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第2話 紅の落ち葉

この作品は台詞・想い・擬音の三層のみで構成されています。

地の文はありません。

形式そのものが物語です。

「下の町で大火事があって、それに便乗して、荒らしまわっている集団が多くてな、かたっぱしから金をぶんどったりなんだ」

「わかりました。局長」


「おい、今度にしておくからな」

「ああ、覚えていればな」

「俺の顔くらい覚えろ」

「お前のような女みたいな顔はすぐ忘れるだろうな」

「なんだと」


「局長、すぐ行きます」


「沖田さん、今日はありがとうございました」


「サチヨさんと言ったな。美味かったぞ」

「ありがとうございます。また、よろしければ、明日もお越しくださいませ」

「ああ」


「遅いぞ、沖田」

「斎藤さん、申し訳ありません」



うわあああ


ぐおおお


「火の手があちらにも飛び散っています」

「局長 局長、大変です」

「あれか、あの騒ぎは」


パチパチ


バチバチバチ


ギャー


ぐおおおおおおお


だあああああ


キャー

やめてください


はっははは


ボオオオオ


グオオオオオ


ガタガタガタガタ

ガアアアア


はははは


キャー


やめてください



スパ



ぐお



「おお、お前は誰だ」

「知らん」


やれ


うおおお



スパ


スパ、スパ



「やめてくれ、許してくれ、頼む」


うああ



「おい、沖田、さっきの男じゃないか」

「はい」

「あの剣のさばきは、ただ者じゃないな」

「そうですね、局長」


「あれは何だ、あの技は?」

「いえ、見たことはありません」

「そうだな」

「はい、局長」



ス、ス、ス、サー



「さすが、斎藤らしい動きだな」

「そうですね、淡々と切って回って、なんだか、あの男と似ていますね」


「そう言えばそうだな、話をしている場合じゃないぞ」

「はい」


「よし、こんなもんか、騒ぎも収まったな」

「そうですね、局長」


「土方、そっちはどうだ?」

「大丈夫だ」

「よし」



なぜだ

なぜ、俺はこうも人を斬りたい



サチヨさん

無事に帰れたかな


「師匠、下の町でなんだか騒動があったみたいですね」

「そうか」

「新選組と見知らぬ男が立ちまわっていました」

「誰じゃのう?」

「それが、わからないのです」




空しいものだな




ガハハハハ

今日も派手にやったな





「サチヨさん、昨日は無事に帰れましたか?」

「はい」

「それならよかった」

「沖田さんこそ」

「ああ」


「沖田さん……」

「どうしました?」


「やっぱり顔色が悪いです。近くに病を診てくれる方がいらっしゃるそうです」

「大丈夫だよ、サチヨさん」

「それなら良いのですが心配です……」

「だいじょうぶだよ」









どうして、春なのに紅の落ち葉が




どこに




ほら




俺には見えないけど







ひら ひら


ヒュ





「お前は誰だ」

「さっきの続きか」


「待ってください。沖田さん」

「サチヨさん……」


「お二人ともやめてください……」


「俺はどうでもいいがな」

「サチヨさんがそう言うなら、やめるよ」


「沖田さん、無駄なことはしないでください。新選組のお仕事があるでしょ」

「そうですね」


「あなた様も、おやめになられて下さい」



「では」


「沖田さん、新選組のお仕事でさえ危ないのに……」


「そうだよね、ごめんね…… サチヨさん、心配をかけて」



ヒュー ヒュー 

俺はいったい



ひらり


スパ





なんのために

どこに行けばいい

しばらく

さまようとするか



ざわざわ


サー



なんだ

この予感は

何かはじまるのか

空気の音がする


そこに俺は行くのか


「おじいちゃん」

「なんだ、清春」

「僕も剣の道を行きたい。お爺ちゃんみたいに強くなりたい」

「そうか、そこの棒を取ってみろ」

「うん」


「お爺ちゃんめがけて棒を当てみなさい」

「うん」


やあ


はははは


「お爺ちゃん逃げないで」


ははは


やめてくれ


ははは




「お父様」

「なんだ、静江」

「高田道場で教えられるのは体に堪えませんか……」

「ああ、大丈夫じゃ」

「それならいいのですが……」

「大丈夫じゃ。静江」

「はい」



「斉藤様」

「どうした」

「たまには笑ってください。斉藤様の笑った顔を見たいです」

「そうか」

「どうして、いつも考え事ばかりしているのですか」

「もういい。静江、もう帰れ」

「はい」



サチ


空に月がでているぞ


昼間からな


月とお前のことしか頭からはなれられない




「サチヨさん、今日は一つ鳥の卵をもってきたんだ。これを蕎麦にいれたらどうかな」

「美味しそうですね」

「そうでしょう」

「さっそく作りますから」

「頼むよ」

「はい」


「どうですか」

「美味しい。本当に持ってきて良かった」

「沖田さんの笑顔を見られるのが幸せです」

「何か言った?」

「いえ」



「高田先生」

「おお、沖田じゃないか。久しぶりじゃの」

「先生もお元気そうで何よりです」

「そう見えるか」

「はい」


「北辰一刀流の三突き、また見てみたいものじゃな」

「先生にもお世話になりましたので、是非、恩返したいところです」

「そうか、そうか、お手柔らかなにな」

「それでは、先生、失礼します」

「ああ、精進しなさい」

「はい」




あなた様


ほら、佑介が歩きましたよ


なんだと


見てください


ほら



おお


佑介


こっちだ


こっちだぞ


ほらほら



キャキャパア




俺は行かないといけない場所があるんだ


やめてください

お願いします

どうして黙っているのですか


どうして

黙っているのですか


わかっているだろう

もういいだろ


あなた様


相手はあの……


大丈夫だ。必ず帰ってくる



俺はあの時



なんだ、この記憶は


いったい、俺は誰なんだ


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