第十話 安心
ルガスが仲間に加わった。俺たちはルガスに自己紹介をしてから、旅の目的について話すことにした。
「今回の旅の目的だが、魔王城にある伝説の魔剣「終焉」の確保と魔王討伐だ」
「魔王…」
「魔王城」、「魔王討伐」… などと言ったとき、若干ルガスの表情が曇ったような気がしたが、まあ気のせいだということにしてそのまま話を進めた。それとルガスにはフェクドのお古を着させてやろうとしたんだが、服に染み付いてた神の力にやられて死にかけたので今はとりあえずヴァルフのぶかぶかの上着を羽織ってもらった。このままだとなんか奴隷みたいだから、後で服を買いに行こう。
「ルガスの服を街で見繕った後は魔王城があるアークヴェラル王国へと向かって進む。なにか質問はあるか?」
「それなら少し質問したいことがある」
「何だ? 言ってみろ」
「今の魔王の名前は、なんだ?」
「今の魔王は、ルシファー=ヴェラルだ」
「ルシファー… ああ、ありがとう」
返答に間があったような…?
「それだけか?」
「ああ。もう大丈夫」
「そうか」
俺たちは宿の勘定を済ませ、街で各々活動することにした。俺とヴァルフとルガスで、服を買いに行く。なにかすることがあるらしいフェクドとエターナルは別行動だ。なんかこの二人が一緒になると何か起こりそうな気がするが… まあいいだろう。そんなこと考えるよりも、ルガスをどうにかする方が先だ!
「そこのお姉さん、ちょっとお話聞いていい?」
「は、はい…」
まるで奴隷な男が自分に話しかけてきて、本当に自分なのだろうかと思い周りを見るが周りに女は一人もいず、ひょろいジャージ男とロン毛で綺麗な男とこの奴隷しかいなかった。
「こいつに服を買おうと思っているのだが、服を売っている店はどこだろうか」
ロン毛の綺麗な男が話してきたので少し安心したように彼女は答えた。どうやら服屋は今歩いている道をそのまま真っ直ぐ行くと行き止まりにひとつあるらしい。しかも腕利きの職人が居て、金さえ積めば要望通りのものを用意してくれるだとか。
「ありがとう、お姉さん!」
お姉さんはどこか悪いことをしたような表情をしていた。
その頃、フェクドとエターナルは…
「エターナル」
「どうした、フェクド。なにか聞きたいことでもあるのか?」
エターナルに言い当てられ、きまりが悪そうにフェクドは言った。
「もし終焉を手に入れたとして、どうするんだ?」
「そのまま終焉を首に当ててアルトに会いに行く。それ以外に俺が望むことはない」
「終焉はどうするんだ?」
「お前かキルアにでもくれてやる。もしかしたらアルトが転生したときに、親交があるかもしれないからな」
「やっぱりエターナルはアルトのことしか考えていないんだ」 とか思いながら、少し安心したようにフェクドはため息をついた。
あとがき
キルアたちは服屋に向けて南下する!
描き起こしシーンアンケートやってます↓
https://x.com/genparu1004/status/1925149331096760673