「錬金術師と……NTR? ラウルと悪魔たち!」
――英雄の心が揺らぎ、悪魔の囁きが忍び寄る。
錬金術師ジェイズ、そしてシャルロットとラウルの運命が交錯し、物語はさらに加速していく――!
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(公園での邂逅~デイビッドの介入まで)
「――あいつ、トーナメントの参加者よね……どうしてアリーナの外で喧嘩を売ってくるの?」シャルロットが戸惑い気味にささやく。
「さあね」ジェイズはにやりと笑った。「でも正直、ちょうど退屈してたところなんだよね……」
「俺はダン。ランクCの狂戦士、新人小隊所属だ。お前の隊長は戦闘不能、そしてお前は――俺たちの優勝への“脅威”だ」
「相手のランクは上でも、二人なら勝てる!」シャルロットがきっぱり言い切る。
「いや、ここは俺に任せて。今の君は丸腰だ」ジェイズが制す。
「じゃあ剣を錬成して貸しなさいよ! あんたの剣なら十分――」
「君のために剣は錬成しない! それは無理!」
ダンが地面を震わせるほどの大上段を叩きつけて突っ込んでくる。二人は反射的に身を捌いた。
「ケチらないで! ナイフ一本でもいいから!」シャルロットが避けながら叫ぶ。
「ダメだって! だいたい貴金属はホテルの部屋に置いてきたんだよ!」ジェイズは息を弾ませて返す。
「役立たず! よく自分の防具を家に置いてくるわね!」
「そっちこそ! その格好で腰に剣なんて提げられるの?」
「この衣装で歩き回れるわけないでしょ!」
「俺を無視するな、クズどもがぁ!」ダンが額に血管を浮かせ、怒号を上げる。
ジェイズは近くの金属製ベンチへ駆け寄った。
(ちょうどいい……あの鉄を使える)
両手を素早く置き、錬成を発動――。
シャルロットはどうにか躱し続けていたが、ほんの一瞬の隙を突かれる。ダンの一撃が直撃し、彼女の身体は弾かれ――ちょうど錬成を起動したばかりのジェイズへと飛び込んだ。
「きゃっ……!」
「やば……これはまずい!」ジェイズは顔をしかめる。気を失って倒れ込むシャルロットを受け止めながら、(……例の“作用”、出てないといいけど)と胸中で呟いた。
ダンが歪んだ笑みで歩み寄る。
「いいぞ。女は戦闘不能だ。これで残るはお前と俺、坊主……」
ジェイズは立ち上がる。その手には、今しがた鍛え上げた二振りの鉄剣。
「俺の“本物の剣”じゃないけど――相手にはなるさ」
公園には野の花の甘い香りが漂い、木々の間を蝶が舞う。だがその静謐は、ランクCの狂戦士ダンが叩きつけた大剣の衝撃音に無残に裂かれた。
刃が地面を抉るたび、砕けた石片が跳ね、並木がざわめく。
「――ナメるなよォ!!」
膨れあがった筋肉が震え、浮き出た血管が怒り狂う樹の根のように脈打つ。
ジェイズは凛と立ち上がり、青い瞳を鋭く光らせて二本の即席剣を構えた。
「何を企んでるか知らないけど――簡単に踏み潰せる相手じゃないって、思い知らせてやる!」
芝生に倒れたままのシャルロットの額には、小さな切り傷。彼女の痛々しい姿が、ジェイズの胸に火を灯す。
(……これ以上、彼女には指一本触れさせない)
ダンが突進する。巨大な剣が陽光を弾き、踏み込みのたびに地面が唸る。
ジェイズは身を滑らせ、一振りを相手の刃に沿わせて衝撃を流し、低い刺突で脇腹を狙う――。
ガキィン!
