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魔王は友を思いみる  作者: こまど
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傭兵会社2

二メートル強ぐらいの門の中は以外にも賑わっていた、行きかう商人と思わしき人の声と人の笑い声が響いていた。この街キニアケスクは商業で栄えた国で、夜でも活気が途絶えることがなく、今もこうして商売の声が響いている。入ってすぐの所にある馬車を駐留させて置くことが出来る場所に置いて中にはいる

ケインさん達はこの門をくぐってすぐ分かれた、街の中に入ってしまえば盗賊や魔物に襲われる心配はない、別れ際にデミアさんが紙に印を押してもらっていた、多分それが依頼が完了した証になるんだろう。

そんなわけでダイアスの人達と一緒に、活気の中を進むこと数十分でダイアス傭兵会社とかかれた、看板が立てかけられた木造の建物についた。


「おう、俺は報告を済ましてきちまうからよ、お前らは帰っていいぜ」


ダイアスさんが声を張り全員に聞こえるように言う


「え、いいんですかい?盗賊に逃げられた件とかどうするんですかい」

「あのなあ、いいか?俺らが依頼されたのはどんなやつだ」

「えっと……依頼人である商人の救出でしたよね」

「そうだ、その依頼の中に盗賊を捕まえるなんて物は存在していない、なら盗賊達のことは報告する必要はないよな」


他の人達がなるほどと手を叩く

おいおい、いいのかそんなんで、適当すぎだろ


「夏目は一緒について来い」

「え?俺って何かしましたっけ」


デミアさんに呼び止められる、まあ行くところがないからいいんだけどさ、冬歌を見ると頷いてきた、了承ってことでいいのかな。


「いやな、あの商人達の坊主がいたろ、あいつが言うにお前は行く当てがないんだろ?だったらここで働いてみないかって思ってな、どうだ」

「いいんですか!」


これは思ってもみない提案だ、これから職安所に行くのも遅いし、まずそんな物があるのかもわからないしな、あったとしても働けるかわからない、ここはついていくのが正解のはずだ。


「おうよ、俺が口をきけば一発よ、ついてきな」

「は、はい!行こう冬歌」

「うん」


二枚扉を開け放ち、中に入ってすぐに見えたのは、受付と複数の木製の椅子とテーブルだ。

そこを通り二階に上がる、二階には複数の扉があり、いくつもの部屋があった。なんなのかよくわからないけど、そこもスルーし最上階の三階に上がる。

三階には応接室と書かれた部屋と社長室と書かれた部屋があり、社長室の前で止まる。数回のノックの後中から入れと声がし、それを聞いて扉を開け中に入る。


「はいよ」


入ってすぐ中にいる女性に紙を渡すデミアさん


「無事依頼は達成、ちょろい仕事だったぜ」

「軽率な発言は控えなさい、仕事に対してそのような心構えで望まれては困ります」

「そんなことはわかってるって、今はその仕事も終わったんだしいいだろ?」


デミアさんを一喝した社長と思わしき人物は銀髪をなびかせ、渡された紙に印を押す

一言で表現するならば綺麗、ストレートなその髪は腰まで伸び一挙一動につれサラサラと揺れる。少しつり目できりっとした顔、少しきつい印象があるがそれもその女性を引き立てる要素になっている


