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ギルド襲撃と、最強の男の威圧

暴虐の狼と、最強の男。 ジャコズの変身シーン、そしてハミールのギルド襲撃。 二つの場所で、圧倒的な力が振るわれました。 お爺ちゃんとの共闘も熱い! そしてギルドでは、リアちゃんが勇気を出しましたね。 しかし、ダイスケの通信機に出たのは……?

挿絵(By みてみん)

一方、ギルド『赤いヴェール』本部。 午前中の賑わいが嘘のように、一人の男の怒号が空気を切り裂いた。


「ふざけんな!」 薄汚い冒険者がカウンターを拳で叩いた。 「この報酬はなんだ! 500ディープコインだと? 俺様の実力を侮辱してんのか!」


カウンターの奥で、マリアが引きつった営業スマイルで対応していた。 「ですからお客様……これはランクFの薬草採取です。市場価格の下落によりまして……」


バンッ! 男が再び叩き、インク壺が跳ねた。 「御託はいいんだよアマ! 700出せ! さもなきゃここをぶっ壊すぞ!」


マリアの堪忍袋の緒が切れた。瞳が冷たく光る。 「お引き取りください。他のお客様の迷惑です」


「このあばずれが!」 男が手を振り上げた。マリアの頬を張ろうと。


「くたばれ、バカ!」 マリアは目を閉じて衝撃に備えた。


だが、痛みは来なかった。 代わりに、何かが軋む音が静寂に響いた。


「あ?」 男は腕を下ろせなかった。 黒いガントレットに覆われた巨大な手が、彼の手首を万力のように掴んでいたのだ。


「誰だテメェ……」 男が振り返り、言葉を失った。


巨大な影。 紫色のオーラが重くのしかかり、呼吸すら困難にさせる圧倒的な威圧感。 男が見上げると、虫を見るような無感情な瞳があった。


「ハ……ハミール……!?」


ギルド全体が凍りついた。 戦争の皇帝。南銀河最強の男。本物がそこにいた。


「き、来たわ……」マリアの膝が笑う。「本物が……ジェファーーッ!」


「あ、あの……」冒険者が失禁しながら震える。「なんでこんなとこに有名人が……」


ハミールは言い訳を聞かなかった。 掴んだ手首を離さず、短く、鋭いボディブローを放った。


ズドンッ!


男はくの字に折れ、砲弾のように吹き飛び、ギルドのドアを突き破って表の通りに転がった。気絶している。


「ハミールは女性への暴力を嫌うのよ」 リゼットが背後から現れ、何事もなかったかのように眼鏡を直した。


ハミールはガントレットの埃を払い、マリアを見た。 「怪我はないか?」 「あ、ありがとうございます……!」マリアが震えながら頭を下げる。「で、でも私だって、あんな奴くらい一人で……」


カツ、カツ、カツ。 階段からヒールの音が響く。ヴァレンティナが優雅に降りてきた。後ろには気絶寸前のリアがいる。


ヴァレンティナは壊れたドアと、巨人の侵入者を見て目を細めた。 (来たわね……。任務強奪の件か。だがなぜ彼自身が? 交渉で乗り切るしかないわ)


「デカい……」リアが呟く。「霊圧が化け物です、ボス……ジェイズ君、潰されちゃいますよ……」


その時、ハミールの連れの男、ロエがカウンターに身を乗り出した。蛇のような目だ。 「へぇ、田舎にしちゃ美人が多いな。ボスもイケてる熟女じゃん。どう? 俺と一杯やらない?」


