No.2 入学試験
ーーーー龍魔歴2050年、春の月。
魔法都市メルヴェーナでは、今年の魔学校の入学式準備に追われている。
街全体で新入生を迎える為、人々が右に左に奔走している。
「新規入学生の宿泊先はこちらで~す。入学受付はこの正面に冒険者ギルド登録受付所が有りま~す。受付が終わり次第、完了の証を受け取って其々の宿泊先へ行かれて下さ~い」
20代位の女性が案内板を掲げて叫んでいる。
都市の正門は様々な種族の若者で溢れ、正門前の道を半分ほど塞いでいる。
「…凄い」
「凄い数ですね…受付は時間が掛かりそうです。ギルドの受付が4人では捌くのが大変でしょうに…。後2人くらい居れば何とかなりそうに思います」
正門前に立ち、小さめの声で話をする2人…少女と青年。
16~17歳くらいだろうか。少女の方は14~15歳くらいに見える。
順番待ちをするために列に並んだが、なかなか前に進まない。
少しずつ人は減っているものの、動かないため時間だけが過ぎていく。
太陽が真上に差し掛かった頃、ようやく列の殆どが居なくなる。
「ライ・シルバーレッドさ~ん」
受付の女性が呼ぶ。
呼ばれたのは…先程少女と話をしていた青年だ。
青年は受付に向かう。
「リリア・ウィンさ~ん」
ライと呼ばれた青年の隣にいる女性が呼ぶ。
少女が向かった。
「はい、入学受付の書類に記入をお願い致します。記入が終わりましたら、この番号札を持って魔力測定所へ向かってください。測定所はギルド受付の右側にある扉を出てすぐです。魔力測定等が終わりましたら、修了証が出ます。受け取り後はギルドの受付までお越し下さい。ギルドカードを所持している場合は、修了証と一緒にご提示願います」
書類を受け取り、記入する。
リリアはライと呼ばれた青年の元へ行く。
ライは先に受付を済ませて、測定所へ向かう扉の近くに立っていた。
「…番号300…」
リリアがポツリと呟く。
「僕なんて440ですよ…行きましょう」
苦笑しながらライがそう言って扉を開けて、二人は測定所の中へ入った。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「…それなりに広い」
リリアがポツリと呟く。
「…そうですね」
ライが苦笑しながら返した。
測定所の室内はかなり混雑しているものの、広さが十分あるからか詰め込まれた感じはない。
魔力測定器は一定の間隔で5つ並んでいる。
奥にある扉から、一人の男が出てきた。
筋肉質の強面の男。
「今年はまた随分多いな。…っと、自己紹介がまだだったな。俺はここのギルドマスターのヒューズ・マイトだ。もう分かっていると思うが、今から魔力の測定と属性の測定を行う。測定器は5つ有るから床にある━━━赤いラインで順に並んでくれ。列が整い次第、測定を始める」
ヒューズが言い終わらない内に、人が動く。
5つの測定器の左端から順に列が整い、測定が開始された。