Episode.6 恋の絡みは事件を呼ぶ……!?
蒼い空にゆったりと流れる雲、明るく照る太陽に爽やかな風……天気は良好。
待ち合わせ場所の噴水が目印の公園に、一際目立つ少女の姿があった。
彼女の名は九瀬霧亜。某お嬢様学校に通う、生粋のお嬢様だ。性格はかなり際どいが。
上は白をベース、下が花模様のシフォンワンピで、靴にパンプスという出で立ち、さらに金髪の縦ロールとなれば注目を浴びるのは想像に難くない。
顔より大きなブレードハットを被ることでさらに上品さ気品さを醸し出し、お嬢様然としてのかわいさを周囲に撒き散らす。
霧亜は鞄から鏡を取り出し、何度も見て髪を整えたりして落ち着かない感じでソワソワしている。
そんな様子を、懸魅音幸太は望遠鏡を通して見ていた。
「遅いですわ!このわたくしを待たせるとは、万死に値します!」
──いや、まだ10分以上も待ち合わせの時刻はあるのだけど……
心でツッコミ、体は木陰に隠して霧亜を監視しながらクラスメートの梅岡奈緒を待つ幸太。
それもこれも、奈緒の提案に幸太が提案を上乗せした結果が生み出したものだった。
奈緒が「遊園地に行かないか」と誘い、それを即答に返事した幸太だったが、奈緒の目論見が分かった上でさらに「だったら、最初から見ていた方が面白いのではないか」と提案を重ねて、準備体勢を万全にして今に至る。
「ここに居たのね。捜したわ」
目を霧亜から離さずに待つこと数分、奈緒が到着した。
さすがに目を話して奈緒の居る方に目を向けると、そこには美少女が居た。否、私服姿の奈緒だった。
普段見慣れない私服だからか、幸太の目には奈緒がかわいく見えたのだ。
「なによ」
ちょっとぶっきらぼうな彼女に、
「うぅん」
と返して幸太は上着のポケットから何か黒い、勾玉の形状した線無しのイヤホンを取り出して奈緒に渡す。
「これ、なに?」
「インカムだよ。これで二人の会話を聴くんだよ」
恋愛について幸太は積極的でどれだけ準備がいいのか、奈緒は感心を通り越して呆れた。
「こんなのどこで手に入れたのよ……?」
「ん?ちょっとした知り合いから手に入れたんだ。発信機なら九瀬さんに付けてあるから、耳に掛けて、横のスイッチを入れれば聞こえるはずだよ」
もはや絶句の奈緒だが、ここは言うとおりにして耳に装着してみる。
掛けてみて、あまりの違和感のなさに奈緒は驚いた。
──て、こんなのに驚いてどうするのよ
興味対象はあくまで幸太ではあったが、さらに幸太に対しての興味が一層深まる奈緒だった。
探ると、ボタンみたいなポッチがあったので、押してみると──
『もうっ。どれだけ待たせれば気が済むんですの!これだから一般ピーポーは嫌いなんですわ!』
見事に霧亜の甲高い声が耳に響いた。
これに奈緒は顔を歪ませてぐったりとした。
* * * * *
九瀬霧亜は、田沼翔太郎という男に多少の興味を抱いていた。
お嬢様が集まる女子校生である霧亜は、あまり男性に触れる機会が少ない。よって、熱い告白を受けた霧亜は心の感情画なんなのかをわからないままに誘いを受けた。
この感情を知る為に。
「べ、別にたいしたことはありませんわ」
誰に向けてるのか、独り言をごちる霧亜。
「それに、わたくしがあんな底辺に生きてるようなゴミムシ風情なんかにどうこうなんてありませんわっ。ええ、もちろんですとも!」
拳を胸の前で作り、意気込む霧亜。
そこに、翔太郎の呼び掛ける声が。
「お待たせしました!霧亜さん!」
「遅いですわ!あと軽々しく下の名前を呼ばないでくださいましっ」
霧亜は半分照れながら怒鳴る。
翔太郎は少し怯えながら、それでも笑顔で対応する。それは相手が意中の相手だからと、自分に対して何かしら言ってくれるのが嬉しいからである。
「ご、ごめんなさい……」
「ふ、ふんっ。素直で宜しいですわ」
ヤケに素直な翔太郎の態度に霧亜は戸惑いながらも許してしまう。
「では行きますわよ」
「はい!」
荒立てながらも優雅な歩きに合わせてウキウキと着いて行く翔太郎。
「行くわよ」
「うん!」
その後を探偵さながら尾行を開始する二人の姿。
こうして霧亜と翔太郎の初々しいデートが始まったのだった。
ひさしぶり投稿となります。
どうも、ゆきゆきこと宛 幸です。
執筆をして行く中、物語を組み立て構成し創り上げて行く。そこには様々な思いや想い、伝えたい意思など、逡巡する考えが迷路の様に交差しています。
それと同じくらい、僕たちは現実でいろんなことを胸に秘めながら生きています。
それは幻想ではなく、今を生きることを目的として、数ある運命から1つの道を選び歩く。自分が後悔しながらも、限りある時間の中を苦しみながらも必死になって得難い達成感や喜びを見いだしては導いて行く。
人というのは感慨深いモノですね。
一人では生きていけないくせに、一人になりたがったり、一人を嫌うくせに群と成すのを拒みもする。
好きなことがあるのに、できないからと最初から諦め、少しの可能性を信じることが出来ずにステージに上がらずにいる。
僕はできるなら、輝きたいと思う。
自分が信じた道を行き、自分なりの明るさを道に示し、自分でたどりながら未来へと向かって歩きたい。
そんなことを思っています。
と、片割れのそーらんことあおの蒼穹さんがお忙しくなかなかこっちに手を出せずにいるため、僕が代わりに長々しくオチもなく語ってみましたが、どうもまとまりがなくてなりません。
どうぞ流してください(笑)
では次はいつになることかわかりませんが、次があることを祈って、これからキャラ達がどう動いて行くのかを楽しみにしていてください。
長文失礼しました by.ゆきゆき