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魔王の娘、無事収穫



俺の名前は如月涼介。十六歳の男子高校生。

好きな料理はハンバーグとコロッケ、趣味はマイナーアニメの採掘かな。

オンラインゲームをネッ友と徹夜で寝落ちするまでやり込み、授業ではひたすら爆睡するのが日常のルーティーンだ。



俺という男を二文字で言い表すなら”””平凡”””!!

特に尖るってるところもなければ凹んでるところもありやしない。

唯一出来るとしたらけん玉をあの刺さりにくい先っぽに嵌められる事くらい。



別に親友と呼べる輩も居なかったし、クラスに一人はいる空気のお掃除要員さ。



そんでそんな俺が生まれた故郷はというと当然愛すべきJAPAN。だけど何だかんだあって今はドラゴンやらリザードマンがいる不思議な世界で過ごしています。所謂異世界転生者ってやつだ。ほら、ラノベとかで一回は読んだことがあるだろう。



「さて、今日も農業やるか。」



そうして俺は異世界で無双するために日々レベリング、ーーではなく地道に農業をやっています。だって戦うの怖いんだもん。命賭けの勝負?ギリギリの接戦?痛そうだし絶対に嫌だね。


そんなこんなで農業に全力シフト、もう薄っぺらい俺の自己紹介は充分だろう。



「さて…待たせたな」



自給自足。風光明媚。新鮮な空気と眩い朝日に照らされていると心は浄化されるし、だんだん顔もナイスガイになってきた気がする。もう最近は農業に没頭しすぎてコーンにまで恋愛感情を抱き始めたくらいだしな。



そして今日は待ちに待った収穫日。



俺の一年間積み上げてきた努力が成果として返ってくる最高の瞬間。

滲み出る期待と不安。去年に比べて果たしてそれ以上の成果を得られているのか。

ドキドキと高鳴る心臓を抑え、緊張しながら自慢の農場に向かうとーーー



「え?」

「あ」



ーーー何故かコーン畑に少女が生えていました。



意味不明な状況に俺は困惑する。日本語が日本語として機能していないだと…?

まさに尻隠して頭隠さず。地面から上半身だけ飛び出た様用はまるでパチモンのディ●ダ。そのまま無言で少女と視線を合わせて数刻、俺の口からごもっともの疑念が漏れた。



「何してるんだお前。」

「‥」



俺の問いに少女は答えることなく押し黙る。もしかしてバレないとでも………?

平然そうな表情を頑張って作ってるかもしれんが、目が泳ぎまくってるぞ。

少女は慎重に何度も俺の顔色を窺い、タイミングを見計らって震える声を上げる。



「わ、私はコーン。あ、甘くて美味しいよ……」



俺は察した…この少女が何をしでかしたのか。



「貴様‥俺のマイハニーを‥俺の愛情と、丹精と、人生をかけて育てた愛しのスウィートコォーンを、どこにやったァァァーー!!!」



叫ばずにはいられなかった。俺の人生を捧げて完成した至高の傑作を。まさかこんな形で…許さんぞぉ!



「ち、違うんです!お腹を空かせて歩いていたら突如魔物に襲われて‥それで偶然転んだ先で口に‥」 

「笑止千万!!あるわけないだろそんなこと!生き埋めだ!生き埋めにしてお前の肉骨全てうちの畑の肥料にしてやる!」

「きゃぁ!!暴力反対いいい!!男の子が女の子に殴っていいなんて聞いてません!」

「うるせー!俺は真の男女平等を掲げる清く正しい男なんだよ。生き埋めが無理なら、今からでも気合いで口から吐きやがれ!」

「無理ですってぇええええええええええ!」



俺は抵抗する少女を強引に地面から引き摺り出すと、肩を掴んで凄まじい勢いで揺らす。悪いがそこに躊躇はない。か弱い乙女だろうがコーンを致した罪はただじゃ済まぬのだ。


ーーーその大罪を身を持って存分に償うがいい!!



「吐けェェェーーー!!‥‥‥へ?」

「ちょっとは加減をs‥‥‥やっべ。」



あれ…?俺は誤魔化しようのない異変にふと手を止める。

なんかこいつ尻尾生えてね?てかよくよく見たら頭からツノ飛び出てるし…

パッと見は気付かなかったが間違いなくそれは俺の知っている人間の姿ではない。



「お前…魔族か?」

「ま、まぞ?まぞく??な、何ですかねそれ…。あはは、コスプレですって〜」



少女は遥か彼方の空を眺めて怪しさ満点の口笛を吹く。

困った困ったと言わんばかりに少女は髪をポリポリとかくと、人差し指をぐるぐると廻す。なんだ照れ隠しか?残念ながら俺はそんなかわいらしい仕草をしても見逃さないぞ。


なんて言い訳をしつつ見惚れているとーー



「とりあえず闇魔法♡えい♡」

「??????」



突如として俺の正面に展開される魔法陣。理解不能なまま大量の魔力の光に襲われる。


だが俺は見逃さなかった。魔法が放たれる直前、わざとらしく少女がてペペロと舌を出してた事に。



「何というかごめんなさいね。あ、コーンはご馳走様でした。ほんと美味しかったです。」


「おいふざけんなああああああああああ」



ーーードゴォォォォォオオオオオオン!!



