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第九話 悪魔

 数分後、エターナルの協力でやっとこれと俺の頭を引きはがすことに成功した。…といっても頭と頭が離れただけで、未だこれ(キルア)は俺にくっついたままだが。

「おい」

 本っ当に俺は悪くない! こいつが悪いんです!

 俺は弁明したかったが、弁明したところで怪しさは増すだけだろう。苦笑いをし続けていたとき、ヴァルフが言った。

「ちょっとキルアを見せてくれないか?」

「いいけど、どういうことだ?」

 俺は彼に問い返したが、彼はキルアを眺めているばかりで、俺の話に耳を傾けてくれない。数秒経って、ヴァルフは再び口を開いた。

「キルアが、悪魔にとり憑かれています!」

「悪魔?」

 俺はただの自演だろうと思っていたが、どうやら違ったらしい。悪魔… 久しぶりに聞いたな。奇天烈なやつでなければいいが… とりあえず、悪魔を祓わなければ。これがずっとくっついたままとか、いろんな意味で無理!

「今から破邪魔法を使う。エターナルとヴァルフは離れていてくれ」

「ああ」

「わかった」

 なぜ俺がそう言ったのか。基本、魔法耐性は少なからず持っている魔族だが、とある魔法だけは耐性の例外として扱われる。それは光魔法と逸脱魔法だ。前者は魔族や悪魔など、闇属性を持つ者に特攻してダメージを与えることができる属性で、後者は攻撃も防御も、耐性貫通能力も、他と比べて()()した属性である。そして今から打とうとしている魔法は、光・逸脱複合属性の破邪の魔法だからだ!!

——これは破邪の槍。悪魔の邪悪から、かの者を開放し、救いをもたらさん!

【エクソシズム・グングニル=エスケープ】

 魔力で生み出された光の槍がキルアの胸を貫く。かすかにキルアは血を吐くと、俺にくっつくのをやっとやめた。と同時に憑いていたであろう悪魔が実体化し、現れた。

「…俺は何を?」「ホントにお前何者?」

「やっと元に戻ったか。自分の手元でも見てみたらどうだ」

「?」「あはは!! オレがやったことだからアレだけど、いかがわしいな!!」

「!」

 キルアは今更自分がしていることに気づいたらしい。顔を真っ赤にして急いで俺から離れた。

 キルアに憑依していた悪魔はおっさん座りしてヘラヘラとしている。実体化させてみたはいいが、やはり、悪魔の服は露出が多いな。もうすこしマシな服は持っていないのだろうか。パンツ一丁のほうが布面積あるんじゃないか? いや、それはないか。

 そう思っている心を読んだのだろうか。悪魔は羽を出して上半身だけ隠した。いや、他にも隠す場所があるだろう…

「何者なんだ、お前」

「そんなのオレが聞きてえよ!! オレ、こう見えて悪魔のなかでも上のほうなんだぜ?」

「上のほうなのか?」

 ヴァルフが、ヘラヘラしている彼を見て「信じられない」の顔で問う。

「どれくらいの等級なんだ?」

「上から数えて… 片手で収まるくらいだ。クリムゾンの次くらいに強いんじゃねえか? たぶん」

「クリムゾン!?」

 ちなみに、クリムゾンとは「悪魔の面汚し」と呼ばれている、血を好む、放火が趣味な、伝説の悪魔だ。原初の魔族が出ていた時代に魔界中に炎を撒き、大量虐殺を行った人物として有名だ。少しした頃に剣聖ペトラ=セルペードに殺されたんだが。

 …まあ、つまり、目の前にいる布面積が少ない男は、強いってことだ。

「というか、オレの質問にも答えてくれよ!! オレをこいつから引きはがしたお前は、何者なんだ!」

「神の奴隷だ」

 自虐っぽく言ってみたが、こいつは俺を脅威だと認識したらしい。

「ひええ! おっかない! オレをどうするつもりなんだ!?」

「別にどうもしない」

「なんだそれ!! 一番怖いよ!」

「どうしてほしいんだ?」

「オレは悪魔だから、誰かの身体に住まわしてもらうのが一番うれしいんだけど…」

 そう言って彼はキルアのほうをチラ見する。

 悪魔は誰かの身体に寄生したほうが力を発揮しやすいのだ。

「言っておくが、これ以上同居人が増えるのは嫌だぞ」

「同居人…」

 なんだその言葉選び! と誰もが思ったのは、気のせいだ。

「もう今回みたいに暴れないから、お願いだよお!!」

「…わかった、俺の身体に住んでもいい。が、条件がある」

「条件?」

「俺たちの言うことに、絶対服従だ」

「…そんなのでいいのか? お安い御用だ!」


 ルガスが新しく仲間に加わった。

あとがき

びっくりマークとかがなんか赤かった。鬱。

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