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女神キアラの退屈と、愛の刻印

ハミールの撤退、そして真の黒幕登場。 地上戦決着。ジャコズとハミールの衝突は引き分け(?)に終わりました。 そして物語は急展開。 キャピの正体が判明。彼女は「キアラ」という女神のメイドでした。 しかもキアラ様、超ヤンデレ気質のラスボス臭がします(笑)。 ジェイズの胸の刻印……一体誰が? 「愛」とは? 謎が深まる中、第3巻終了です!

挿絵(By みてみん)

さて、地球も太陽系も遥か彼方に置き去りにしよう。 何億光年という距離すら無意味な場所へ。別宇宙か、異次元か、あるいは現実の狭間か。


そこには、一つの部屋が浮いていた。 時間を超越した、乱雑でカオスな部屋。 山積みのぬいぐるみ、存在しない時代のゲーム機、限定フィギュア、そして……空中に浮かぶ数百のゲーミングモニター。それらは無限の世界と次元をリアルタイムで映し出していた。


最大の画面の前、最新鋭のエルゴノミクスチェアに座っている少女がいた。 人間ではない。ゴシックなメイド服を着て、ショートの黒髪に、楽しげに輝く赤いデジタルな瞳を持っていた。


キャピだ。


「あはは! 最高に面白かった!」 キャピはエナメルブーツで空を蹴り、歓声を上げた。 「あの少年は驚きの玉手箱ですねぇ。こんな退屈な世界の中で、あの方が見つけた掘り出し物だわ!」


彼女は自分の体を抱きしめ、身震いした。 「ああ……次は何をしでかしてくれるのかしら。ゾクゾクする! 予測不能でカオス……あの方ならきっと気に入るわ。あの方こそ、混沌と災厄の権化なのだから!」


その時、幼いが圧倒的な大気圧のような重圧を持った声が、背後から響いた。


「ねえ、キャピ……。誰のことをそんなに熱心に語ってるのかしら?」


「ひゃうっ!?」 キャピは飛び上がり、バネ仕掛けのように椅子から弾き出された。 「あ、あ、あ、お嬢様アマ! いきなり背後はやめてくださいよぉ!」


光の中から現れたのは、非現実的な美しさを持つ小柄な少女だった。 重力に逆らって広がる銀色のツインテール、血のルビーのような赤い瞳、鋭い八重歯を隠した小さな口。 完璧なセーラー服と黒いニーソックスを身につけている。


だが最も異様なのは、頭上に浮かぶギザギザしたピクセル状の赤い光輪ヘイロー。それは神々しい力を放っていた。


「私の椅子に座るなって、100万回言ったわよね?」 少女は頬を膨らませた。


「申し訳ありません、お嬢様……」 キャピは残像が見える速度で土下座した。 「あまりに座り心地が良くて……」 「キアラ様! 私の主にして創造主! アルファでありオメガを超越せし至高の存在! 全知全能、偏在にして――」


「お世辞はいいわ、キャピ」 キアラは腕を組んだ。 「私のゲーミング玉座を汚した罪は、そんなことじゃ消えないわよ」


「ひぃぃ! お慈悲を!」 キャピは額を床に擦り付けた。 「ただちょっと温めていただけです! 命だけは!」


キアラは横目で見て、溜息をついた。 「はぁ……。極上のホットチョコを作ったら許してあげる。今すぐ」


「イエッサー!」 シュンッ! ナノ秒未満で、キャピは銀の盆を持って再出現した。 「はい! 温度85度、ウサギ型クッキー添え! お嬢様のお好み通りです!」


キアラはカップを受け取り、優雅に一口啜って微笑んだ。怒りは瞬時に霧散した。 「ん……悪くないわ。機嫌を取るのだけは上手いんだから」


キアラは椅子にドカッと座り、クッキーを齧った。 「で? 何がそんなに楽しかったの? 私も混ぜなさいよ。いつも同じゲームばかりで飽きてたの」


キャピは口角を耳まで裂くような、マカブルな笑みを浮かべた。 「ええ、実はですね……何人かの人間の人生をいじって、お馬鹿なゲームに放り込んでみたんです。そしたら招かれざる客が二人混ざりまして。その内の一人が……お嬢様の興味を引くかと」


