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守護者 カンパネラ






その男の名前はカンパネラといった。


sowasu連盟エルドランドのスパイだ。

そのランクは最高峰のSS、諜報の世界でもとびきり優秀な男だった。


漆黒のターバン、フードを身に纏っている。

+10防護魔法の付加された、高級装具だ。

その下にはヒュドラ革の鎧、ミルキオンのグリーブを履き、一流の冒険者装備で固めてある。

背中で交差する剣、それは双方とも使い込まれていたが、切れ味鋭いミスリル銀製品で+20エルシオンソードであった。攻撃力は長剣としては屈指の997である。



深い森林でもなく、混みあう王都の酒場でもなく、ダンジョンの最下層でもなく、、、

なんのへんてつもない街と森の間。


そこで男は最高精度の探知魔方陣を展開していた。


この場所には意味があった。

程よく人目がなく、魔物もあまり出てこない。

まるで、何処からかやって来て、テストを含め周到な準備を行い、なにかを始めるのに丁度良い。


そんな場所。


だから、空間にほんのかすかな違和感を感じたとき、男は即座に行動を開始した。

(微細振動か、今回は不自然に弱い。)

距離はここから南に約47キロメートル。


スキルをアクティブ化する。

身体強化

高速移動

迷彩

隠密


風景に溶け込むように男はスゥーと消えた。

魔力を最も発生させない方法での移動だ。


転移ならば一瞬で跳べるがすぐに気付かれてしまう。


ソナーというスキルが存在するし、強力なスキルを持つものは魔力の動きに敏感だ。

慎重に細心の注意を払え。

気を抜くな。





30分後、男は見晴らしのいい原っぱの灌木の繁みに潜んでいた。

光学迷彩

気配遮断

完全隠密


重ねがけでMPを200と大量に消費している。

そのおかげで、気配に敏感で知られる野生のワーキャットが、わずか5メートルという近距離でのんびりと寝そべっている。

この魔物は敵が視界に入る場所で警戒を解くことはない。


探知魔方陣で反応があった最初の場所。

そこから2キロの距離。

ここで一旦、自分のステータスを把握する。

パッシブ型の魔方陣にうっかり踏み込んでいる可能性もゼロではない。


念じる。

(ステータス2)


ーーーーーーーーーー

名前:カンパネラ

Lv:533

HP:34880/34900

MP: 4050/4590

as:光学迷彩 気配遮断 完全隠密

ーーーーーーーーーー


大丈夫なようだ。

さらに、アイテムで 認識阻害のバングル 身代わりの守護符 が発動している。

懐から《遠見の魔道具(単)》を取り出して眺める。

まだ遠い。


視力強化



見えた。


子供のようだ。

黒い髪、白いワンピースを着ている。

木に登って、やたらと下を気にしている。小型の魔物でもいるようだ。



「…」


しばらく眺めていたが全く理解不能だった。


この子供がターゲットの転生者か?


こんなに間抜けな転生者は見たことがなかった。

ゴミ以下の、

魔物とは名ばかりの動物に苦戦している。


神とも渡り合えるほどのチート能力、強力な武器、恐ろしいステータス、バランスを歪めるほどの魔力。

そのどれも持っていないようだ。


それとも罠か?



最高度の鑑定スキルを使えば分かることだ。

ターゲット

集中

増幅

《《《《鑑定レベル9》》》》


ーーーーーーーーーーーーーーー

名前  :メアリー

種族  :人間 ♀

年齢  :10

職業  :冒険者

称号  :天使


レベル :01


HP  11 / 12

MP   0 / 6

STR: 3 DEX:10 VIT: 4 INT:14 AGI: 3 LUC: 9 ORZ: 3 DEF: 2

ーーーーーーーーーーーーーーー


(あり得ない弱さ。何の冗談だ)

(スキルが無い)

何か得体の知れない不自然さに戸惑うカンパネラ。


身の危険などチリほども感じない。

何の危険もない。

だが、何だろう。

…。



解らない。

だから、排除することにした。

不安要素は取り除けばいい。



あの娘には悪いが…。

死んでもらおう。






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