「まったく、あなたはもう少し自重してください、あなたがそのようでは他の人達に示しが付きません」

「あいかわらず堅苦しいな社長は、いいだろこれぐらい、大目に見てくれてもよ」


やっぱり社長だったか、てか自分よりも立場が上の人にタメ口とか凄いな、それが許されているのだから

仲いいというか、信頼されているのだろう


「それよりもよ、ちょっとこいつみてくれ」


デミアさんにつままれ前に出される


「ん?そちらの方はどなたですか」

「ああ、こいつはな、商人達と一緒に捕まってたやつでな、行く当てがないってんでどうせならと連れてきたんだ」

「はあ、それで」

「こいつをダイアスにいれちゃあくれねえか」


そんな頼み方でいいのか?と思うがここは口を出さない方がいい


「ふむ……」


女性は値踏みするように俺と冬歌を見た、なんかちょっと恥ずかしいな


「君達の名前は」

「は、はい。俺は夏目、こっちは冬歌っていいます」

「わかりました、それではまず、君達にいくつか質問をさせてもらってもいいでしょうか」

「な、なんなりと」


どんな質問が来るのか、戸籍とかないからなあ、そこらへんつかれると何もいえなくなってしまう。


「戦闘経験は」

「ありません」

「そうですか、行く当てがないとのことですが、それまでは何をしていましたか」

「か、家事手伝いです……」

「特技はありますか」

「お皿を同時に二枚洗えます、それと掃除は好きです」


やばい、今のところ俺は家政婦以外の何者でもない。


「そうですか……」


うわあ、考え込んじゃったよ、仕方ないよな……傭兵会社がなんで家政婦やとうんだよ、いや俺家政婦じゃないけどね


「それでは最後の質問です、あなたは人を殺すことができますか」

「へ?」

「ここは傭兵会社です、その仕事の中には用心警護や魔物の討伐などがあります、そうすれば当然戦闘などが起きたりするでしょう。そんな時あなたは人を殺すことが出来ますか」


言われて考える、今までそんなことをする場面なんてなかった、魔物ならまだできるかもしれない、けど人を殺す……


「多分……できません、そんなことなかったし、突然そんなこと言われても……」


一般人には荷が重過ぎる行為だ、社長も考え込んでしまった。しかたない、今日はもう遅いし明日にでも職安場を探そう、うんそうしよう


「いいでしょう、貴方達の入社を認めましょう」

「へ……?いいんですか、でも俺、戦ったこともないし、人も殺せないし」

「いいのです、最初から人を殺せるなんて、そんな人をどうして信用できますか。人なんて殺せない方がよっぽどいいのですから」


はあ、そういう物なのか?確かに人を殺せるなんてどうどうといえる人は、狂人か何かだろうけどさ、でもいいっていうのならいいのだろう


「それではまず手続きから始めましょうか、デミアはもういいですよ」

「お、そうかい?それじゃあな」


デミアさんは紙をヒラヒラとさせながら出て行った


「夏目君と冬歌さん、歳はおいくつですか」

「歳ですか、えーっと……」


俺って今何歳なんだ?一切自分のことを知らないからなあ、うーん


『19歳です、冬歌様も同様です』


ってなんでメルが知ってるんだ、俺より俺に詳しいな。

あれ……冬歌って19なのか?流石にそれはありえないだろ、見てみろこの幼児体型、大目に見ても中学生ぐらいだろ、それでも信じられないレベルなのに


『私は事実を申しただけです、冬歌様は19歳です』


そ、そうなのか……まあそこまで言うんなら


「俺は19歳で、冬歌も……19……です……たぶん」


最後の方はほぼ声になっていなかった


「19ですか……両方とも、まあいいでしょう、体型などは人それぞれですから、嘘もついているようには思えませんし」


おうふ、通ってしまった、根拠も嘘をついてるように見えないってだけで、いいのかそれで傭兵会社。まあ俺からすればありがたいんだけど


「それから、宿などはここを使ってくれてかまいませんよ」

「ここ……ですか……?」

「ええ、ここの二階は居住スペースになっています、いくつかの部屋を用意してあるのですが、今は空きが一つしかないので、夏目君と冬歌さんの相部屋になってしまいますが」

「ええ、それでかまいません、ありがとうございます」


寝床まで用意してくれるなんて、いいことが連続して起きすぎて逆に怖いな、帳尻あわせに不幸が舞い込んできそうだ


「後がこちらでやっておきます、今日はもう寝たほうがいいでしょう。これは部屋の鍵です、また明日私のところまで来てください」

「なにからなにまでお世話になってしまって、ありがとうございます、えっと……」

「ああ、そうでした……まだ私の名前を言っていませんでしたね。リアです、これからよろしく尾根以外します」

「はい、よろしくお願いします」


リアンさんから鍵を受け取り社長室を後にする、階段を下り自分の部屋の鍵を開け中に入る

一つのベットに机と椅子、それにクローゼット、元々一人部屋なのだろう。窓は大通り側にあり街頭の明かりが中に入ってきていた。

今日はもう疲れたし寝てしまおう、カーテンをしめベットに寝転がる


「どう」


掛け声を出しながら冬歌もベットダイブしてきた、ギシっときしむベット。

冬歌の頭を何気なしに撫でると気持ちよさそうに目を瞑った



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