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♯ソラノート  作者:
旅の始まり
13/45

三日目 会議と足りないものと休憩とクッキーと

なんかどんどん進みが遅くなってます。これは一章が終わるのがいつになるかわからなくなってきました。


 静まり返った日の差し込む小さな部屋の中で、二人の少女は机をはさんで座ったままでした。

 頭を抱えては唸り声をあげており、周りから見るとかなり奇妙な光景。

 一人は白髪の魔法使い。もう一人の少女は美しい紫苑色の髪を後ろでまとめた村娘でした。


「ソラさん……なにか思いつきましたか?」


 ソラというのは私、白髪の魔法使いの名前。


「いいえ、具体的な案となるとやっぱりどれも難しくなっちゃいますね……リリィちゃんはどうですか?」


 リリィというのが目の前にいる絶世の美少女の名前でした。


「全然だめです……そもそもなんで人が来ないのか検討すらつきません」


「やっぱりそうですよね……」



******


 時をさかのぼること約半刻、私たちは昨日言っていたとおり、この村をどうよくしていくかを話すためにも宿の一室である休憩室を利用させてもらうことになりました。


「それじゃあとりあえず、ソラさんはこの村をみてどう思いました?」


 話をまとめるためだと思われる紙を持ったまま、私にそう尋ねてくる。紙はそこそこ高級品だったと思うんですけど、よくありますね……ここでは少し違うのでしょうか?


「とてもいい村だと思います。むしろ、なんでこんなに人が来ないのか不思議なくらいには……」


 お世辞でも何でもない、素直な感想を述べる。こういう場合は本音のほうが情報としてうれしいと思いますし。実際わからないんです。ここで過ごして私はとてもいい村だという印象をまず受けましたから。


「ありがとうございます……本当になんでこんな人が来てくれないんでしょうか……とても住みやすい環境ではあると思うんですけど」


 彼女の言う通り、二日間滞在してこの村がとても住みやすい環境だということはよくわかりました。周りは平原ですし、気温も高くなったり、低くなったりはもちろんありますが、急激な変化は一回たりとも起きたことがないらしいですし。

 他と比べても、土地が余っているので自分のやりたいことがしやすい場所なんですけど……。


「なんででしょうね……」


 別に見当がつかないわけではないです。そもそもとして、この村を知っている人が少ないんだと思います。現に私も地図を見たことは何度かありましたが、この村のことはここにきて初めて知りました。知名度が少ないからここに来ようと思う人の数も少ないんだと思います……。

 あとは、場所でしょうか、王都から国境の門までは道が敷かれていますが、そこを外れると人が少ないです。私のいた村はその道沿いにあったため、結構人の入りはよかったですし。


「一応、村の代表となる人たちでも、何回かこういった会議のようなものをやっていたらしいんですけど、現状は手の出しようがないんじゃないかっていうのでまとまっちゃって……」


「まだ時間はあるんですし、とりあえず考えてみましょう? きっと何かしらやりようはありますよ」


 原因は分かっても、場所とかだと私にできることないですからね……何かいい案はないですかね……。

 あ、そうだ……あなたは何かありますかスキエンティア?


(俺に聞くの? 簡単なのだとしたら国王に脅しでもかければすぐだろ?)


 あなたそれ、私がやらないのわかってて行ってますよね?

 こっちは本気で考えてるんですからちゃんと働いてくださいよ。神器なんですよね?


(俺的に答えをそのまま教えるのは好きじゃないんだよ……俺が言ったことをそのままやってれば必然的にうまくいくが、俺はマスターたちの考え方を動き方を見るのが好きだからな。というわけでヒントだ。)


 なんて面倒くさい性格なんでしょう。私の魔力吸ってるんですからそれくらい教えてくださいよ。魔力あげませんよ?


(魔力がないと何もできなくなるからそれは勘弁してくれ、仕方ないじゃん、動けないし何もかもわかっちゃう俺としては人の行動や感情見ることくらいしかやることがないんだよ。とりあえず、簡単なことだぞ、できてないってことはできるための要素が何か足りてないってことだ。つまり、何が足りないのか考えてそれを足せばいい)


 ……そんな簡単に言われてもそれが難しいんじゃないですか。

 だいたい、ここに来たばかりの私がわかるような足りてないところなんてあるんです? 私は特にそんなものは感じませんでしたが……。


(能力使わなくてもわかるくらいにあったと思うが? マスターがしっかり見てないだけなんじゃない?)


