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異相の理  作者: 赤鰯 はこぼれ
第二章 その渇きは癒えることなく
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閑話 雨音と憂鬱

 私はあの人の望みを叶えなくてはならない。

 今の立場と環境は、その実現に最も適している。



 ならば、どうすればいいのだろう?



 雨が窓ガラスを叩く音だけが部屋に響く。

 雨は、苦手だ。

 じっとりとした湿気が、肌を包み込む不快感。それは私を、より一層陰鬱な気持ちへと誘う。



 ――もう、いっそのこと、殺してしまえば――



 しかし、それは許されないことだ。人の道から逸れてしまう。

 そこまで考えてから、私はふと思い至る。

 私ではなく、”別の何か”に殺させればいいのではないか、と。



 何も私が手を下す必要などないのだ。

 自分の行動によって、至る死であれば善い。



 なんだ、簡単な話じゃないか。

 こんなにも簡単なことに気が付けないだなんて、先生に知られたら笑われてしまう。

 そうと決まれば、計画を練らねばならない。

 先程までの陰鬱とした気持ちは消え失せていた。




 ***




 群蜘蛛の行動は予想外のものが多かった。

 無関係な人間も死んでしまったけれど、それは些細なことだ。

 そもそも、道から外れた人たちなのだから、遅かれ早かれ制裁は受けただろうし。


 幣原(しではら)が死んでくれたのなら、それでいい。

 私の目的は果たせたのだから。



 ああ、紅洋(こうよう)先生。あなたの教えは、今もまだこうして息づいています。

 全てを見届けたら、私も早くそちらへ行きますね。


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