「……なっ!?」手応えは鉄壁。ダンの肌はまるで鋼だ。
「そんなもん、くすぐりにもならねぇ!」
ダンは大剣をプロペラのように回し、横薙ぎの一閃。
ジェイズは跳んで退き、飛び散った金属片が肩をかすめる。
「チッ……見た目以上に硬い。あの金属の剣に触れられれば、別の物質に“変えられる”のに」
間断のない連撃。ひと振りごとに、暴走列車の衝突めいて重い。
だがジェイズは、膂力こそ及ばずとも――速さと、しなやかさと、そして機転で応じるのだった。
「――よし」ジェイズは小さく呟き、足裏に錬金術の力を集めた。
次の瞬間、彼は矢のように滑り出し、近くの街灯の支柱に触れる。鉄が歪み、棘状に変質して弾丸のようにダンへと撃ち出された。
大男は剣でそれらを弾き落とすが、思わず数歩後退する。
「今のは……何だと?」額に皺を寄せ、ダンが唸る。
「足でも錬金術を使う練習をしててさ。ちょっとカッコよくない?」ジェイズは皮肉っぽく笑う。「――続ける?」
ダンは咆哮し、さらに激しく突っ込んでくる。
鋼と意思がぶつかり合う。閃く刃、飛び散る火花――公園は瞬く間に即席の戦場と化した。
(――身体が軽い。炎の錬金術も、前よりずっと滑らかに巡る!)
ジェイズがわずかな隙を見切った――その時。
「――もう止めなさい!」
凛とした声が空気を裂いた。次いで、魔力の衝撃波が二人の間を叩き、惰性で互いを遠ざける。
長い髪に水色の外套、濃色の眼鏡を掛けた青年が、薄く発光する魔法陣の台座に乗って宙に現れる。
「ダン、下がれ。もう度が過ぎている」
「デイビッド! 邪魔するな! こいつ程度、俺ひとりで――」
デイビッドはゆっくりと降り立った。
「ダメだ。十分騒ぎを起こした。これは不必要な私闘だ。お前は制御を失っている」
彼はジェイズに向き直り、軽く会釈する。
「この度は申し訳ない。彼は独断で動いた。私たちは新人小隊だが、彼の振る舞いは隊の総意ではない」
ジェイズはしばし二振りの剣を握ったまま彼を見据え――やがて錬成を解いた。
刃は細かな鉄片にほどけ、ふわりと宙に浮かんでから地面へと落ちる。
「分かったよ……でも、ちゃんと“手綱”は付けておいてくれ」
「おい!!」大男が不満げに吠える。
デイビッドは短く頷いた。
「心得た。それと――君の仲間の脈は安定している。すぐに意識も戻るだろう」彼はシャルロットの頸にそっと触れ、確かめる。
芝生に横たわる彼女は規則正しい呼吸をしていた。
「……ありがとう」
デイビッドは転移の術式を展開し、なおもぶつぶつ文句を漏らすダンを青い光で包む。二人の姿は光の粒子となって消えた。
公園に、静けさが戻る。
ジェイズは小さく息を吐き、シャルロットのもとへ歩み寄って膝をついた。
「大丈夫……もう終わったよ」
彼はそっと彼女の髪を撫でる。無意識の唇が微かに名を零した。
「……ジェイズ……」
ジェイズはやさしく微笑む。
「うん。ここにいるよ――まったく、今日は波乱続きだな」
(取引の罠~ネクロンの報告)
人影まばらな一角。瓦礫と折れた柱の間を、敵対小隊の二人が肩の力を抜いて歩いていた。星明かりが、崩れた廃墟の隙間からわずかにこぼれる。
「いやぁ、名演技だったな。危うく“あの坊主に押されてた”って錯覚するところだった」デイビッドが腕を組み、にやりと笑う。
ダンは後頭部をかき、気まずそうに笑った。
「あ、ああ……はは……台本どおり、ってやつだ」
デイビッドは舌打ちし、足元の石を小突く。
「錯覚じゃない。本気で押されてただろ、阿呆。お前が余計に熱くなるから、危うく全部台無しだ」
「悪かったって! 役者は向いてねぇんだよ。もう少し続けてたら……たぶん、殺しちまってた」
