湖の少女への告白と、女神の奪われたファーストキス
絶望の影が宇宙で蠢く中、舞台は再び惑星クル・ナイの王宮へ。
クララ王女が目を覚まし、そして夜のゲストルームでは……。
ジェイズとリン(リンダ)の間に、予想外のハプニングが発生します!
読者の皆様、糖度高めのラブコメ展開をお楽しみください!
***
【惑星クル・ナイ —— 王宮・王族専用居住区】
女王の部屋での出来事から数時間が経過していた。
クル・ナイの月が銀色の光で宮殿を照らし、癒しのような静寂をもたらしている。
最高級のシルクで飾られた豪華な部屋で、クララ王女はゆっくりと目を開けた。
「クララ様!」
椅子から飛び起きたセレナが叫んだ。
「ああ、ようやくお目覚めですね! もう、すごく心配したんですよ!」
クララは光に目を瞬かせ、弱々しいが優しい微笑みを向けた。
「心配かけてごめんなさい……もうだいぶ良くなったわ」
部屋の隅で彼女の眠りを見守っていたヤミルが近づき、愛情を込めて妹の髪を撫でた。
「休んでおくれ、妹よ。今は絶対安静が必要だ。ひどいストレスに晒されて、君の体が悲鳴を上げたんだよ」
「お兄ちゃん……」クララは少し身を起こそうとした。「ジェイズ様たちはどこ?」
「ああ、彼らはゲスト棟で休んでいるよ」ヤミルは柔らかい声で答えた。「明日には地球へ帰還する予定だ」
クララの顔に罪悪感の影が落ちた。
「謝りたいの……。私が倒れたせいで、彼らに大変な重荷を背負わせてしまったわ。失敗のプレッシャーに耐えられなくて……私……なんてダメな子なの!」
「そんなことない!」
ヤミルは彼女をしっかりと抱きしめ、言葉を遮った。
「違うよ、クララ。君は僕が知る中で最も高貴で優しい女の子だ。君には何の責任もないし、彼らもそれをよく分かっている。蓄積された疲労のせいさ。今は休んで、明日ちゃんとお別れを言えばいい」
クララは兄の温もりに安堵し、頷いた。
「ええ、お兄ちゃん……ありがとう。お兄ちゃんも休んでね。セレナも……」
「私が一晩お傍におりましょうか、王女殿下?」狐娘は心配そうに耳を動かした。「ご希望でしたら、一晩中お供しますよ」
「ううん、大丈夫……休んで、セレナ」
「ありがとうございます、王女殿下。それでは失礼いたします」
セレナは温かい笑顔でお辞儀をし、ヤミルと共に部屋を出た。
◇◆◇
【ゲスト棟 —— ジェイズの部屋】
部屋は静寂に包まれていた。聞こえるのは、疲労困憊で深い眠りについているジェイズの規則正しい寝息だけだ。
しかし、その隣で、小さなリンは暗闇の中で目を輝かせ、起きていた。
リンはマットレスの上にそっと身を起こし、ジェイズのリラックスした寝顔を見つめた。
「ジェイズ……」
小さな女の子が囁く。
「もうすぐ、みんなの前に本当の姿を見せなきゃいけない時が来る。でも、その時まで……もう少しだけ、このままでいさせて」
淡い光が彼女の小さな体を包み込む。
手足が伸び、髪がより鮮やかな色に輝き、顔立ちが大人びていく。数秒で少女は消えた。
そこには、大人の女性としての完全な栄光に満ちた女神、リンダがいた。
「どうして私は、こんな人間に惹かれるのかしら……」
リンダは彼に身を乗り出し、自問した。
好奇心が神の威厳に勝った。
リンダは顔を近づけ、彼の長いまつ毛や、無防備な唇を観察した。
その時、ジェイズが半ば目を開けた。
完全に起きているわけではなく、眠っているわけでもない。夢と現実の境界線にいるような微睡の中だった。
「君か……」
ジェイズは寝ぼけた、重い声で呟いた。
「湖の少女……」
リンダはビクッとし、神の心臓が跳ねた。
(えっ? 起きた? 早く変身し直さなきゃ……!)
だが、ジェイズはそんな隙を与えなかった。
本能的な動きで彼女の腕を掴むと、優しく引き寄せ、二人の息が混ざり合うほどの距離まで近づけた。
「俺の心をここまでかき乱したのは……君だけだ」
ジェイズは夢見るような、熱い視線で囁いた。
「あの日君を見た時から……俺は……」
リンダの顔がトマトのように真っ赤に染まる。熱が首から耳へと駆け上がった。
(本気!? 私のこと忘れたと思ってたのに! でもまだ寝ぼけてる……。ど、どうしよう? 殴る? 離れる!?)
「湖の少女……」ジェイズはだらしない、だが心からの笑顔を浮かべた。「愛してるよ! ♥」
(ええええええっ!?)
リンダの頭からシュウゥと煙が出そうだった。
(待って! これ寝言よね!? ノーカンよ、ノーカン!)
しかし、いかなる天界の権威にも許可を得ることなく、無防備な女神の唇に、我らが英雄の唇が重なった。
チュッ……!
リンダは目を丸くして完全にフリーズした。
(私の、ファーストキスが……奪われた……)
ジェイズは溢れんばかりの情熱で彼女にキスをしていた。長く、激しく、そして温かいキス。リンダが持つ「永遠」という時間が、その一秒の前では無意味に思えるほどのキスだった。
(何これ……これが人間のキス……)
リンダはゆっくりと目を閉じた。
(すごく……気持ちいい……。心臓が、ドキドキして破裂しそう!)
キスが終わると、リンダは顔を離し、小さく喘いだ。
呼吸は乱れ、唇がジンジンと痺れている。
(今、何が起きたの?)
彼女は信じられない思いで自分の口元に触れた。
神としての威厳を取り戻そうと、リンダは眉をひそめた。
「ちょっと、人間……。貴方、不敬にもほどがあるわよ、この……」
だが、彼女は言葉を止めた。
ジェイズはすでに再び深い眠りの淵へと落ちており、絶対的な幸福の表情で意味不明な寝言を呟いていた。
「湖の少女……アイス食うか? むにゃむにゃ……チョコ味……。俺が最強の部隊を作って……そして……ズー……(イビキ)」
リンダは呆気に取られて彼を数秒見つめ、やがて長いため息をつき、優しく愛情に満ちた笑顔を見せた。
「本当に、貴方って人は救いようがないわね……」
女神はイビキをかく少年の頬を撫でながら囁いた。
「周りにあんなに女の子がいるのに、一番選んじゃいけない相手に恋をするなんて……貴方を愛してはいけない、女神に」
リンダは彼の隣に寝転がり、再び子供の姿に戻って、ジェイズの胸に寄り添った。
「でも、いつか……」
リンは目を閉じ、心の中で思った。
「いつか受け入れるわ。貴方たち人間が呼ぶ……『愛』というものを」
(続く)
寝とぼけ主人公の無自覚な大勝利!
シリアスな展開から一転、ゲストルームでとんでもないことが起きました!
ジェイズ、寝ぼけながらリンダ(女神)のファーストキスを奪取!
しかも「愛してる」と告白付き。
これはもう、ヒロインレースのトップに躍り出たと言っても過言ではありません。
リンダも完全に「デレ」に入りましたね。
最凶の暗殺者たちが迫る中、彼らは無事に地球へ帰れるのでしょうか?
次回、クル・ナイ編エピローグ! お楽しみに!
【お願い】
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ヤネットが知ったら宇宙が消し飛びそうです(笑)。




