(281)あったかい。
「では、行きましょう」蓮密
「ん!!」
蓮密がドアに手を着けた時、外の音に僕らの足は止まる。
「助けてぇーーーー」男の声
「早く船を出せ」男の声
「ぎゃあああーーーー」男の声
「またやられたぞ!」男の声
「あああぁーーーー」男の声
「勇者様待って下さいーーーー」男の声
「ガタン!」
船は、動き出す。
「わ!、な、何が・・・・(^^)」蓮密
「え?、え?」
僕は、蓮密の腕にしがみつく
「シュン!!」
「え!」僕と蓮密
シュンと風切り音と共に部屋自体が斜めに斬られ、外の夕焼け空が見える。
「え!」
僕は、蓮密にお姫様抱っこされた。
「!!、アリア様捕まって」蓮密
「は、はい」
ガシッっと蓮密に捕まる。
蓮密は、ダダダダっと走り僕を抱えたまま、ジャンプして下に降りて行く。
僕は、落ちる恐怖に目を閉じ、蓮密に強く抱きつく。
「///ア、アリア様少し息を止めて下さい。」蓮密
「うん」
僕は、大きく息を吸って止める。
「ジャポン!!」
「はぁ、はぁ、れ、蓮密」
「バチャバチャバチャ」
「アリア様こちらを」蓮密
蓮密がビート板代わりの木板を渡してくれた。
「ありがとう」
「泳げますか?」蓮密
「う、うん人並みには、たぶん」
「分かりました、すいませんが付いてきて下さい」蓮密
「分かりました。」
しばらく泳ぎ、船から離れた。
「彼方に見える岩場に行きましょう」蓮密
「はぁ、はぁ、うん」
結構泳いだ、マジ体力ないこの身体。
「アリア様」蓮密
蓮密は、僕の横について、片手で僕の身体を押しながら泳いでくれた。
僕の体力の無さに気付いての行動だ本当にふがいない。
蓮密は、ずーと泳いでいるのにすごい体力だ。
蓮密の助けもあり岩場に着いた。
岩場から船が有った場所には、残骸と船のデッキが燃えながら佇んでる。
すっかり、夜なのにそこだけ明るい。
「アリア様大丈夫ですか?」蓮密
「ええ、大丈夫」
蓮密は、悔しそうに手をグッと握った。
「アリア様あそこの洞穴に行きましょう」蓮密
「う、うん」
僕らは、洞穴に着いて蓮密は、直ぐに出ていき、薪を持ってきて直ぐに焚き火をした。
「アリア様、寒くないですか、大丈夫ですか?」蓮密
「だ、大丈夫だよ」
「ふ、震えが・・・・」蓮密
自分の足を見ると震えていた。
「ガシッ」
蓮密が僕に抱きつく。
「すいません、すいません、すいません」蓮密
「ううん、ありがとう」
はぁ、あったかい。
僕と蓮密は、肌と肌を合わせて身体を温めた。
この身体が男なら、蓮密を襲っていたなぜったい。
しかし一週間そこそこで、ここまで思ってもらうとかなり嬉しい、ホームステイとかの番組で3日4日の別れで泣くかよ!とか思っていた僕が恥ずかしくなるほどだ。
はぁ、あったかい。