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狂気の科学者と、禁断のNTRゲーム

度の舞台は「エロゲー」の中!? しかも…… マッドサイエンティストの叔父が登場。 ジェイズは囚われた従姉妹を救うため、ゲームの世界へダイブします。 しかし、そのゲームには恐ろしい「追加パッチ」が当たっていました。 NTR(寝取られ)。 それは純愛を破壊する悪魔の文字。 果たしてジェイズは、主人公からヒロインを奪ってしまうのか!?(多分奪います)。

挿絵(By みてみん)


その瞬間、通信機の音がギルドの平穏を破った。


書類を確認していたヴァレンティナが眉を上げる。 差出人はルドルフ。帝国でも屈指の――そして最も変わり者の――科学者だった。


彼の声は張り詰め、絶望的ですらあった。


「出発するわよ」


ヴァレンティナは真顔で告げた。


「ルドルフ氏は気の長い人じゃないわ。ラファエラたちには現地集合の座標を送ったから」


「はい、ボス」


リアが眼鏡を直した。


「あのような著名な方が、私たちに何の用でしょう?」


「さあね。……リア、マリア。私が戻るまで留守を頼むわよ」


「「イエス・マム!」」


二人が声を揃える。


ソファで寝そべっていたドラカリスが、気だるげに手を挙げた。


「主よ、飯はまだか?」


ジェイズは諦めの溜息をついた。


こうして我らが英雄たちは、帝国最高の科学者に会うため出発した。


◇◆◇


四十分後。一行は緑色の濃霧に覆われた山岳地帯に到着した。


道路の突き当たりには、奇妙な建造物があった。 近未来的なビルと、自然の岩肌が融合しているのだ。 科学と自然が密約を交わしたかのように、ファサードは山に埋め込まれていた。


「帝国の最重要科学者が、こんな……もてなしの欠片もない場所に住んでいるのか?」


ドラカリスが腕を組んで呆れた。


「彼なりの理由があるのよ」


ヴァレンティナは腕時計型端末にコードを打ち込んだ。


「会えば分かるわ」


最後の数字を押した瞬間、地面が揺れた。


ズズズズズ……!