ヴァレンティナは無視し、漆黒の巨人に相対した。 「用件はお察しします、ハミール殿。『赤いヴェール』を代表して、手違いをお詫びしますわ」


ハミールは瞬きもしなかった。 「少年の居場所を教えろ。それだけだ」


ヴァレンティナは背筋を伸ばし、法律を盾にした。 「冒険者法第4条。依頼の守秘義務により、いかなる場合も情報は開示できません」


「私のランクの前では」ハミールの重低音が響く。「その程度のルールは無意味だ」


「それは……」ヴァレンティナが切り札を切る。「貴方がこの太陽系評議会に属していればの話ですわね。管轄外の貴方に権限はありません」


沈黙。 ヴァレンティナは法の抜け穴を突いた。


「ヒュー!」ロエが口笛を吹く。「やるねぇ熟女! ボスを論破したぜ!」 「黙りなさいロエ」リゼットが睨む。


「平和的交渉は決裂か……」 ロエが肩をすくめた。 「じゃあ、こうしよう。展開リヴィール!」


ブオオオオン!


光学迷彩が解かれ、無数の赤いレーザーサイトが室内を埋め尽くした。 何百もの『ファントム級強襲ドローン』が空中に現れ、全員の眉間と心臓に照準を合わせている。


「ボ、ボス……」リアが泣きそうになる。「ドローンが……こっち見てます……」


「ここまでやるの……?」ヴァレンティナが青ざめる。


「悪いね」ロエが頭をかく。「ボスみたいに気長じゃないんだ。吐くか、死ぬかだ」


「正当な理由なき殺害は評議会が許さないわ!」 「評議会?」リゼットが冷ややかに返す。「貴女が言った通り、管轄外だから関係ないわね。ここは無法地帯ジャングルよ」


論理の逆襲。 ヴァレンティナは敗北を悟った。リアとマリアを見る。命には代えられない。


「分かったわ……勝ちよ」 「賢明ね」


「彼はどこだ?」ハミールが問う。 「惑星を出たわ。……クル・ナイへ向かった」


「クル・ナイ?」リゼットが眉をひそめる。「あいつ、何しに?」


ハミールが手を挙げて制した。困惑が顔に出ている。 「なぜ私の故郷へ?」


「貴方の弟君、ヤミル殿の依頼よ」ヴァレンティナが爆弾を投下する。「ジェイズの連れている黒竜の血が必要だとか」


ハミールは固まった。 (ヤミル……黒竜……? 治療法を見つけたのか? その少年が……鍵なのか?)


彼は無言で踵を返した。 「隊長?」 「ダイスケに連絡しろ。直ちにクル・ナイへ向かう」


(なんという皮肉だ……私が追う泥棒が、弟の救世主かもしれないとは)


「待ってください!」 リアが叫び、巨人の前に立ちはだかった。 「ジェイズに手を出さないで! 彼はいい人なんです! わざと任務を盗んだんじゃないんです! 彼は私の命の恩人なんです!」


ハミールは振り返り、一瞬だけ表情を和らげた。 「嬢ちゃん……これは任務だけの問題ではない。だが、彼がそれほど善人なら、運命が守るだろう。私ではなくな」


彼は出て行った。


外で、リゼットが通信機を入れた。 「ダイスケ、応答して。移動よ」


『ザザッ……』 返ってきたのは、軍人の声ではなかった。気だるげで、傲慢な声。


『もしもーし。使い方が分からねぇな……ま、いいか』


リゼットが足を止めた。 「誰? ダイスケはどうしたの?」


『誰でもいいだろ。おい、そっちの連れか? さっさとこのゴミを回収しに来い。あと、家の修理代も持ってこいよな』


「貴様……」リゼットが殺気を放つ。「位置は特定したわ。彼に何かしてたらタダじゃおかないわよ!」


(続く)

挿絵(By みてみん)


「修理代持ってこい」。 ジャコズさん、強い上に図太いです。 SSS部隊の通信に割り込んで修理代請求とか(笑)。 次回、リゼットVSジャコズの開戦か? そして宇宙船は無事にクル・ナイへ着けるのか? 物語は宇宙規模へ!


【お願い】 「ハミール強すぎ……」「ジャコズの無双っぷりが爽快!」と思ったら、 下の ☆☆☆☆☆ で評価をお願いします! リアちゃんの寿命が縮まないように祈ってください!

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