「はぁ……まったく」デイビッドは深くため息を落とす。「――ともかく、頼まれた仕事は果たした。楽な部類だった……そうだろ、騎士殿?」
闇から、音もなく影が歩み出た。ラウルの救護員に成りすましていた、あの男だ。人ならざる静けさを湛えた瞳が細く光る。
「――例の魔道具は、仕込んだか?」声は柔らかく、どこか楽しげだった。
ダンは頷く。
「ああ。簡単だったぜ。で……約束のブツは?」
男は片耳に触れ、隠していた装置を起動する。直後、頭の内側に声が響いた――ジェイズが、リタと話す声だ。
「上出来だ」救護員は口の端を歪め、囁く。「支払いだな? もちろんだ。よくやった」
小袋を開くと、足元へ放り投げた。落ちる金属音が、廃墟に乾いて響く。
「ははは……楽な稼ぎだな、ダン。どうだ、“チャンピオン”?」デイビッドが肩をすくめ、袋を拾い上げる。
ダンは袋を手で揺らし、気まずそうに笑った。
「元恋人の会話を盗み聞きするだけで、この金かよ。やりすぎじゃねぇか?」
「ただ関係性を知りたいだけさ。大げさな話じゃない」救護員は何気ない口調で返す。
デイビッドは目を細め、掌に小さな〈火のルーン〉を灯した。
「――深入りはやめておけ。嫉妬はロクな結果を生まない」
「肝に銘じよう。助言に感謝するよ」救護員は満面の笑みを作る。「ああ、そうだ……中身は数えないのかい?」
「そりゃあ、詐欺られてるかもしれねぇしな」ダンが笑いながら袋の口を開く。
「一枚残らず、ね」デイビッドも笑みを崩さずに言った。
袋が開いた刹那――黒い霧が跳ね上がり、二人の顔面を覆った。生き物のように鼻腔へと侵入していく。
「ぐっ……な、なんだこれは……!」デイビッドは顔を押さえ、輪郭がぐにゃりと崩れはじめる。
「ぐあぁぁっ! 痛ぇ! クソが! 焼ける……!」ダンは膝から崩れ落ちた。
デイビッドも隣で倒れ込み、荒く息を吐く。
「こ、これは……瘴気……ってことは――お前……は……ああああ――!」
二人は地に転がり、のたうった。黒い物質がじわじわと体表を侵食し、夜の残響の中で悲鳴はか細く掻き消えていく。
救護員は、黙って見下ろしていた。
「――英雄の血を持たぬ者は不要だ。我らには、ね」
沈黙が戻る。やがて、闇の底から黒霧が地表を這い広がった。腐臭が空気を満たす。
濁った低声が、靄の向こうから響く。
「……ネクロン。任務はどう進んでいる。『運命の眼』は一刻も早く必要だ」
救護員――正体を露わにしたネクロンは片膝をついた。薄闇に垣間見える真の姿。煤けた肌、血のルーンが刻まれた両腕、刃のように細い角。
「陛下……この宙域での行動は我ら悪魔に不利。〈鎖の術式〉がなければ、この形態の維持すら困難にございます」
「言い訳は要らぬ」声が唸る。「“カオス”を生み出すのに相応しい――英雄の血を持つ人間は確保したのか」
「はい、陛下。完璧でございます。まるで運命そのものが我らに微笑んでいるかのように。本夜……やつの心を完全に堕としましょう」
小さな間。霧が渦を巻き、渦動は禍々しい渦となる。
「……アクロンはどうした」
「アクロン様は、ヴァドゥルス伯の身分の簒奪に成功。至高姫殿下に最も近い賓客として紛れ込んでおります」
「よろしい。この任を果たせるのはお前たちだけだ。貴様らほど巧みに魔気を隠せる者はいない」
「『運命の眼』さえ手に入れば――南帝国は我らのもの」
ネクロンは頭を垂れ、唇に暗い笑みを刻む。
「御意。――もはや、誰にも止められません」
(部屋の前~二人の緊張/情熱の夜)
「――着いたな」ジェイズはかすかに笑い、「もう楽になったといいけど……。じゃあ休めるように、俺は――」
