エターナル・ハート・エンド ~仮想と現実の狭間で~ (R15)
エターナル・ハート、完結。 長い戦い(主に性的な)が終わりました。 HP1になるまで体を張ってヒロインを守ったジェイズ。 その姿に、システムによる洗脳を超えた「本物の愛」が芽生えた瞬間。 そしてタニアちゃんの「優雅な捕虜生活」とのギャップ(笑)。 しかし、キャピの正体とは? 「彼女」とは? 謎を残して、物語は現実世界へ戻ります。
石の廊下に、リョウは膝をついていた。 遠ざかるジェイズと少女たちの背中を見つめながら、空っぽの手が震えている。
「アイリ……リナ……みんな……」 涙が輝く鎧に落ちる。今やそれは滑稽な仮装に過ぎなかった。 「どうして……俺は勇者なのに……俺の光で目覚めさせるはずだったのに……」
彼は床を殴りつけた。 「本当に愛していたのに!」
その時、聞き慣れた憎悪すべき声が脳内に響いた。
『言ったはずだよ、リョウ』 『くそっ! 消えろ!』
キャピの声は嘲笑を含んでいた。 『私の取引を受け入れればよかったんだ。もっと強引に奪えと言ったのに。君は「清廉潔白な王子様」を演じ続けた。その結果がこれだ。「偽りの英雄」が、君が触れるのを恐れたものを全て奪い去った』
「黙れぇぇぇッ!」
『君は見たはずだ。彼女たちが彼に抱かれる姿を。彼が与える獣のような激しさを。彼女たちはもう君を男としては見ていない。ただの退屈な子供だ』
リョウの心が砕け散った。プライドが崩壊する。 「助けてくれ……! 何でもするから!」 彼は床を這った。 「彼女たちを取り戻したいんだ! キャピ!」
『手遅れだよ。君のターンは終わった』 キャピは冷酷に告げた。 『だが……もし君がその吐き気を催すような「綺麗事」を捨てて、あの男を殺す覚悟ができたら……いつか復讐の機会があるかもね』
声は遠ざかっていった。 「待ってくれ! 置いていかないでくれ!」 誰も答えない。絶望だけが残った。 リョウ・タケダは天井を仰ぎ、人間とは思えない絶叫を上げた。
◇◆◇
深紅の光が晴れ、変貌した5人のヒロインが姿を現した。 服は破れ、汗とマナに濡れた肌が輝いている。その瞳には狂信的な色が宿っていた。
「死ね、化け物!」 リナが黒い炎を纏った刀で斬りかかる。 魔神は玉座から指一本でそれを防いだ。 「力はあるが規律がない。発情した獣だな」
「舐めるな!」 ミカが雷撃を放ち、エミとサヨが暴風刃の嵐を巻き起こす。 玉座が破壊され、ついに魔神が立ち上がった。3メートルの黒曜石の巨体。
「小賢しい!」 魔神の口元に、反物質の球体が形成される。『真空爆弾』だ。
『警告! チーム全滅攻撃です! 直撃すれば彼女たちのデータが永久消去されます!』 キャピが叫ぶ。
「みんな、避けろ!」ジェイズが叫ぶ。 だが、彼女たちは必殺技の詠唱中で動けない。特にアイリは無防備だった。
「消え失せろ、売女ども!」 魔神が発射した。
(間に合わない……) ジェイズの時間がスローになる。 たかがデータだ。たかがゲームだ。だが、彼女たちは全てを捧げてくれた。
「ソル! ルナ!」 ジェイズは双剣を喚び出し、彼女たちの前に立ちはだかった。 「撃て! 俺が守る!」
「ジェイズ、ダメ! 消し飛ぶわよ!」リナが悲鳴を上げる。 「信じろ!」
ジェイズは剣を地面に突き立てた。 「炎の錬金術:魔力過負荷 —— 日蝕のアイギス!」
彼は自分のHPとMPの全てを剣に注ぎ込んだ。金と銀の光が物理障壁となる。
ズガァァァァァァンッ!!
