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雪空学園数奇譚  作者: そーらんとゆきゆき
2/7

Episode. 1 禁断の恋が始まる……!?

「あら、おはよう」

 奈緒は自分のクラスに行くと、隣にいた人物に挨拶をする。先に学校に来ていた男子生徒――魅懸音(けみね)幸太(こうた)はビクっと体を震わせた。大仰な名前で初対面の人はまず読めたことがない。奈緒もこの名前を見た時は訳が分からなかった。担任になった教師も首を傾げていたものだ。


 ビクビクしながら話すので、もう笑いものだ。いつも一人で、あまり人と関わろうとしない彼は、クラスでも影のような存在だった。

 つい先日の席替えで隣になったこともあって、奈緒はジロジロと幸太のことを観察してみた。奈緒の目は好奇心に満ち溢れている。面白いものを見た目だった。それからと言うものの、幸太に関わり続けていた。幸太を見ているだけで面白かった。

「そうそう、幸太君。私今朝面白いものを見てね……」

 奈緒は薄い反応を示す幸太に話しかける。幸太が乗って来るであろう話題を用意していたのだ。

「今朝ね、この近くのお嬢様学校を偶然通りがかったのだけど、熱心にある女子生徒を見ている人がいてね。それも見ていたのは私達の学園の男子生徒よ」

 奈緒はこの近くにあるお嬢様学校を経由して学校に登校してきていた。制服がお洒落でこの近辺の女子生徒からは人気だった。ただ、鼻に付くくらいのお嬢様なのだ。お嬢様歩き、お嬢様しゃべり……等々。全く親のお金だろうに……おっと言っちゃいけないことか。奈緒は一人で苦笑する。そんな奈緒の様子を気にせず、幸太はいかにも興味があると言う視線を奈緒に向けてきていた。


 ――お、乗ってきた


 奈緒は心の中で頷いた。幸太はこういう恋愛話が大好きなのだ。

「まったく馬鹿よね。あんなお嬢様との恋だなんて。あの女子生徒見ると性格最悪よ? それとも、逆玉の輿でも狙ってるのかしら。馬鹿よねえ……。そんなんじゃ全然だめなのに。ねえ幸太君?」

 挑発するような視線を幸太に向けた。幸太は、首を振って、

「……全然だめじゃない。むしろ、禁断の恋だからこそで、そこに二人の愛があるとすれば!」


 ――ありゃー、完全に入っちゃってるわ。


 奈緒は苦笑する。こんな同級生がいるから、学校は止められない。面白い……面白いなぁ。

「僕達に何かできることないかな……ね、梅岡さん?」

 幸太はそう言って奈緒を誘う。実は奈緒が望んでいた通りになっているのだ。このようにして幸太を上手い具合に引っ張って巻き込んでいく。なぜかって? 面白いからだ。幸太といると面白いったらありゃしない。

「そうねぇ……でも、男子のほうは思いっきり田舎者で体育会系だし……優しそうではあるけど。でも、相手は高飛車お嬢様然なのよ? あれは無理ね」

「そんなことはないと思うっ。さっきも言ったけど、二人の愛があるとすれば、きっと!」

「――片思いなのに?」

「片思いだからこそ、きっと熱い気持ちがあれば、想いは相手に伝わるよ……!」

「そうねぇ……」

 幸太はもうやる気満々だ。そうして二年生の教室に向かおうと持ちかけてきた。高飛車お嬢様に熱い想いを送る男子生徒は上級生だったのだ。


 ――全く、いつもは影なのに。こういう時だけは違うのよね。


 奈緒は幸太の後をついていきながら、そっと笑みを浮かべる。これからも幸太と離れることはないだろう。だって、面白いから。一緒に居る理由はそれだけで十分だ。

 面白い……面白いなぁ……。

 奈緒は再度呟いた。

 そして、奈緒はやる気に満ちた幸太を見てさらに笑みを強める。

 次はどんな面白いことが起きるのだろう。楽しみだ。

ここまではあおの蒼穹さん書きました。

次は僕の番です。

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