周囲の岩が機械仕掛けのように動き、地下へと続く隠し扉が現れる。 重低音の振動が山に響き渡った。


「うわっ、動いてる!」


ジェイズはバランスを崩した。


「お兄ちゃん、気をつけて! きゃあっ!」


リンが彼の足にしがみつく。


「捕まえた! 大丈夫、俺が守るから!」


ジェイズは彼女を強く抱きしめた。 ドラカリスが頬を膨らませた。


「主よ……妾も無防備じゃぞ……妾も守れ!」


「はいはい、茶番はそこまで」


ヴァレンティナが鼻を鳴らす。


「ただのセキュリティシステムよ」


ジェイズが目を開けると、そこはもう外ではなかった。 白い光とホログラム画面に満ちた、金属の回廊の中だった。 ルドルフ博士の研究室の心臓部に、直接転送されたのだ。


「これは……すげぇ」


ジェイズは見惚れて呟いた。


「清潔で、近未来的だ……」


ドラカリスは周囲のチューブやメカニズムを見て口笛を吹いた。


「ほう、前言撤回じゃ。これぞ大研究者の住処という感じじゃな」


スピーカーから陽気な声が響く。


『ようこそ、我が秘密の研究基地へ! 偉大なるルドルフ博士の第44研究室へようこそ! お茶かコーヒーか、水はいかがかな? スナック菓子もあるぞ! ジョジョジョ!』


ヴァレンティナが眉をひそめた。


「ふざけてないで本題に入りなさい! 私は忙しいのよ!」


「妾は熱い茶が欲しいのう」


ドラカリスが猫撫で声で言った。


「俺はコーヒーで。濃いめをお願いします」


「リンはお菓子!」


リンが元気に手を挙げる。


『よろしい、よろしい。ではエレベーター……いや、降りるから「デセンダー(降下機)」に乗ってくれたまえ。降りるだけに! ギャハハ!』


ヴァレンティナは額に手を当てた。


「耐えられない……」


数分後、美しいアンドロイドが飲み物とトレイを乗せたワゴンを押して入ってきた。 真珠のような光沢を持つ肌、人間と見紛うほど滑らかな動き。


「ご注文の品です」


彼女は甘い声で言った。


「私はエステティカ。家事手伝い用に設計されたロボット・アンドロイドです。お見知り置きを」


「ありがと、お姉さん!」


リンが笑顔で言う。 ジェイズは感心して頷いた。


「すごいな……リアルだ。最新鋭に見える」


ドラカリスは彼女を頭から足先まで値踏みするように見た。


「オヌシ……性行為は可能か?」


「おい!」


ジェイズが睨みつけた。


「なんてこと聞くんだ!」


エステティカは動じることなく首を傾げた。


「そのような目的では設計されておりませんので、いいえ。不可能です」


ドラカリスは勝ち誇ったように腕を組んだ。


「なら主の役には立たんのう」


「あのな……」


ジェイズは鼻息を荒くした。


「それより大事なことはあるだろ、エロドラゴン!」


リンは緊張感などお構いなしに、お菓子を頬張っていた。


「これ美味しい!」


「どれ、寄越せ」


ドラカリスがクッキーをかじる。


「む……うまいな! おい……便秘女!」


「エステティカです」


アンドロイドは静かに訂正した。


「名前などどうでもよいわ、ポンコツ。もっと菓子を持て!」


「承知いたしました」


「わーい!」


リンが万歳する。 ジェイズは椅子に崩れ落ちた。


「お前ら、食うことばっかりだな……」


その時、自動ドアの間から科学者が現れた。タオルで手の汚れを拭いている。 白衣には油の染みと、何やらキラキラした粉が付着していた。


「やあ、ルドルフ教授だ。遅れてすまない、タイミングが悪くてね」


「あと少し遅かったら帰るところだったわよ!」


ヴァレンティナが睨みつける。


「いやいやいや、待ってくれ」


ルドルフは手を振った。


「君たちの助けが必要なんだ。ここに適任者がいることは分かってる。いや、彼にしか頼めないんだ!」


「貴方が人間の助けを求めるなんてね」


ヴァレンティナは片眉を上げた。


「珍しいわね。いつも機械のオモチャに囲まれているくせに」


「あー、まあ、今回は特別でね」


科学者は冷や汗をかいた。


「予期せぬ事態が起きて、娘が深刻なトラブルに巻き込まれたんだ」


「タニアが?」


ヴァレンティナの声が険しくなる。


「まさか、また狂った実験に使ったんじゃないでしょうね?」


「お、落ち着け……彼女は無事だ……たぶん」


「あの」


ジェイズが割って入った。


「ずいぶん親しげですけど……お知り合いですか?」


ヴァレンティナは深く溜息をついた。


「この著名な科学者は、私のバカな叔父よ」


「おい!」


ルドルフが抗議した。


「敬意を払いたまえ、生意気な姪っ子よ!」


「なら言いなさいよ」


ヴァレンティナは腕を組んだ。


「私の従姉妹いとこはどこ?」


「あー、その……エヘヘ……」


