第十五話 カジノ
「ボルカー、本当にこの先にいるのか?」
「あたしを疑うの? エターナル。いるに決まってるでしょ? わかったら黙ってて」
全身黄色のメスガキに連れられて俺達ふたりはうす暗い裏路地の中を歩いていた。少しジメジメしているが、ひんやりとしている。
「キルアは大丈夫か?」
小さく俺が呟くとフェクドは少し目を瞑ったあと、キルアの安否を伝えてきた。
「…ん、大丈夫だ。きらびやかなところで、着替えているようだ。ルガスも一緒だよ」
「きらびやかなところって?」
「床を見るに、カジノ? みたいなところだ」
フェクドが答えたとき、ボルカーは思い出したように俺達に告げる。
「ああ、言い忘れてた。ふたりはあたしのカジノでバニースーツ着て金を稼いできてもらうんだよ」
「バニースーツ!?」
「金を稼ぐにはこれが一番手っ取り早いでしょ? ギャンブルなんかしても、あの子達じゃあ、一年経っても稼げないからね」
「そうか? わりと運、あるんじゃないか?」
「悪いけどイカサマはなにひとつできないし、初心者にはあんまり向いてないところだからね」
イカサマがない。本当だろうか…? そう思ったが、ヴェルハがボルカーにつけた設定【フェア・ギャンブラー】を思い出して本当だと信じることにした。
「それに、身体売ったほうが、効率がいいからね」
「身体って…!!」
「実際そうでしょ? 世にはびこるヘンタイさんのほうが、トランプよりも、スロットよりも、パチンコ台よりも、素直にお金、落としてくれるよ」
正論のような言葉にねじ伏せられた俺達は仕方なく黙ってついて行った。
少し歩いた頃、ボルカーは立ち止まって俺達を振り返った。
「いい? この先に何があっても、騒がないで。話さないで。静かにそっと、彼を捕まえて」
「拒まれたら?」
「ふん、そんなのあたしが知るわけないじゃん。どうにかするのね」
変わらない強情なメスガキに懐かしいと思いながら、ボルカーが開けた扉を超えて、中に入った。
――――――
何故かバニースーツに着替えさせられた俺達は担当の奴が席を外している間に雑談をしていた。
ちなみに、商人の男に作ってもらった服は持っているが、バニースーツを支給されたことにより、いまだ着ることはできていない。
「エターナルたち、来てくれるかなあ」
「来るんじゃない? まあヴァルフのほうが先だろうけど」
「だよなあ… ヴァルフ、大丈夫だろうか…」
「おい新入り! お客サマがお前らをご指名だ!」
「はーい!」
担当の奴が扉の外からデカい声で俺達を呼ぶ。しぶしぶ部屋を飛び出すと、俺達の想像とは裏腹に、可憐な女の子が出迎えてくれた。
「?」
「… やっと、出会えた!」
見るからに、魔精の… 女の子。なんか見たことあるような気がする。
「覚えて、ないですか…?」
なんだったっけなあ…
あとがき
真理だろう? 作者もそう思います。




