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君がくれた無垢な愛を僕は今日も抱きしめる  作者: あさの紅茶


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4.君という独占欲_04

水瀬データファイナンスのビル前で陽茉莉は亮平が出てくるのを待っていた。


オフィスカジュアルに社員証を首から提げた社員たちがぞろぞろと出てくると、自分が何だか場違いなところに来ているように錯覚する。


空はだいぶ暗くなり、一番星が見える頃。

ビル群の中の夜空はあまり星が見えないけれど、それでも月がぽっかり浮かんで夜空を彩っている。


一通り人がはけた頃、車椅子の亮平が姿を現した。

とたん、陽茉莉の頬はへらっと緩む。


「お待たせ」


「いいえー。お仕事お疲れ様です」


「陽茉莉もお疲れ様」


「ねえ亮平さん、季候が良いから歩かない?」


「そういうと思って、長谷川さんは先に帰ってもらったよ」


陽茉莉は亮平の後ろに回ってハンドルに手をかける。

と、すぐに「陽茉莉」と呼ばれてもう一度亮平の横に顔を出した。


すっと差し出される左手になんだろうと首を傾げれば、すぐに陽茉莉の右手は亮平によって絡め取られる。


「今日は手を繋いで帰ろう」


「えっ、できるの?」


「できる、練習した」


亮平は片手で器用にハンドリムを操作する。

左手は陽茉莉と手を繋いだまま。


横に並んで歩くことが素直に嬉しい。


「えへへ」


「どうした?」


「なんか恋人感が増すよね。こうしたらどう?」


陽茉莉は握っている手を開いて、亮平と指を絡めた。いわゆる恋人つなぎというやつだ。


「幸せ」


ニッコリ笑う陽茉莉は亮平に寄り添う。

ふわっと香る甘い香り。洋菓子の香りなのか、はたまた陽茉莉のフェロモンなのか。いずれにせよ、亮平はその香りがとても好きだ。


「あー、お腹空いたぁ」


「何か食べてく?」


「うん、いいね」


帰り道には何軒か飲食店が立ち並ぶ。

時折芳ばしい香りが鼻を掠め食欲を刺激し、陽茉莉は思わずお腹をさすった。


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