シャルロットは一瞬だけ視線を落とし、胸の内で火花がはじける。
(――今が“機会”。)
「行かないで。もう少し話したいの」柔らかく、誠実な声で言う。「助けてくれたお礼と……それから、ごめんなさい。さっき、あなたのことを酷く言ってしまって。恥ずかしいけど……謝りたいの。あなたは、すごい人だって分かった。――勇気のある、人」
ジェイズは気恥ずかしそうに目をそらし、後頭部をかく。
「大丈夫だよ」照れ笑いを浮かべる。「俺、よく誤解されるタイプだから。慣れてるし」
シャルロットは一歩、距離を詰めた。瞳が彼をまっすぐ射抜く。
「本気で言ってるの」言葉にわずかな力をこめる。「本当に“すてき”なの。守ってくれたとき……胸の奥が熱くなって、どう言えばいいのか分からなくなるくらい」
ジェイズは立ち上がり、空気を切り替えようとする。
「――とにかく、もう休まないと。俺は――」
その袖を、シャルロットが強く掴んだ。先ほどまでの遠慮はもうない。
「ダメ。帰すのは、私が“いい”と言ってから――。今は帰さない」
「……やめた方がいい」ジェイズはやんわり腕を引きつつ言う。「君には、好きな人がいる。これは、よくない」
だが彼女は退かなかった。意外な力で引き寄せ、よろめいたジェイズはベッドの上に倒れ込む。二人の顔は、息が触れ合うほど近い。視線が絡み、時間が止まる。
「――あの人は」シャルロットがかすかに震える声で囁く。「私を“道具”としか見てない。気休めの相手。私という人間は、彼にとって“何でもない”の」
ジェイズは沈黙する。言葉より先に、彼女の痛みが胸に刺さる。
シャルロットはさらに声を落とした。
「あなたがみんなにくれた“幸せ”、少しでいい――私にも、分けてくれる?」
「それをしたら……もう後戻りはできない」ジェイズは正直に告げる。「君は“変わる”。それでもいいのか」
「間違った人を好きになったことを、忘れたいの」涙を滲ませて言う。「今夜だけでいい。愛されたいの。お願い」
「……俺だって、褒められた人間じゃない」ジェイズは自嘲するように呟く。
「構わない」シャルロットは掴む手に力をこめる。「今、この鼓動はあなたのために鳴ってる。彼のことは、今は頭にない。――欲しいのは、“あなた”だけ」
震えながらも決意に満ちた指先が、そっとブラウスのボタンに触れる。ゆっくりと外れていく留め具。胸元がわずかに開き、白い肌に涙の艶が差す。
彼女の視線は、弱さと小悪魔めいた光が同居した――無言の懇願。
「……綺麗だ」ジェイズが思わず漏らす。「いや、罪だ。見惚れずにいられない」
「考えないで」彼女は強く抱きしめる。「忘れられない夜をちょうだい――炎の錬金術師さん」
もう抑えられなかった。
唇が重なり、熱が移ろい、触れるたびに彼女の呼吸が跳ねる。
絡まる指、近づく体温。囁きは甘く、時に掠れ、名前を呼ぶ声が震える。
「……すごい……すごいの……!」
シャルロットの声は上ずり、歓びと安堵が入り混じった吐息が室内に満ちていく。
二人はただ互いを求め、今夜が世界の終わりであるかのように抱き合った。
完全防音の術で守られたはずの一室。だが、どんな術式にも綻びはある。
その夜、壁も距離も越えて、誰かの耳に音が届いていた。
――こんな、奔放で、激しい声が。あの凛としたシャルロットの――。
ラウル。
無表情の顔、半開きの唇、見開かれた瞳孔、震える肩。
他の男に身も心も委ね、狂おしいほどに名を呼ぶ声は、刃のように彼の胸を刺し貫く。静かで、長い拷問。
ひときわ鋭い声が、隠された魔具の障壁を突き抜けた瞬間――