「どうやら図星のようじゃな」


ドラカリスが悪戯っぽく笑う。


「間違いなく変な発明の犠牲になったのね」


ヴァレンティナが決めつける。


ルドルフはジェイズに駆け寄り、切迫感と希望の入り混じった目で見つめた。


「炎の錬金術師くん……娘を救えるのは君だけだ! 彼女は今、我々とは異なる次元に囚われているんだ!」


「え? ど、どうして俺が?」


ジェイズは戸惑った。


◇◆◇


実験室は静まり返っていた。二つの巨大な卵型金属カプセルが、明滅する光に照らされている。


ガラス越しに見える内部は、小型宇宙船のコックピットのようだった。クッションシート、制御スクリーン、輝くケーブル……。


一つだけ違うのは、片方のカプセルに赤いランプが点滅していることだ。


「この部屋は何ですか?」


ジェイズは興味津々で尋ねた。 ルドルフは興奮気味に眼鏡を直した。


「ここは次元カプセルのための特別室じゃ。私の発明の中でも最高傑作! 『次元転移装置V3』!」


ヴァレンティナが眉を上げた。


「私に送りつけてきたあの時計みたいなもの? ……あの子が不用意に使っちゃったアレ?」


「えっ、ボス!」


ジェイズが抗議した。


「俺に使わせたのはマリアとリアですよ!」


ヴァレンティナは薄く笑い、まるで神からの授かり物を見るようにドラカリスを見た。


「いいのよ。あの時計のおかげで偉業を成し遂げたんだから……ドラカリスと出会い、ギルドに連れ帰れたもの」


ドラカリスは嬉しそうにジェイズの腕に絡みついた。


「あの発明には感謝しておる。おかげで主と出会えたからのう」


ルドルフは咳払いをした。


「あれとは少し違う。このカプセルはもっと奇妙なことをするんじゃ」


「一瞬で数光年飛ばすよりも奇妙なの?」


ヴァレンティナが冷ややかに返す。


「いかにも。この機械は別次元……我々の世界で言うところの『フィクション』の世界へ連れて行ってくれるのじゃ」


「フィクション?」


ジェイズは混乱した。


「映画とか、ゲームとか、漫画の世界ってことですか?」


「『マンガ』とは何じゃ、主よ?」


ドラカリスが首を傾げる。


「そういうことじゃ!」


ルドルフは熱弁した。


「究極のエンターテインメント革命を起こしたかったんじゃよ! 好きな物語を生きてみたいだろう? 小説の主人公になったり、漫画の中を歩いたり、伝説の戦いを目撃したり……。しかし……」


「しかし?」


ヴァレンティナが最悪の事態を予感して問う。 ルドルフはバツが悪そうに俯いた。


「プレイヤーの精神だけを飛ばすはずじゃった。だが……計算ミスがあった。恐ろしいバグがな。この機械は精神だけじゃなく……物理的な肉体ごと転送してしまうんじゃ! あの赤ランプは使用中を示しておる。旅人が戻るまで、誰も入れんのじゃ」


ヴァレンティナは眉間に皺を寄せて彼を睨んだ。


「まさか、タニアを一人で送ったんじゃないでしょうね」


ルドルフは唾を飲み込んだ。


「すまん……」


「この人でなし……!」


ヴァレンティナが激昂しかけたが、ジェイズが手を挙げた。


「まあまあ! で、どうすればいいんですか? 助けてくれって言いましたよね?」


ルドルフは涙目で彼を見た。


「君は真の英雄じゃ! 空いているカプセルに入ってその次元へ飛び、娘を連れ戻してほしいんじゃ」


「従姉妹が平和な世界にいるといいんだけど……」


ヴァレンティナが呟く。


「うむ!」


ルドルフは引きつった笑みを浮かべた。


「幸運にも、彼女のお気に入りのゲームの世界じゃ。魔法学園を舞台にした、ファンタジー恋愛アドベンチャーじゃよ」


「退屈そうじゃな、ジジイ」


ドラカリスが鼻を鳴らす。


「分かっておる……娘の趣味じゃからな」


科学者は溜息をついた。


「で、なんで俺なんですか?」


ジェイズは腕を組んだ。


「君がこの技術に適合しているからじゃ」


ルドルフは操作盤を調整しながら答えた。


「娘と同じようにな」


ヴァレンティナが目を細めた。


「どういう意味?」


「誰でも次元移動できるわけではないということじゃ。実のところ、あの転送時計は恐ろしい失敗作でのう……プロトタイプは魂と肉体を分離させるものじゃった。理論上、使った者は即死するはずじゃったんじゃ」


「ドラマチックじゃのう」


ドラカリスは何でもないことのように言った。


「要は自然死じゃろ?」


「それを私のギルドに送りつけたの!?」


ヴァレンティナが叫んだ。


「誰かが死んでたらどうするつもりだったのよ!」


「落ち着け、落ち着け!」


ルドルフがなだめる。


「手違いで送ってしまったんじゃが、神に感謝すべきことに、100%適合者が使ってくれたんじゃ。使うなという警告の手紙も送ったんじゃが……まあ、間に合わんかったようじゃな」


