転生少女
こんな変なヒト知らない。
ー
オカマだ。
それも何処かで見たようなオカマだった。
あれか。
そうだ、アニメ《ヴァンピィ椅子》に出ていた奴だ。
こいつも転生者のような口振りからすると、此処は一旦経由地ということか。
などと考えていると、急にオカマは猛烈な勢いで喋りだした。
もちろん、妙な動きは切っても切れない。
オカマだからね。
くねくねウッフーン、あらまぁイヤッ。
つまるところはぁ~。
ほおぉらぁ~。
んっ、もう、シュビドゥバ。
前から思ってたんですけど、その身のこなしー専門学校でもあるの?
キャラが立ちすぎている。
「◇□△▽◎○▽△□△t○▽○long○▽△□」
オカマの話は長かった。
もし、
こいつがくそババアで、目を瞑りながら滔々と語りだしてたら、ハリセンで後頭部をメッタ打ちしてたとこだ。
要約しよう。
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私は先に此処に来た転生者。
望んだ姿をもらい、
必要なスキルを選択し、
好みの異世界へ旅立つ寸前だった
ー
ところが俺が出現し、
神は
『ンなアホな~。チョッと待っとれよ~』
と言って消えた。
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「ホラ、アンタもふわふわ浮いてるなって思ってるでしょうけど、こう、行く方向に念じればゆっくり動くわよ~ン」
なるほど。
確かに浮いている。
ウハハ。
今気がついたぞ。ういてるわ。これがほんとのウワノソラって奴かな。
まあ、俺だって死んで生き返り、転生走馬灯でオカマ発生とか、突っ込むのが忙しいの。
オカマは俺と目線が合うと、手で《はぁと》して、ウィンクをバッチンバッチン飛ばした。
「それにしてもアナタ、まるで天使みたいにカワイイじゃない❤お嬢ちゃん。食べちゃいたいくらいねぇ」
やめろ。オカマが、‥
…@お嬢ちゃんて
そして初めて自分の手をじっと見る。
あれ?
ちっちゃい。
すべすべ。
子供の手だ。
服に意識が行く。
ふわり、ふわふわ。この服、学生服じゃない!
『ワンピースだ❗』
初めて発声したその声。
女の子の声。
それは涼風が鳴らす風鈴の音のように心地よい声だった。
『ワンピースだよぉー』
大事な事だから2回言ったよ。
アフロのオカマが、ホッ、ハッといって躍り続けている。
だって 舞っていろ って言うのよ。
(いや、違うだろ!)
オカマのことはもう、どうでも良かった。
俺…
どうすんの?