質問たーいむ
ますくって……凄いですね
目が覚めた俺が最初に感じたのは、足の麻痺した感覚だ、指の先を動かしてもそこが動いているのかどうかもわからない
日も上がっていていい頃合いだし、そろそろ冬歌も起こすことにしよう。あ、そういえばメルも寝たりするのだろうか。今日はメルについても聞いてみよう
『起きています、といいますか私には睡眠は必要ありません』
あ、そうなのか、予想してはいたがやっぱり寝なくてもいいのか、俺達が寝てからの夜の間はさぞかし暇なのだろう
『暇という程ではありませんが、そうですね、ただ時間が流れていくのを待っています』
待ってるって、それってお坊さんとかが修行で瞑想しているのと同じようなものなのだろうか。だとしたら相当な精神力を獲得できそうだ、そのうち必殺技とか憶えたり出来そう
『必殺技ですか、この世界で言えば術式がどちらかといえば当てはまりますね。ですが私は新しい術式を覚えたりは出来ません』
術式って、昨日も言っていたな確か。というかこの世界ってことは、やっぱりここは俺の知っている地球の日本ではない、別の世界といことなのだろうか
異世界に転生した俺、なんだか物語の主人公みたいだな
『異世界という言い方は少し違いますが、概ね間違いではありません。それよりも良いのですか?』
何がだ?
『起こさなくても』
俺の足は麻痺から耐えようのない痺れに進化した、分かる人は凄く共感してくれると思うが、長い間血が止まっている状態からそこに血が流れると、なんともいえないバチバチとした苦痛がやってくるあの感覚。今まさに俺はそれに襲われていた
麻痺が引いて冬歌が完全に目を覚ました頃、日の傾きからまだ午前中ではあるのだろう。俺たちはどこか人が住んでいる土地を求めて歩き出した
道中……もとい森の中を歩きながら俺はメルに色々疑問に思っていたことを質問していた
『この世界は貴方が元いた世界とは異なります』
やっぱりそうなのか
『はい、科学が発展した世界が元いた世界、ここは術式と呼ばれる物が発展した世界になります』
術式、魔法みたいな物か?
『解釈は人によって変わりますが概ねその通りです。術式は言葉をトリガーによって発動します、その効果はこの世の物理法則とは別次元の物です。そうですね、よくファンタジーに出てくる魔法や技などで、水を生み出し、それを使って攻撃するというものがあります』
ああ、確か空気中の水分、つまり水分子をかき集めることで攻撃するとかよく書いてあったっけ。てかよく覚えてるな俺
『それも物理法則を無視した物です』
人の手によって空気中の水分子をかき集めるなんて、確かに物理法則に反してるもんな。そこに何か機械的な物が加わればそうでもないかもしれないが
『そうではありますが、問題はそこではありません。空気中の水分を集めることはできても、その質量はたかが知れているということです』
あ、そっちね。でもたかが知れているとはいえ、広範囲から集めれば何とかなるんじゃないか?
『そうですね、数十メートルから、数百メートル単位の範囲で集めれば何とかなるかもしれません。それも条件がかなり良い状態ならです』
そんなに少ないの?空気中の水分て、まあ目に見えないぐらい小さいわけだし、そう言われればそうなのかと納得してしまうが
『原子には3つの原則があります、増減せず分裂しない。厳密には増減させることは可能ですが、それには莫大なエネルギーが必要になってきます、人間1人でどうこうできるものではありません』
うーん、少し俺には難しいかもしれない。前の俺はさぞかし勉強という物を嫌っていたと見える
『貴方は勉強は嫌いでした、授業などもずっと寝ておりました』
あ、やっぱり
『はい、ですがそうなら例えを変えましょう。透明になる魔法などはどういう原理かしっていますか?』
自分に当たる光を湾曲させて、自分に当たらないようにするんだっけ?