ジェイズは迷わずカプセルに乗り込んだ。


「説明は後でいいです。あの子を助けに行きましょう。そんなに時間はかからないはずだ」


「完璧じゃ」


ルドルフはメインスロットにカートリッジを差し込んだ。


「これが彼女が囚われているゲームじゃ」


ヴァレンティナがそれを手に取り、読み上げた。


「タイトル……『エターナル・ハーツ ~五つの愛の絆~ 18禁』……えーっと」


彼女はあらすじを読み上げ始めた。


『女神タニアが虚空の闇の住人に誘拐されて以来、世界は愛と正義を感じる心を失った。 感情を失った人間たちは、魂のないゾンビのように彷徨さまよっている。 心を保っているのは、主人公「タケダ・リョウ」と、神龍学園の五人の少女たちだけ。 少女たちの内には伝説の英雄が眠っており、その力は恋愛親密度が100%に達した時にのみ覚醒する。 世界の運命は、あまりにも馬鹿げていて、かつ重大な任務にかかっている。 リョウは五人の少女を攻略して「真実の愛の宝石」を集め、女神を解放して地上に愛を取り戻す唯一の手段、「神の剣」を手にしなければならない』


ヴァレンティナは顔をしかめてカートリッジを下ろした。


「一体何を読ませるのよ? これ、18エロゲーじゃない!」


「すまん……娘の趣味でな……」


ルドルフは頭をかいた。 ヴァレンティナは諦めて溜息をついた。


「これ以上悪くはならないでしょうね……ジェイズ、お願い。従姉妹を助けて」


「了解です、ボス」


ジェイズは決意を込めて微笑んだ。


「博士、いつでもいいですよ」


「お兄ちゃん……」


リンが近づいてきた。


「大丈夫?」


「ああ。戻ったら可愛い服を買いに行こうな、約束だ」


「うん……愛してるよ、お兄ちゃん」


ドラカリスが心配そうに身を乗り出した。


「主よ、早く戻るのじゃぞ。何かあったら妾を喚べ!」


「やってみるよ。できるか分からないけどな」


ジェイズは笑った。


「みんな、愛してるよ!」


ルドルフがスイッチを入れた。


ブゥン……。


部屋に重低音が響く。 カプセル内部が輝き、一瞬にしてジェイズは消失した。 ランプが赤に変わる。


ヴァレンティナは呆然と装置を見つめていた。


「本当に消えたわ……助けることに一秒も迷わなかった。あの子には危機感というものがないのかしら?」


「彼を守ってやってくれ、お嬢さん」


ルドルフは真剣な声で言った。


「君は宝石を手にしているんじゃよ」


「主は値をつけられぬほどの宝石じゃからのう」


ドラカリスがお腹をさすった。


「……腹減った」


その時、リンがヴァレンティナの袖をちょんと引っ張った。


「あのね、ギルドのお姉さん……NTRってどういう意味?」


「え? NTR? どうしてそんなこと聞くの、リン?」


「だって、お姉さんが持ってる箱のタイトル、ちょっと変わってるよ……」


ヴァレンティナは不思議に思い、手元のカートリッジに視線を落とした。 彼女の表情が凍りついた。


【新たなタイトルを検出しました】


『エターナル・ハーツ ~五つの愛の絆~ 【NTRエディション!】 18禁』


「え……? この文字、さっきまであった……?」


ヴァレンティナの頬を冷や汗が伝った。 研究室は死のような沈黙に包まれた。 ただ、カプセルの赤い点滅音だけが響いている。


(続く

挿絵(By みてみん)

NTRエディション、起動。 リンちゃんの純粋な質問が怖い(笑)。 18禁の学園モノに入ってしまったジェイズ。 彼のスキル「フェロモン(無自覚)」が火を吹く予感しかしません。 本来の主人公カワイソス……。 次回、学園生活スタートです!


【お願い】 「エロゲー編キタ!」「NTRは草」と思ったら、 下の ☆☆☆☆☆ で評価をお願いします! 本来の主人公の精神安定剤になります!

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