くのに力尽きていると思いますので。


「店員からもらったおつりの重さを感じると、自分が着ていた鎧の重さを思い出す」

この一文は、現実世界の「自分」の心情も含んでいます。

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