『その通りです、人間などの生物は目に入ってきた光を見ています、ですがそれには膨大な計算と環境把握が必要になってきます。光とはただ一方から来るのではなく、様々な場所から様々な角度で放射されます。それらを計算し自分がそこに居ないように見せるのは、人間の脳では不可能です』
人間の脳では、ということはコンピュータなどならできるということか、でも確かにそう考えるとあれって本当は無理なのか。いやでもステルスヘリとかはどうなんだ?レーダーに映らないってやつ
『視認は普通にできます、ステルスヘリなどはレーダーなどが放出する波が反射しない加工をしているのです、なので透明なのはレーダーにだけです』
じゃあ無理ってことなのか、うーん、なんだか夢のない話だな
『夢は関係ありません』
あ、はい、さいですか
『つまり、それらの物理法則に縛られること無く使うことができる、それが術式というものです』
俺はこの世界の人間じゃないんだろ、それって俺も使えんの?
『貴方は使用することはできません、この世界に来る代償としてその権利を失っています』
うーわ、凄いショック、わくわくしてたのに急にさめて来ちゃったよ。
てかなんで俺はそれを放棄してるわけ、バカなんじゃないのか
『この世界で使えないのはおそらく貴方だけでしょう』
え、冬歌は?冬歌は使えんのか?
『はい、彼女は使えます。それ以前にこの世界で術式を使えない人間はいません』
1人も?
『はい、ですが貴方は特殊な例なのでその限りではありませんが』
俺だけ使えないなんて人生ハードモードはつらいです、イージーモードが良かった
っとそうだ。ここが異世界ってことは言葉は通じるのか?おそらく……っていうか絶対違うだろうから、町とかについてもどうしようもなくなる
『言語は統一されています、日本語で通じますので大丈夫です』
おっと、ここに来てちょっとイージーに近づいたぞ。でもなんで日本語で統一されてるんだ?まあいいか、言葉が通じるのならそれで
次は何を聞こうか……異世界といえば、この世界って魔物とかいたりすんの?
『存在します、この世界の術式などの影響で凶暴化した物をそう呼びます。術式はその場に特殊な磁場を生み出します、その磁場は数日で消滅するのですが、その磁場に当てられた動物が稀ではありますが変異し、その使われた術式に準じた能力を持った魔物になります』
自然に生まれたりはしないのか?繁殖したり分裂したり
『自然に生まれることはまずありません、ですがこの世界では日常的に魔法が使われています、なので魔物の数は計り知れません。魔物自体も特殊な磁気を発しているため、新たな魔物が生まれます』
うわ、それじゃあこの世界の魔物ってのは増殖量がはんぱじゃないな
『はい、ですので傭兵や国の部隊が定期的に排除しています』
やっぱり放ってはおけないんだな、でも傭兵か、日本じゃそんないなかっただろうし、そういう所も異世界っぽくていいな
ここまで話していて気になる点がひとつ、メルさんは物凄い物知りである、聞いた質問にはすべて答えてくれる。グー○ル先生並だ、ここまでくると少し怖くもなってくるし、メルの正体も知りたくなってくる
『私は貴方の契約者です』
契約者、今日の朝聞いたときもそう言われた。契約者とはなんなのかは教えてくれない、俺の過去と同じように理に反するらしい。よくわからないけど
まあいいか、メルが何者であろうとも、俺の契約者ということは敵ではないってことだし。聞きたいこともだいぶ聞けた、後は街などについてから自分で調べよう、なんでもかんでも聞いていちゃ成長はしないからな
でもどうしようか、働けるか心配になってきた、俺はまだ未成年だ、中学卒業しているのかどうかも怪しい、この世界にも中学校があるのかどうか知らないけど
『あります』
あ、あるんだ。って最悪じゃん、最悪の場合フリーターにもなれないかもしれない
『大丈夫です、傭兵は腕が確かなら入れますので』
腕ってあんた、おそらく平和に過ごしてきた俺にそんな物を求められても困るんだよ、筋肉は普通の人よりはあるみたいだけど、それでも筋肉だけでどうにかなるようなものでもないし
でももし仮に職をみつけられなかったらなるしかないか、今からでもイメトレしておこうかな……
イメトレって大事ですよね、自分に都合のいい展開作れるのでたのしいです