02 勇者に洗脳魔法がかかってしまった
そんな俺が住む町に勇者様がやってきた。
勇者様は魔王を倒す役目を持った、すごく強い人だ。
名前はエスト。
年は20代くらいかな。
顔はイケメンらしい。
俺が住んでいるのは辺境だけど、似顔絵とか出回ってるし、新聞とかでも情報が出てるから、顔知ってる。
この世界にはな、魔王なんてもんがいて、そいつが魔物を操って皆を困らせてるんだ。
だから、そんな魔王を退治するために選ばれた特別な人というのが勇者なんだよ。
勇者様は数人の仲間と共に今、魔王を倒すための旅をしている。
けど、この勇者様が問題だ。
いや、勇者様自体に問題があるわけじゃなく。
勇者様に魔法がかかってしまったのが、問題なんだ。
勇者様がこんな辺境の町に来てくれるなんて!
って、大盛り上がりした町の人たちが、歓迎パーティーをしたんだけど、その時にかかっちゃったんだよ。例の魔法が!
その時、お手伝いとして、お酒を用意していた俺は、悪ふざけをした悪友に無理やり酒をのまされたんだけどさあ(俺、お酒に弱いのに)!
あれよあれよと意識が混濁していって。一時間後。
あらまあ、びっくり仰天。
俺の魔法が、勇者様を洗脳していたってわけ。
なんて言うと俺の魔法が勝手にやんちゃしたように聞こえるが、意識がないけど俺がやったんだろうなあ。
何てことしてくれたんだよ悪友!
びっくりしている間にさらに酒を飲まされて、また意識が飛ぶ俺。
さらに目が覚めると洗脳の犠牲者が増えていた。
その結果、勇者様と勇者パーティーのみんなから「サクちゃん」とか「サク助」とか「サクっち」みたいな愛称で呼ばれて、ついでに肩もくまれ、恋愛相談なんかももちかけられてるよ。怖い! 夢なら覚めて!