真空波が障壁に直撃した。 地面が砕け、ジェイズの腕の骨が軋む。皮膚が焼ける。 HPバーが恐ろしい速度で減っていく。10%……5%……。
「ぐあああああああッ!」 血を吐きながらも、彼は耐えた。
攻撃が逸れた。少女たちは無傷だ。 煙が晴れると、HP1で膝をつくジェイズの姿があった。全身火傷だらけだ。
「防いだ……だと……?」 魔神が驚愕する。
少女たちは見た。自分たちを守るために死にかけた「英雄」の姿を。 システムによる洗脳ではない。本物の愛と、激しい怒りが彼女たちの中で爆発した。
「ジェイズ!!」 アイリが本物の涙を流して叫んだ。 「よくも……私の人を!」
「今よ!」リナが号令する。
5人のヒロインによる合体攻撃。それはゲームの技ではなく、感情の奔流だった。 光、風、雷、斬撃、聖印が一点に集中する。
「グオオオオオッ!!」 魔神は断末魔と共にデータの塵となって消滅した。
城が震え、奥の黒水晶が割れた。小さな人影が落ちてくる。 リョウが反射的に走り、彼女を受け止めた。
腕の中には、タニアがいた。 「ん……?」 彼女は日曜の昼寝から覚めたように欠伸をした。 「ここどこ? パパは?」
地獄のような戦いの跡などまるで知らない無邪気さだった。 浄化の光が広がり、空が青く戻り、世界が再構築されていく。
「世界が……直った」アイリが安堵の笑みを浮かべた。 「ジェイズのおかげね!」ミカが彼の腕に抱きつく。
ジェイズは痛む体でタニアに微笑みかけた。 「やあ。ジェイズだ。君のお父さんに頼まれて迎えに来たんだ」 「パパが? やっぱり!」タニアは無邪気に笑った。「ありがとう、ジェイズお兄ちゃん!」
「遅れてごめんよ。魔神に酷いことされなかった?」 ヒロインたちが心配そうに集まる。
「え? 酷いこと?」 タニアは首をかしげた。 「全然! 魔神さんは1時間おきにケーキをくれたし、骸骨さんはトランプしてくれたし、寝る時は絵本を読んでくれたよ! すごく優しかった!」
全員の顎が外れそうになった。
(ケーキ? トランプ? 俺たちが死にかけて、リョウが発狂して、俺がHP1になったのに……スパリゾートかよ!)
ジェイズがツッコミを入れようとした瞬間。 ブツンッ。
世界がノイズに包まれた。色を失い、古い写真のように灰色になる。
『ブラボー、ブラボー』 キャピの声が空間全体から響いた。 目の前の空気が歪み、バグったコードでできた人影が現れる。
『見事なショーだったよ、ジェイズ。退屈なシナリオを傑作に変えてくれたね』
「キャピ……お前は何だ? ゲームは終わった。出せ」
『ゲーム?』影は笑った。『君にはゲームだったろうね。私には楽しい実験だったよ。「彼女」が興味を持った君が、何でできているか知りたくてね』
「お前が仕組んだのか? NTRも……ミッションも……」
『全部さ。退屈しのぎだよ。期待以上だった。……じゃあ、また君の世界で会おう、私のお気に入りのおもちゃ君』
「俺の世界? 『彼女』って誰だ?」
『ふふ、焦らないで。これはプロローグに過ぎない』
バチッ! 影が消え、世界が白光に溶け始めた。 少女たちがデータとなって消えていく。
アイリが振り返った。その頬を、リアルな涙が伝う。 「ジェイズ……」 彼女はシステムの呪縛を超えて言った。 「愛してくれてありがとう。忘れないで」
「アイリ!」 ジェイズは手を伸ばしたが、指は空を切った。 リナ、ミカ、サヨ、エミ……全員が、切なく、愛おしい目で彼を見ていた。
「さようなら、ジェイズ……」
視界が白に染まる。 ジェイズは狭間の空間に漂っていた。
(あの涙……) 胸に残る温もり。 (熱かった。声が震えていた)
(これがただのゲームなら……どうしてこんなに胸が痛む? どうしてあんなにリアルだった?)
暗い疑念が芽生える。 (もし……ただのデータじゃなかったとしたら? 俺は一体、何をしてしまったんだ?)
光が彼を現実へと引き戻す。 だが、彼の一部はあの廃墟の城に、傷つけて救った少女たちと共に永遠に残されたのかもしれない。
【ゲーム世界編・完】
(続く)
「忘れないで」。 アイリちゃんの最期の言葉が重いです。 ただのNPCのセリフなのか、それとも……? リョウ君は完全に壊れましたが、キャピの言葉が不穏です。 次回、現実のラボで目覚めたジェイズを待つものは? そして、タニアちゃんは無事に帰還できたのか? 新章突入です!
【お願い】 「最高の最終回!」「続きが気になる!」と思ったら、 下の ☆☆☆☆☆ で評価をお願いします! ジェイズのメンタルケアのために!