まぁいいです。そこまで言うなら考えることにしますよ。あなたの考えくらいすぐに読んで見せますからね……。




******


そんなこんなで考えていたんですけど……半刻も、全然わかりません……。

 スキエンティアは私が悩んでるのみて満足してますし、リリィちゃんは頑張って考えていましたが途中でうつらうつらと船を漕いでいました。寝顔が尊くてやばいです。


「……はっ、すみません! ちょっと寝ちゃってました。」


「いえいえ、大丈夫ですよ、私も特に何か浮かんだわけではないですから」


 両頬を軽く手でたたいて立ち上がる。まだ目がしっかりと開いておらず眠そうです。もしかしてあまり睡眠をとれていないのでは。


「ちょっと考え事とかは得意ではなくて……だいぶ時間たちましたし、少し休憩しましょう? わたしお茶淹れてきますね」


「そうですね、私もちょっと疲れちゃいました。手伝いますか?」


 続けて私も手伝おうと思い立ち上がる。少しでも身体動かさないと頭働かないですしね。


「お願いします。そこの棚にお菓子があるので取ってもらえますか?」


「ここですか?」


 言われた棚を開くと、中にはたくさんのお菓子が入ってました。見たこともないようなお菓子です。

 これは何でしょう?


「あの、リリィちゃん? このお菓子は一体?」


 籠に入っているそのお菓子を手に取り、尋ねる。思ったよりも固いが、力を少し入れただけで壊れそうになる。そのお菓子は、丸や四角形などさまざまな形をした茶色のもの。肌色と茶色が斜めに入ったずいぶんと綺麗なものもありました。


「それは、昔この村に来たといわれている勇者から教えてもらった料理らしいです。クッキーっていう名前で……とっても甘くておいしいんですよ!」


 勇者……昔話にでてくるあれですよね? 存在したんですね。強い人は色々と知っている法則でもあるんでしょうか。私の兄とか……。


「そんなものいただいちゃっていいんですか?」


「はい! それは、昨日の夜に私が焼いたんです。ぜひ感想を聞かせてください」


 リリィちゃんお手製のお菓子……!? 私、ここ数日で運を全部使いきっていませんか!?

 本当に食べちゃっていいんですかね……。

 後でそれはもう怖いくらいの不運に見舞われたりとかしませんか?


「そうなんですか。とっても楽しみですっ」


「お茶もできましたし、さっそく食べましょう」


 お茶とお菓子を持ってそのまま机へと向かう。

 このクッキーというお菓子とっても美味しそうな匂いがします。すごいです……。


「「いただきます」」


 待ちきれなくて、さっそくクッキーをいただく。

 サクサクっとした感触に口の中で広がる甘み。しかも、甘ったるいということはなく、ちょうどいい甘さが舌を刺激する。

 いったいなにをどう作ったらこんなものを作れるんですか……!?


「……無茶苦茶、美味しいです!」


「ほんとですか!? お口に合ってよかったです」


「こんなおいしいお菓子は初めて食べました……これ、作るの大変だったんじゃないですか?」


「いえ? 作り方自体は単純で簡単ですよ。材料の一つがちょっとだけ高いですけど」


 これが簡単に作れる!? 勇者ってほんとにどんな人なんですか……? 凄すぎませんか……。


「……これを特産品とかにできませんかね? 少なくとも数年前にいった王都でも見かけたことないですよ。これ」


「特産品? ですか……?」


「この村って、なにか特産品……えっとこの村にしか無いようなものってありますか?」


「この村にしかないもの……特にないと思います。職人の腕なら王都よりいいって噂ですけど……」


「でしたら、このクッキーもそうですけど何か、この村の特産品を作りましょう!」


 ほかの村にないもので人が来るようなものってなると大分きつそうですが何もないよりあった方がいいに決まっています。少なくともこのクッキーは王都とかで売り出したら確実に売れます。


「作りましょうってそんな簡単にできるんですか……?」


「できませんよ? 簡単にできるようなものだと、王都とかにすぐ真似されて終わるだけです。ですから真似できないくらいのものを作るんです。簡単なわけないでしょう?」


「ですよね……。でもっ面白そうです! それやってみましょう!」


 疲れていた頭も甘いものを食べて少し回復しましたし、面白そうなことになりそうですし。少し楽しみになってきました。村の人に協力も頼んでみましょうか……。


「とりあえず、その方向で進めていきますか……。ところでこれの作り方教えてもらってもいいですか……いやまぁ、なにかあったら困るので作り方と材料だけ……」


「あ、はい! えっとじゃあ今材料買いに行かないとないので、ここに書きますね」


クッキー

・コムギ

・シュガー

・ミルク


 ……えっ? 少なくないですか?これだけでできるんです? 


「このシュガー? って聞いたことがないんですけど……どうすればいいんですか?」


「これは、いろいろと取る方法があって、一応村に伝わっているものだと、そこの後ろの林の木から取れるんです。」


「木からそんなものが取れるんですか……。料理とか植物とかの本も結構読んだんですけど……そんなもの初めて聞きました。ほんと勇者の知恵はどこから来てるんでしょう……?」


「すごいですよね……わたしも不思議でたまらなくて」


「でも、これだけで、材料も簡単なら行けそうですね。リリィちゃんちょっと大変ですけど、これをたくさん作る方法も考えないとですよ」


 料理だと私、役にたたないですしね……なにか役に立てることないですかね……?

 材料取ってくるとかみたいな雑用は全部やっていきますか……。


「そうときまったらやることたくさん出てきましたね。とりあえず順番に片づけていきましょう!」




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