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君がくれた無垢な愛を僕は今日も抱きしめる  作者: あさの紅茶


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2.君の笑顔_01

レトワールの自動ドアが開くと、カラランと音が鳴る。


「いらっしゃいませー」


明るく元気な声が店内に響いた。

いつになくご機嫌な様子の陽茉莉に結子はソワソワとする。


客がはけた隙を狙って、雑務をこなす陽茉莉の元へ赴いた。


「ねえねえ、テンション高いよね? なんかいいことでもあった?」


「ふふふ、実はそうなんです」


「えっ、マジ? なになにー?」


「実は、車椅子の君とデートすることになりまして」


「デート!」


「そうなんです。だから楽しみで楽しみで。うふふふふ」


陽茉莉は満面の笑みで緩みっぱなしの頬を両手で押さえる。


まさか亮平を訪ねたことで食事に誘われデートの約束までするとは誰が予想しただろう。急展開に驚きつつも、日を追うごとに嬉しさと楽しみで仕方がなくなっている。


それに、亮平の印象がとてもよかった。


いや、元々気になる存在だったのは確かだ。けれど実際亮平と話してみてもっともっと彼を知りたくなったし、なにより楽しかった。あの時間がとても尊いものに思えたのだ。


「……なんか、好きになっちゃったかも」


ボソリと呟けば、結子は呆れた顔でため息を落とした。


「何を今さら。ずっと好きだったくせに」


「えっ?」


「なにそれ。無自覚ってやつ? 車椅子の君が通るたびにキャーキャー騒いでたじゃない」


「あ、あれはだって、ファンだったから……ですよぅ」


「だから好きだったんでしょう?」


「うぐぐ」


他人から言われると反抗したくなるのはなぜなんだろうか。

まあ、結局は結子の言うとおりなのだが。


「よかったじゃない。デート、どこ行くの?」


「フラワーパークです。今は梅と早咲きの桜が見頃らしいですよ」


「へぇ~。冷えないようにね。車椅子って冷えそうじゃない?」


「そうなんですか?」


「知らないけど、うちおばあちゃんが車椅子使ったことがあって、その時は足が寒いってすごく言ってたわ」


「そうなんですね。じゃあいろいろ調べていった方がいいかな……。あっ、いらっしゃいませー」


陽茉莉は入口に走って出て行く。

入口は自動ドアになっているため勝手に開くというのに、陽茉莉はベビーカーと幼児を連れた親子がスムーズに入ってこられるようにサポートする。その動きは実に自然でなめらかだ。


そんな姿を見て結子は「ま、陽茉莉ちゃんなら心配ないか」とふふっと笑うのだった。


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