キアラは嫌そうに舌を出した。 「オエッ。人間なんて嫌いよ。うるさいゴキブリみたい。できることなら宇宙ごとフォーマットしたいわ」


「存じております」 キャピは画面を拡大した。 「ですが、そのゴキブリの中に……『刻印マーク』された個体がいたのです」


「刻印?」キアラは興味なさげに眉を上げた。「誰に? どっかの三流魔王?」


「いいえ」 キャピは部屋の中央にホログラムを投影した。 ゲームの最終決戦後、シャツが破れたジェイズの姿だ。 その胸に、黄金色に輝く複雑な紋様が浮かび上がっていた。


「エネルギー波形を解析しました」キャピの声が真剣になる。「多元宇宙データベースに該当なし。誰の仕業か不明です」


キアラの手が止まった。 ホログラムに近づく。赤い瞳が紋様をスキャンする。


「まさか……」 キアラが呟く。 「この密度の高さ……この純度……」 彼女は画像に触れた。震えている。 「私と同格レベルの存在よ。私と同じくらい強力な誰かが、ただの人間のゴキブリに目をつけたの!? しかも正体が分からないなんて!」


「その通りです、お嬢様」キャピが頷く。「完全なミステリー。なぜ未知の神が定命の者をマークしたのか? この少年の何が特別なのか?」


キアラは紋様を睨んだ。 「なんて書いてあるの? 『奴隷』? 『死』? 『戦争』?」


「いいえ……」キャピはニヤリとした。「コード翻訳結果は……『愛(LOVE)』です。愛による所有権の主張です」


部屋に緊張した沈黙が流れた。 キアラは固まった。「愛」という単語は彼女にとって異質であり、同時に魅惑的だった。未知の強大な女神が、キアラの理解できない感情によってその少年を所有した。


ゆっくりと、キアラの顔に笑みが広がった。 純粋な悪意と、病的な好奇心に満ちた、牙を見せる笑み。


「あははははは!」 笑い声が現実を歪ませる。 「最高じゃない……! 誰かがこのゴミの中に価値を見出したってことよね。女神にマーキングさせるほどの何かを……」


キアラはホログラムを抱きしめ、腕を突き通した。画面からジェイズを引きずり出そうとするかのように。


「彼女が欲しがってるなら……価値があるってこと。特別ってこと。特別なら……それは私のものよ!」


キアラは興奮で震え出した。


「欲しい! 欲しい! 欲しい欲しい欲しい欲しい!」 彼女の目が狂気の渦を描く。壊れたレコードのように繰り返す。 「欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい!」


「欲しいいいいいいいいいっ!!」


絶叫と共に、部屋中のモニターが爆発し、デジタルの火花が散った。


「あはは!」キャピが拍手する。「お嬢様がこんなに興奮するなんて久しぶりです!」


キアラは虚空に向かって叫んだ。顔は紅潮し、息は荒い。 「見逃せないわ、キャピ。手に入れる。その『未知の女神』から奪い取ってやる。彼を研究して、壊して、組み直してやる……。『愛』ってのが何なのか、突き止めてやるわ!」


キアラは宇宙の彼方、ジェイズがクル・ナイへと向かっている方向を指差した。


「覚悟しなさい、炎の錬金術師……。ラスボス(私)がログインしたわよ。新しいオモチャは誰にも貸さないんだから」


無自覚に敵を作り続ける錬金術師。 今度は、理解不能な刻印に惹かれた気まぐれな女神に狙われることになった。 この宇宙規模のトラブル、一体どうなる!?


【第3巻・完】


(続く)


挿絵(By みてみん)

「新しいオモチャは誰にも貸さない」。 キアラ様の独占欲が怖いです。 ジェイズ、知らない間に神々の奪い合いに巻き込まれています。 次巻からは舞台を宇宙へ移し、惑星クル・ナイ編がスタート! ヤミル、タニア、ドラカリスとの珍道中。 そしてハミールとの再会、キアラの介入……。 ますますカオスになる「X-コーション」、第4巻でお会いしましょう!


【お願い】 「キアラ様可愛いけど怖い!」「宇宙編楽しみ!」と思ったら、 下の ☆☆☆☆☆ で評価をお願いします! ジェイズの胃薬代になります!

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