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魔王は友を思いみる  作者: こまど
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盗賊さん

森をさまようこと1日、未だ街はみつからず、あるのは木、時々花。

さすがに歩き疲れた、冬歌は疲れて寝てしまっている、仕方なく背中におぶって歩いている。唯一の救いは冬歌が軽いってことぐらいだ、てか軽すぎる気がする。俺の上で寝た時も感じたが、異様に軽かった。ちゃんと食事はとっていたのか、心配になって来たな。ちゃんと食事を摂らせるために早く街につかなくては


メルさんや、道はわからんかね。見つかる気がしなくなってきたのですが、最後の頼みはあなた様だけなんです


『わかりません』


なんだよ、物知りメルさんにわかんないことがあんのかよ


『私はナビではありませんので、現在地がわからない以上どうしようもできません』


まあそりゃそうだけどさ、なんだかな。

ただ歩いているだけではダメな気がしてきた、メルさんが使えなくなった今、俺に出来ることは歩きながら考えることだけだ

……だけなのだが、まったく思いつかん。まあ食料は今のところ余裕があるし、時間はある。だがしかし、いつまでもこうしてるわけにはいかない、うーん……

あ、そういえば。なあメル


『はい』


ずっと気になってたんだけどさ、この森って動物とかっていないのか?一匹もでくわしてないし


『いえ、普通の場合は生息しています』


じゃあなんで出くわしたりしないんだ?変だろ


『何らかの理由でこの辺りには動物が生息していない可能性があります』


なんだよその理由って


『気候の変化や縄張り争いで数が急激に減った、あるいは盗賊や山賊などが狩り尽くしたのか。こちらでは動物などを狩ることに規制などはかかっておりません』


最初のはわかる気もするけど盗賊や山賊って、存在するのかそんなのが。少し見てみたい感はある


『それでしたらほら、あちらにいらっしゃいますよ』


ん?あちらってどちら?


『その草むらの中です、呼んでみてはいかがですか?』


呼んでみてはってあんた、もしかりにいたとしてさ、その後どうなると思ってんの。


『まあ貴方は殺されてしまうでしょう、そしてそういう趣味がある方がいた場合、冬歌様は慰みものとして使われるでしょう』


そうだよ、なのでもし本当にあの草むらにいたらの場合を考えて、ここは迂回していくのが正解だ


『いえ、もう手遅れかと』


へ?


「ようあんちゃん、こんな所で何してんだ?」


右に迂回しようと方向を転換するとそこにはなんともたくましい筋肉を持った男が立っていた


「ちょ、ちょっと道に迷ってまして」

「そうか、こんな所で道に迷うなんてあんちゃんも災難だったな」

「ええもうそりゃ、もう二度とこんな所には来たくないです」

「そうしたほうがいい、ここらには俺らみたいな奴がいるからな」


そう男が言うと今までどこかに隠れていた仲間と思しき連中がぞろぞろと出てきた、2桁はいっているんじゃないだろうか。こんなに隠れていたのに気づかなかった俺って相当だな


「あ、はい。次からは気をつけますんで、それじゃあ……」


別れを告げて男たちの隙間を縫うようにして抜けだそうとする、が肩をものすごい力で掴まれる、まっるで万力のような力に方がミシっと音を立てた


「まあちょっと待てやあんちゃん」

「な、なんでしょうか、自分達は急いでいるんですが……」

「そう言うなって、ちょっと俺らとお話でもしようぜ」


絶対お話だけじゃない!


「いや本当に急いでるんで、失礼します!!」


ここで捕まったら完全にアウトだ、俺の肩を掴んでいる手を振り払い走りだす。背中のメルはまだ起きていないようだ、走ってたら起こしてしまうかもだけど今はそれどころじゃない


「お前ら!全員で捕まえてこい!」

「「「へい!」」」


男たちの野太い声が森で反響する

木などを使い死角をつきながらジグザグに進む、足の速さは同じぐらいなのだがいかんせんこちらは冬歌を抱えている、その分俺も体力の消耗が激しい、それに小回りが効かない

だからといって直線に走っていてはその内追いつかれてしまう、どこかでまかなければいけない。

俺と盗賊だか山賊だかの追いかけっこは数分続いた、大木に隠れようとその先へと走るとそこには泉が広がっていた、半径数十メートルはあるだろう大きな泉だ。そしてその泉の周りには木がそれを囲うような形になっており、軽い広場みたいになっていた

