十九日目 快適と質問と故郷と私と
今回ちょっと設定が公開されていきます。
時間かかって申し訳ない。話も少しは進んだかな?
仕事場へと向かう人、時間があるためか散歩をする人、畑仕事に既に勤しんでいる人。様々な人たちの横を通り過ぎながら一台の車は進んでいました。
今は朝とはいえ太陽も出てきて日差しに照り付けられながら歩く人たちとは別に車に乗っている人たちのいる場所は快適な空間へと変わっていました。
天井が付いているため、直射日光に当たることはなく、吹き抜けのように前後が開いているために風はしっかりと通ってくれる。
しかも、その風がとても涼しいと来たものですから、少し揺れるということ以外に不満などはないようでした。
「……まさか、ここまで涼しいとは、これなら家にいるよりも快適なんじゃないでしょうか……」
お客さんとセンちゃんたちは驚きながらも和んでいるようでした。まぁ、昨日乗ってた二人が驚いているのはおかしい気がしますけど。
それにしても、普通だったらこの暑さを何とかしないとお客さんが来なさそうなのに私が座っているだけでその問題が解決するのはとても運がよかったです。
この身体にはやっかいなことも多いですけど、かなり助けられていますね。
「そういっていただけて嬉しいです。別に私は何もしてないんですけどね」
「それでもです。今後も、特に日中はついつい使わせてもらうことになりそうです。こんなにいいものが使われないなんてのも変な話ですし、他の人たちにも使っていただきたいですね」
その意見はおおむね賛成らしく、乗っていたお客さんは皆して頷いていました。
アルスさん方は「俺たちが作ったものなんだから当然だな」ってなんか別視点からの同意でしたけど。
「そういってもらえてよかったです。夜以外は基本的にやるつもりなので、今後もよろしくお願いしますね」
魔力操作の方も慣れてきたこともあってか、私はかなり適当に喋りながらでも運転することができるようになっていました。さすがに、目を逸らしたりは一瞬しかできませんけどね。普通に危ないです。
……適当にお話をしてもらっていてもいいんですけど、何か時間をつぶせるものを一つくらい用意してもいいかもしれません。多分ですけど、使っているうちに暇な時間が増えてきてしまいそうですから。
それか、私が何かお話を考えたりとか……いや、大したお話もできないですし、ほとんどの人の興味もないでしょうから無理ですかね。そういったお話ができるようになりたいです……。
そんなこんなで適当に話に花を咲かせていると、知らず知らずのうちに集会場がもう見えてきていました。楽しい時間の時の流れというのは本当に早いものです。
車を入り口の横、前に待機させると邪魔になるのでという配慮の元止める。
「到着しました。ご利用ありがとうございます。またどうぞ、何なら帰りも使ってくれていいですよ」
仕切りになっているものを外して、四人を降りるように促していく。降りて行った人たちを見送ると再び車を動かし始める。これ以上ターニアさん待たせてもいけませんから。
集会場を超えたあたりからは、歩いている人たちの数が半分以下になっており、先ほどまでと比べると車も走らせやすくなっていた。
「急に静かになってしまいましたね……」
「そうですね、私もあまり喋るのが得意な方ではないので……何か聞いてくれれば答えますよ」
こちらから話すのが得意ではないですし、ターニアさんも自分のことを話すような性格ではないでしょうから。それなら何か聞いてくれた方がこちらとしては喋りやすいです。まだあまり互いのことを知っているわけではありませんから。
「そうですね、そうでしたら、ソラさんのことを丸裸にしちゃうくらい聞いちゃいます!」
「……そこまでは勘弁ですね」
どうやらターニアさんはセンちゃんとは仲がいいらしいです。よく話相手になっていたみたいなのでセンちゃんのことは色々と知っているみたいです。私が見たことのない魔道具の技能も実際に見たとか……。
……羨ましいです。今度見せてもらいましょう。
