激突! 最強の男 VS 黒竜兄弟
科学VS魔法! 最強VS最強! アルタリウスの王城で勃発した、規格外のバトルロイヤル。 ハミールの拳は空を割り、ドラゴンの炎は鋼鉄を溶かす。 リゼットのハイテク兵器とコーネリアスの魔法の応酬も見どころです。 そしてキャサリン王女の涙の訴え。 果たしてハミールは真実を知ることができるのか?
惑星アルタリウスR50の上空。 不自然な金属音と共に、空が震えた。 五隻の戦艦が、美しいターコイズブルーの大気を切り裂き、銀色の傷跡を残して降下していく。
旗艦のブリッジで、ロエが舌打ちした。
「チッ。着陸場なしかよ」
彼はホログラムキーボードを叩く。
「こんな石ころの集まりを『都市』と呼べるのかね。未開すぎるだろ」 「文句を言うな、ロエ」
参謀のリゼットが冷静にレーダーを指差した。
「2時の方向に平原がある。あそこなら戦術的に問題ない」 「アイ・マム! 了解でーす」
ロエは小馬鹿にした敬礼をして操縦桿を倒した。 ズゴゴゴゴゴ……。 反重力エンジンが草原を押し潰し、巨大な質量が大地に降り立つ。
***
【城内の混乱】
城の石造りの廊下を、伝令が走る。
「陛下! 報告します!」
伝令は玉座の前で膝をついた。
「渓谷の境界線に、未知の戦艦が五隻着陸しました!」
歴戦の王がゆっくりと立ち上がった。
「近衛兵団を配備せよ。ただし攻撃はするな。防衛ラインを構築しろ」 「ハッ! エスカー団長が既に動いております」 「うむ……」
王は玉座に座り直したが、指先が微かに震えていた。
(我らの側に二体の黒竜がいなければ、今頃恐怖で震えていたかもしれん……)
一方、王族の私室では。 フィリア王女がベッドで休んでいた。隣ではキャサリンが窓の外を睨んでいる。
「騎士団が動いてるわ……何かあったのかしら」 「見に行こうか、お姉ちゃん?」 「ダメ!」
キャサリンは即座に振り返り、優しい顔で姉を撫でた。
「安静にしてて。私がついてるから」 「ありがとう、キャス……」
フィリアが目を閉じるのを確認し、キャサリンは再び窓の外を見た。表情が凍りつく。
(五隻の帝国戦艦……この星には大国が欲しがる資源なんてない。目的は何? まさか……『彼』のこと?)
***
【ファースト・コンタクト】
プシューッ。 ハッチが開き、ハミールが降り立った。マントが激しくたなびく。 続いてリゼット、ロエ、ダイスケが続く。
「はぁ……空気が綺麗ね」
リゼットが深呼吸した。
「未開の惑星……テクノロジーがないのが惜しいわ」 「俺は虫が嫌いなんだよ!」
巨漢のダイスケが喚く。
「どうせ巨大昆虫とかいるんだろ!?」 「情けねえな、ダイスケ」
ロエが笑った。
「2メートルもある図体で蝶々が怖いのか? 俺は王女様たちに会うのが楽しみだぜ。絶世の美女らしいからな。俺の銀河級の魅力でイチコロよ!」 「夢見すぎだろ」 「黙れ、バカ二人」
リゼットが一喝した。 ハミールが口を開いた。
「騎兵隊が来るぞ」
夕日を背に、エスカー団長率いる騎馬隊が到着した。
「私は近衛騎士団長エスカー! 所属と目的を明かせ!」
ハミールは両手を広げて前に出た。
「我々は敵ではない。私はハミール。突然の訪問を詫びる。情報提供を求めて来ただけだ」 「戦艦五隻で『情報収集』か? 脅しにしか見えんがな」 「理解はできる。単刀直入に言おう」
ハミールが手袋を操作すると、ジェイズの顔が空中に投影された。
「あの方は……!」
兵士たちがざわめく。
「若き英雄ジェイズについて知りたい。彼がここでSランク任務を達成した詳細を教えろ。彼は本当に……どれほど強いのか?」 「宇宙の彼方から艦隊を率いて来て……聞きたいのは少年の強さだと?」