ラウルは、もう堪えきれなかった。
(ラウルの咆哮~ネクロンの呪果/変貌)
「――あああああああああッ!」
痛みと怒りと絶望が混ざった、獣じみた咆哮。人の声ではない。抑え込まれていた感情が弾け飛ぶ、屈辱そのものの慟哭。
かつては掌で転がせた女。子猫のように腕へ飛び込んできた女。――そのシャルロットが、今は別の男の腕の中で、獣のように名を呼び、喘いでいる。
しかも、それをただ“聴かされている”だけ。何もできないまま。
隣では、暗い気配がその“舞台”を愉しむ観客のように佇んでいた。
「さぁ、英雄殿――砕けるがいい」救護員に扮した男が、嗜虐的な笑みで囁く。「時は満ちた……」
その声の主は凡百の人間ではない。痛みに群がり、他者の苦悩を糧とする魔――ネクロン。
外套の下、闇をまとう手で鞄から黒い果実を取り出す。表面には紫に脈打つ魔光のグリフ――地獄の禁呪が刻まれている。悪魔の〈呪果〉だ。
「もう失うものはない」ネクロンは天上の美食を差し出すふうに掲げる。「君にはもう、誰も残っていない。尊厳も……愛も」
ラウルは答えない。血走った瞳が、果実に釘付けになる。憎悪。復讐への渇き。
かつて拒んだ闇が、今は親しい。甘美だ。誘惑だ。
「今夜――」ネクロンは舌なめずりをして告げる。「『カオス』が、始まる」
低く不気味な笑いが、予言のように響き渡った。
「フ――ハハハハハハハハハハ!」
病的な紫光が薄闇を染める診療室。
ラウルは簡易ベッドの端に腰を掛け、ネクロンが両の手で掲げる黒い果実を凝視していた。それは歪で、禍つべき輝きを宿す“戦利品”のようだ。
涙に滲む視界のまま、手が伸びる。飲み込むしかないと分かっている。意志はもう折れている。彼を動かすのは、ただひとつ、復讐の衝動。
「……ラウル」歯の隙間から吐き出す。抑圧した怒りで震える声。「全部、報いを……。俺を笑う虫けらどもに……。俺は輝くために生まれた英雄だ! 世界を光で征く――!」
握った拳から血が滲む。
ネクロンは醜怪に口角を吊り上げる。毒皿を差し出し、客の反応を愉しむ料理人のように。
「――さあ、ネクロンの名に誓おう。すべてを受け入れ、喰らい尽くせ。汚された誇りを取り戻せ。飢えを満たしたなら――流せ、『カオス』を。ほんの一条でいい。裂け目を穿て。『運命の眼』は、その時に姿を見せる」
ラウルは掴み取るように果実を奪い、ためらいなく噛みついた。
甘やかで――罪の味。裏切りのように苦い。
一口ごとに、人間性へ打ち込まれる釘。
嚥下の度に、破壊の約定が刻まれていく。
彼を満たすのはただ、踏みにじる欲望。彼女を、あいつを、この世界を。
――そして、痛みが来た。
ラウルは叫ぶ。
地獄が体内で開花したかのように。骨がきしみ、皮下で蠢いて捩れる。背骨は悪魔の楽曲に合わせて踊り、皮膚はひび割れ、剥げ落ちる。――変貌は、苛烈で、醜怪で、止まらない。
皮肉にも、デイビッドが仕込んだ秘匿装置は、まだ作動している。
向こう側からは――シャルロットの声。
甘く、荒く、名を求める声。ジェイズへ捧げる囁き。
ラウルの断末魔は、それらと重なり、天国と地獄の二重奏となって胸を引き裂く。
ネクロンは、嗤う。
「――さぁ、英雄。やってしまえ」喉の奥で笑いを噛み殺しながら囁く。「全部だ。あれも、これも、お前自身も――粉々に」
――つづく。
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MasterDeath ユーザーID:48204
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