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再会を抱擁で噛み締めて
「ようやく、会えた・・・リュー」
おそらくは客室であろう部屋に通された僕に騎士は突然抱きついてきた。
目の前には茶色く長い髪がふわりとゆれ、花のような香りを僕は感じ取った。
胸に突撃されても痛くないのはきっと兜を脱いだからだろう。
「え・・・」
キョウは僕らの行為にドン引きしている。いや、キョウも同じような感じだから!
そして、多分この騎士はキョウみたいに男じゃないと思う。
「リューに命を助けられてから、ずっと君の側に居たんだ。だけど・・・!ずっと植物状態で!」
鼻をすすりながら泣いている。僕は胸の中に居る騎士の頭を撫でた。
「色々頑張った!だけど!何年たっても君は・・・!」
多分、話から察するに・・・。
「私が、おばあちゃんになっても・・・ずっと起きなかった・・・」
そう、きっとこの言葉をかけてあげるべきなんだ。
「久しぶり、小太郎」
ぎゅっと抱きしめる。そのまま小一時間ほど、僕達は再会を噛み締めていたんだ。
11月24日分
新章突入!√Bです。
√Aは『異世界からの帰還』をご覧下さい。