エスカーは呆れた。
「答えられるのは第二王女殿下のみだ。だが、そう簡単に謁見などできるわけがない」 「おやおや」
ロエが前に出た。
「立場を分かってないようだな、原始人。俺たちがその気になれば、この国ごと更地にできるんだぜ? さっさとレッドカーペットを用意しな」 「貴様……!」 「待て」
ハミールがロエを制した。
「彼らの条件を呑む。王に会わせてくれ」 「……貴殿と、随伴一名のみだ。武器は置いていけ」 「いいだろう。リゼット、来い」 「えー! 俺も王女様に会いたいのに!」 「留守番してろバカ」
***
【謁見、そしてカオス】
玉座の間。 ハミールとリゼットは王の前で片膝をついた。
「宇宙最強の男と呼ばれる其方が、この小国に何の用か」 「争いは望みません、陛下。ただ答えが欲しいのです。あの少年は私の任務を横取りしました。彼はどうやって一日でここに来たのか? どのような隠された力を持っているのか?」 「彼は我々を救った。正規の手続きで報告も済んでいる」 「それだけでは不十分だ!!」
ハミールが声を荒らげた。
「彼の力の底が知りたい! テクノロジーなしに銀河を渡るなどありえない! 奴は何者なのだ!?」 「コマンダー、落ち着いて」
リゼットが諫める。 その時。
ズドオオオオオオオオン!!!
天井が爆砕し、瓦礫の雨が降った。 光の中から三つの影が降り立つ。 大賢者コーネリアス。そして禍々しいオーラを纏ったダルゴとドランザー。
「黒竜……人型形態か」
リゼットがスカウターを起動する。
「貴様が『最強』か?」
ダルゴが腕を組んで見下ろした。
「人間にしては大きく出たな」 「望んでついた名ではない」
ハミールが立ち上がる。
「嘘をつけ!」
ドランザーが吠えた。
「平和を望む奴が、透明ドローンで俺たちに照準を合わせたりするかよ!」 「なっ!?」
王が立ち上がった。
「ずっと狙われていたのか!?」 「申し訳ありません!」
リゼットが即座に叫んだ。
「これは私の独断です! 標準的な警戒プロトコルで……」 「黙れ帝国主義者め!」
コーネリアスが杖を構えた。 緊張の糸が切れた。 ダルゴの瞳孔が縦に裂け、床が爆発した。
ドォォォォンッ!!
音速を超えた突進。 ダルゴの拳がハミールの顔面を捉えた。衝撃波がステンドグラスを粉砕し、カーテンを灰に変える。
「コマンダー!」
土煙が晴れる。 王と王妃はコーネリアスの結界に守られていた。 ハミールの足元の床はクレーターになっていた。 だが――ハミールは一歩も動いていなかった。首がわずかに傾いただけだ。
「……ほう」
ハミールは口元の血を拭った。
「いいパンチだ。重く、密度がある」 「へぇ……」
ダルゴが狂暴に笑った。
「南の銀河最強ってのは伊達じゃないらしいな!」 「買いかぶりだ。やめてくれ、戦いたくない」 「遅いんだよッ!!」
ダルゴが回転し、漆黒のエネルギーを纏った回し蹴りを放つ。
「『震天の尾撃』ッ!!」
ガギィィィンッ! ハミールはガードしたが、あまりの威力に吹き飛ばされた。三本の石柱をへし折り、壁の奥深くに埋まる。
「ヒャハハ! 俺も混ぜろよ!」
ドランザーが叫ぶ。
「コマンダーが忙しいみたいだから……外交終了だ! 撃ち方始めッ!!」
ロエの声が響き、地獄の釜の蓋が開いた。
「バカロエ! 仕方ないわね!」
リゼットが叫ぶと同時に、ドランザーが息を吸い込んだ。
「『煉獄の息吹』!」
黒炎がリゼットを襲う。 彼女はベルトに触れ、熱分散フィールドを展開して炎を防ぐ。
「やるじゃねーか!」
