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久谷という警部

 久谷という男から出世とミントタブレットを取ったら何も残らない。


「久谷係長お早いですね。」

「帰ってないんだよ。」


そう言いながらミントタブレットをバリバリ食べている。


「何隠してるんだろうな。」


ミントくさい息で呟いた。宮地徹はおおよそ久谷が共感できるタイプの人間だ。有名国公立の理学部を出て、大学院へ進み、一流企業の研究所に就職した。研究所の中でも出世頭で、次代の所長と目されていた人物らしい。


「そんなのが、何で研究室長殺して放火しちゃうかね……」


そう呟きながら上司を眺める。


「俺も出世に疲れたら課長を殺して燃やすのか?」


自分だけに聞こえるようにつぶやいた。相当に眠い様子だ。しかし、久谷は昔からこの眠さが好きだった。内山課長は視線に気づいたようで「動機、まだ?」と久谷に問う。


「出ません。」

「出ないか。」


内山は「ワタシは久谷の事、責めないよ?」と言って給湯室に向かって立ち上がった。久谷は内山は誰かに責められてるんだなと悟った。


「吐きませんね。」


給湯室に消えた内山の背中に久谷はまた呟いた。手詰まり感が否めない。捜査には十分手ごたえがある。自供とも一致している。ミントタブレットをかじる。


「あれ?」


内山が湯呑を持って走ってきた。


「今、『あれ?』って言ったよね?」

「言いましたね。」

「なにその『あれ?』って?」


内山の刑事の勘は主にこういう時に発揮される。


「そういえば、宮地が殺した研究室長ってなんの研究してたんでしたっけ?」

「ちょっと待てよ……」


二人で捜査資料をめくる。


「『耐病・抵抗品種の研究』これだね、これがどうした?そしてまた今日もミントすごいね久谷。」


久谷は内山の近すぎる顔に答えた。


「内山さんが近いんです。この研究内容って具体的じゃ無くないですか?」

「そうなのかもしれないね、我々警察官だから農業のこと言われてもピンと来ないからね!?」

「もしかして、我々、殺人事件の専門家では逆立ちしても分からない研究内容の中に……」

「『動機があるかもしれない!』ってそう言いたいんだろ!?やってみよう!!そしてお前は風呂に入って仮眠しろ。」


内山はそういうと「刑事部に農学部出身の奴いないか!?」と言いながら走って行った。久谷は内山の命令を無視して仮眠してから風呂に入ると心に決めてから倒れた。

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