「……そうですねぇ、それじゃあ、まずソラさんはどこから来たんですか?」
「故郷ですか? 私の故郷はここと同じ国 《アンスリア》内にある『ナズナ』っていうところです。ここからだと王都を挟んでかなり北にいったところですね」
そういえば、私の故郷について話すのは初めてかもしれませんね。リリィちゃんはあんまり私のことを詳しく聞いてきたりはしませんでしたから。
「ここの村よりは大きな村で、冒険者がとても多い村でした。結構本に名前が載るような人達もナズナ村出身だったりしているそうです」
「ナズナ村……聞いたことないですね……近場の村でしたらそこそこ知っているんですが王都より奥となるとかなり遠いですからね……それまでは何で来たんですか? これみたいな乗り物とか……?」
やっぱりこの村の人は知らないですよね……私もこの村のことは来るまで知らなかったくらいです。最初に地図を見たときはかなりびっくりしましたよ。私よくこんなに歩いたなぁって。
「いえ、徒歩ですね。本当は王都目指してたんですけど通りすぎちゃってたみたいで……」
「徒歩……!? 王都まででも数日はかかりそうなのに……よくここまでこれましたね……っていうかもしかしてソラさんって方向音痴なんですか?」
うっ……そこまで方向音痴ではなかったと思っていたんですけどやっぱり私って方向音痴なんですかね、案内されて慣れてきた道なら迷うことはそんなにないんですけど……。
でも残念ながら今回のことで実績出来ちゃったんですよね。
何とか直さないと、方向音痴って直るんです?
「ちょっと方向とかには疎いみたいです。まぁ、目的があったわけでもなかったんので……」
「そうだったんですね……しっかりしている印象だったので少し意外です。ソラさんの一面が知れたところで次の質問です。」
「はい」
「そうですね……趣味は何ですか? ちなみに私は裁縫とかをよくやっています」
確かにターニアさんは裁縫とか、あとは料理とかそういったことをしてそうな感じがします。
何と言いますか、ザ・母親って感じなんですよね
「裁縫……いいですね。私も少しはできますよ本当に少しですけど……」
「楽しいですよね。こないだ夏用の服を完成させたときのあのなんとも言えないような、こみあげてくる感情とか……凄かったんです。やっぱり自分で一から作って完成した時の達成感はすごいですよ」
いや、私のは精々自分用の手ぬぐいを作るくらいなのでそんな服を作ったりはできないんですけど……。
でも、その気持ちはわかります。何かを作った時やそれが人のためになった時とか、もうすごく嬉しくなっちゃいます。
「わかります。私もそういったことはやったことあります。ただ、趣味って言えるほど熱中して何かやったことがないんですよ」
「そうなんですか?」
「はい、いろいろと手を出してはいるんですけど……あ、一つだけありました。趣味になるほど熱中してたこと」
私の性格が無茶苦茶簡単にわかる趣味ですね……ちょっと悲しくなってきそうです。
「その趣味とは……」
「はい、まぁ何も面白くないですよ? 単なる読書ですから」
目を少しキラキラさせながら聞いてきましたけど、恐らく私の回答は期待外れなんじゃないですかね。そんな変な期待をされても困りますど……。
「読書ですか……確かに言われて見るとソラさんらしい気がします」
「そうですかね? すみません私何も面白みがない人で……」
「ソラさんってたまに卑屈になりますよね? 分かりづらい性格だと思ってましたけど思ったよりも可愛らしい考えかもです」
可愛らしい……!? 私今そんな風に言われるような変なこと言っちゃいましたかね……///
そうなんだとしたらかなり恥ずかしいです。
「卑屈な考えといいますか……あまり自信はないですね。元から読書ばっかりであまり人と関わらずに生きてきた弊害かもしれません」
「ソラさんでしたらもう少し自信を持ってもいいと思いますけど……。読書は一体どんな本をお読みになられてたんですか?」
自信を失うようなくらいレベルの高い人が周りに多かったんですよね……主に家族なんですけど……。最近はそんなもう比べることも諦めてるんですけど。