炎の中からドランザーが爪を立てて突っ込んでくる。 リゼットは二丁のエネルギー銃で応戦するが、ドラゴンの鱗には傷一つ付かない。
「効かねーよ!」 「チッ! 『光学迷彩』!」
リゼットが消える。
「臭いで分かるんだよ!」
ドランザーが何もない空間を焼く。リゼットは間一髪で回避し、重力グレネードを投げるが、ドランザーは力尽くで耐え切った。
「フェーズ・シフト!」
リゼットが青い閃光と共に背後へ瞬間移動し、ドランザーの首筋に銃口を突きつけた。
「チェックメイト」
ガブッ。 あり得ない角度で首を回したドランザーが、銃ごとリゼットの手を喰いちぎろうとした。彼女は銃を捨てて再びテレポート。 代わりにプラズマ手榴弾を残して。
「プレゼントよ」 「辛ぇな!」
至近距離で爆発を食らったドランザーは、煤だらけになりながらもケロリとしていた。
「耐熱性90%以上……化け物ね」
リゼットが冷や汗を流す。
一方、玉座付近ではコーネリアスが奮闘していた。 二十機のドローンが一斉射撃を加える。
「『イージスの盾』!」
金色の結界がレーザーを防ぐが、ヒビが入っていく。
「魔法貫通弾だと!? 貴様ら!」 「科学の力だよお爺ちゃん!」 「黙れ鉄クズ! 『大地の障壁』!」
床が隆起して壁を作る。
「ぬうぅ……!」
その時、壁の瓦礫が弾け飛んだ。 ハミールが戻ってきた。鎧は凹んでいるが、その身から放たれる『覇王のオーラ』が空間を歪ませる。
「本気を出させる気か」 「待ちくたびれたぜ!」
ダルゴが笑う。
「俺は破壊王ダルゴ! 貴様は獲物だ!」
二人が同時に消えた。
ドガガガガガガッ! 中央で超音速の殴り合いが始まる。衝撃波だけで空気が悲鳴を上げる。 互角だ。力と技が拮抗している。
「オラァッ!」
ダルゴの頭突きが入る。ハミールがよろめく隙に、ダルゴが必殺の拳を構えた。
「消えろぉぉッ!」
ハミールの瞳が青く輝いた。彼は避けない。 一歩踏み込み、懐に入った。
「帝国式武術・奥義――『砕天』」
拳がダルゴの腹にめり込んだ。
ズドォォォォンッ……!!!
衝撃が背中を突き抜け、城の天井を、雲を、大気圏さえも貫いた。空が割れた。
「ガハッ……!」
ダルゴが垂直に打ち上げられ、星になった。 数秒後、隕石のように落下してクレーターを作る。 だが、彼は血まみれになりながらも立ち上がり、笑っていた。
「いってぇ……! 最高だぜ、人間!」 「立っているのか……」
ハミールが驚愕する。
「まだ準備運動だろ? 本番はこれからだ!」
黒きオーラが暴走する。ドランザーも炎を溜める。リゼットも最終兵器を構える。コーネリアスも禁呪の詠唱を始める。 城の崩壊は秒読みだった。
「やめてぇぇぇッ!!」
悲痛な叫びが響き渡った。 入り口にキャサリンが立っていた。涙を溜めた瞳で、彼らを睨みつけている。
「もうやめて! この狂った戦いを終わらせて!」 「ハミール様」
彼女は毅然と言った。
「私がすべてお話しします。だから……話が終わったら、すぐにこの星から出て行ってください」 「王女殿下……」
ハミールは拳を解き、頭を下げた。
「約束する。知るべきことを知ったら、すぐに去ろう」
全員が武器を下ろした。舞い上がる土煙の中、静寂だけが戻ってきた。
(続く)
城、半壊(修理代が怖い)。 ドロパンさんが建てていたのは別荘でしたが、本城の方がヤバいことになりました。 ダルゴのタフネスさと、ハミールの『砕天』の威力。 どちらも怪獣レベルです。 次回、キャサリンの口からジェイズの秘密(の一部)が語られます。
【お願い】 「バトル熱すぎ!」「キャサリンよく止めた!」と思ったら、 下の ☆☆☆☆☆ で評価をお願いします! 城の修理費の足しにします!