もう体力もあまりない、そしてもうすぐ男たちはやってくるだろう


「ん……どうしたの?」


どうやらこのタイミングで冬歌が目を覚ましたらしい、よく今まで起きなかったな


「変な男たちに襲われてな、逃げてたんだけどもう無理だ。体力が持たない」

「そっか」

「なんだよ、怖くないのか?」

「怖い?なんで」


すげえなこいつ、将来はきっと大物になるな。いや、現状をちゃんと理解していないだけか

子供のこんな所は少し羨ましくもあるな

ここから逃げることなんて出来ない以上、ここから見える泉を眺めて彼らを待つことにした……ん?泉……?


「なあ冬歌」

「なに?」

「泉に飛び込むのってありだと思うか?」

「夏目が入るなら私も入る」

「そうか、そいじゃあちょっと、あいつらがここから立ち去るまで。俺と一緒に潜水でもするか」


服は……冬歌は着たままだな。ここで脱がす訳にはいかない、俺は上を脱いで手短な木の陰に放り投げた

持っている果実もそこに一緒に隠しておいた、さすがに一緒に入る訳にはいかないからな


「ちゃんと捕まってろよ」

「わかった」


首にかかる冬歌の腕の力が強くなった、そのまま静かに水の中へ入っていく、身体がほとんど浸水した後、見えないようにふちの部分をつかむ。

少しして奴らがやってきた


「ちぃ、あいつらどこいきやがった」

「お頭どうしやす、あいつらはもう諦めたほうが良いんじゃ。どうせ捕まえた所で何か金目のもんを持ってるとは思えませんぜ」


お、いいぞ。もっと言ってやれ

その下っ端と思わしき男の言葉に周りの奴らも声を出し始めた


「まあ確かにそうだよな」

「捕まえたって使えるのはあの少女だけだしな」

「え、お前まさかロリコン?」

「幼女の良さがわからない奴は黙ってな」


捕まるわけにはいかない、メルの言ってた特殊な性癖のやつがいる


「いや、やっぱり捕まえるぞ。それに俺はバイだしな、両方いけるぜ☆」


絶対に捕まるわけにはいかない!

この声はお頭って呼ばれてた、おそらく最初に俺の肩を掴んできたやつだ。あんなゴリゴリに……考えるのはやめよう、心が折れてしまいそうだ


「もう少し向こうまで行ってみるぞ」


どうやらここから立ち去るらしい、俺は小さな声で冬歌に大丈夫か聞いてみた、返答は大丈夫らしい、だけどやはり水の中は冷える。このままでは冬歌が風邪を引いてしまいかねない

あいつらは少しして移動を始めた。それをすこし待ってから泉から這い出る

当然というか周りには誰もいなかった


「よし、もう大丈夫だ」


背中から冬歌をおろす、見ると当然ながら服が水を吸っており、身体に張り付いていた。冬歌は濡れた服の裾をもってぎゅうっと絞り始めた


「冬歌、それ脱いでこっちの着とけ。風邪ひいちまうぞ」


木の影に隠しておいた俺の服を冬歌に投げ渡す、冬歌は服を脱いで着替え始めたので俺は見ないように背を向けて横になった

どうせやつらはもうここにはこないだろうし、一休みといこうじゃないか。この天気だ、起きる頃には冬歌の服も乾いているだろう

などと考えていると着替え終わった冬歌が俺の隣にやってきた、そして俺の背中に抱きつくようにして横になった

後ろから抱きつかれるというシチュに喜びそうになる、だがその反対に少し不安になる、いったい過去に何があったのか、冬歌と俺の関係はなんなんだろうか。最初目を覚ました所にあった水面で顔を確認したが顔は似てなかった、つまり少なくとも血のつながった兄弟とかではないだろう。

いつか俺の記憶が戻った時にわかることなのであって、今の俺に知る術はない、早く思い出してやらなくちゃな

筆者は少女がだいすきです

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