「本はもう何でも読んでいましたね。一人で集中して本を読むのが大好きだったので……歴史の本や、その土地についてわかる本や、魔法に関するもの、物語も読んでいました。どれも面白くて……」
「ソラさんのその柔軟な発想とかはそういったところから来るのかもしれませんね……本が好きなんだとするとこの村はあまり本などは置かれていないので微妙です……?」
「そんなことはないですよ、もともと色々なことが知れるのが面白かったんですけど、むしろこの村にきたことで、というか旅に出たことでより色々なことを知る機会が増えましたし、なんか知りうることのないことまで知れちゃいましたから……」
知りうることのないこと。という単語を聞いてターニアさんは少しわからないらしく、首をかしげていました。でもこれ以上の説明が私にはできないんです……。
「そうだったんですか、なにはともあれ満足していただけたのならよかったです。って言っても私は何もできていないんですけど……」
「何もできていなくなんてないですよ、こうして話しているだけで私には十分な思い出なんですから」
なんか若干こっぱずかしいこと言っちゃたきがします。言ってから後悔するくらいなら言う前に考えればいいのに、なんでそんな簡単なことができないんでしょう私は……。
「ソラさんはとっても優しいんですね、それじゃあ次の質問行きましょうか」
「はい、どんと来てください」
「ソラさんはいつまでこの村にいるつもりなんですか? 最初の手紙からしてずっとは居ないんですよね?」
いつまで……ですか。一体いつまでいるつもりなんでしょうね私は……? それにまったく村を発展させれている気もしません。現状、私がここに滞在するうえで必要なことを少しずつ済ませているだけですから……。このままではリリィちゃんに見放されたり……。いや、そんなことはないですね……リリィちゃんがそんなことしないのは分かっています。
でも、このまま何もしないなんてのは私としてはまったくもって納得がいきません。とりあえず、この車を他の商人さん方が来た時に紹介するのはありですね……これを作ったのはこの村の人たちっていうのも一緒に……引き抜かれたら大変なので、そうならないようにしておかないとですけど。
とりあえず、もっとしっかりとそっちにも手を入れていかないといきませんね。本当にやることが多くて頭が痛くなってきそうです。
「とりあえず、いつまでいるかって聞かれると未定としか答えられそうにないです。ただ、急にいなくなったりとかはないですし、この村は好きですから、かなり長い間住まわせていただくことになりそうです」
「よかったです。折角仲良くなったのにソラさんいなくなったら悲しいですから……」
そういってもらえてこっちもとても嬉しいです。でも本当に私はどうするんでしょう。やることを終えたらこの村を出て旅に戻るんでしょうか……。
センちゃんはどうするんです? 一体旅を再開してどうしたいんです……?
考えてみてもわかりません。それほどまでにここの暮らしが楽しかったんでしょかね……最初はすぐに出ていこうと思っていたというのに。
自分の、自分への疑問や質問を頭の中でしていたところで声がかかる。
「ソラ、商店街見えてきたよ!」
私の話をあまりしてこなかったためか、私のことを知る機会でずっと黙っていたセンちゃんがそういって、車の前方を指さしていた。
「あ、ほんとうですね……いつのまにそんな……」
「話していたらあっという間でしたね。ありがとうございますセンちゃん」
「どういたしましてだよ!」
今後のことばかり考えていても仕方がないですね……。
とりあえず今は目の前の問題を解決させていきましょう。
ソラの設定が少しずつ明かされているのですが、あと、世界のもかな、普通に遅いですよね……もう30話目にあたるのに……。
これだからちゃんと設定考えてプロット練ってっていう作業をすっ飛ばして感覚で書いてるやつは……。あ、国とか村の名前に関しては序盤から決まってはいました。書いてなかっただけです。