鼓膜が破れける轟音を鳴らしながら、漫画に描いたような大爆発が起こる。

爆風が晴れた頃には農場ごと跡形もなく更地になっていた。



「ふぅ危なかった危なかった。やっぱお父様のいうとおり人間は恐ろしい生物です。無実、しかもこんな華奢で可愛い幼気な少女に暴力を振ろうとするなんて‥‥…ん?」

「はぁはぁ、待てよ少女。そうだったとしてもまずは俺に謝る必要があるんじゃあないか?」

「ひ、ヒィ!なんでまだ生きてるんですか!?私が出せる最大の魔法だったのに‥」



残った腕力を振り絞ってなんとか少女の足にしがみ付く。

危ない危ない。あと一秒防御魔法が遅れていたら確実に死んでいたな。

まさかあのくるくる動作が魔法の詠唱だったとは‥‥‥油断大敵だった。



「悪いな、貧弱だった俺をコーンへの純情がさらに強くしたんだよ。いうならば愛の燈。いや魂!!侮ってもらっちゃ困るぜぇ…」

「ご、ごめんなさい!!な、なんでもするんでどうか命だけは‥‥」

「何でも?ほぉ‥‥。お前今"何でも"って言ったなァ、貴様自身のその口で今!!ならばその貧相な身を持って俺に従うがいい!!」

「え!?まさか主従契約!?なんで貴方がそれ出来るの!?」



契約魔法。本来ならば決して常人が使うことは許されない禁忌の魔法。しかしながら俺は初めて異世界転生した時、ハーレムを期待して女神からこの魔法を授かったのだ。相手から自分の意思で条件を飲み込んだ場合にのみ、俺は特例として行使することが出来る!!



「そうは言いましたけどえっちなことはダメですからねーーーー!!」



嘆いたってもう遅い、残念ながら既に言質は取っている。このままゴリ押しで強行させてもらう!!俺は右手を彼方に翳し、終わりの契約を唱える。宣言するのは主人と従者を結ばせる絶対命令。



「フゥン‥‥…それでは全身全霊で俺の農業を手伝うがいい!!」

「いやァーーー!!‥‥え?」



絵に描いたような困惑。俺の契約命令が全くの予想外だったのか、倒れ伏せたまま少女が固まる。説明する義理はない、しかし従者として仕えるのに何も知らないのは可哀想なので教えてやることにする。



「だから助手になれと言っているんだ。やがてお前が食べたコーンの無念を晴らして、全世界に示してやるのだ!!あの偉大さと儚さを。そうして全国民が崇めるスウィートコーンの銅像をつくろうではないか!!」

「はぁ‥?」

「立ちたまえ。今日は記念すべき俺とお前のモロコシ同盟誕生記念日だ!!」

「あ、頭大丈夫ですか…??」



コーンの神格化という崇高に恐れをなしたようで、少女は一歩後退する。

まだ未熟なお前では戸惑うのも仕方がない。あれを敬意するにはそれ相応の覚悟とやらがいるのでな。


だからこその契約だ。言葉が通じるのならばいずれ分かち合えるさ。



「さぁ俺と共にコーンを愛で、二人で王国を築き上げようではないかっ!!」



やがて甲に紋章が顕現すると真紅に輝きを放つ、契約完成の証である。俺は満足した笑みを浮かべて家に帰ろうとすると、少女が血飛沫を上げる勢いで俺の背中を引っ張ってきた。


「あだだダダダだあだだっ!!いたいっ!!」

「待って!!待ってくださいよ!!ええと‥‥あの何か勘違いしてると思うんですけど、私魔族ですよ?殺さなくていいんですか?」

「‥‥‥‥て、え。お前マジで魔族なの?冗談抜きで‥‥?」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥魔族っていうか魔王の娘ですよ?」

「マオウノムスメ?あれ…?コスプレだったのでは?」

「尻尾とツノは自前ですよ。こうやって自在に動かせますし。それになんで人間が宿敵である魔族のコスプレするんですか‥‥。」



少女は大きく呆れた様子を見せて溜息をつく。まぁ確かに冷静になってよくよく見れば見るほど、禍々しい魔力を感じる気がする。それに少女が嘘をつく訳ないしやがて甲に紋章が顕現すると真紅に輝きを放つ、契約完成の証である。俺は満足した笑みを浮かべて家に帰ろうとすると、少女が血飛沫を上げる勢いで俺の背中を引っ張ってきた。


「あだだダダダだあだだっ!!いたいっ!!」

「待って!!待ってくださいよ!!ええと‥‥あの何か勘違いしてると思うんですけど、私魔族ですよ?殺さなくていいんですか?」

「‥‥‥‥て、え。お前マジで魔族なの?冗談抜きで‥‥?」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥魔族っていうか魔王の娘ですよ?」

「マオウノムスメ?あれ…?コスプレだったのでは?」

「尻尾とツノは自前ですよ。こうやって自在に動かせますし。それになんで人間が宿敵である魔族のコスプレするんですか‥‥。」



少女は大きく呆れた様子で溜息をつく。確かに冷静になって見れば見るほど、禍々しい魔力が漂っている気がする。それにモロコシ同盟を結んだこの少女が再び騙すなんて非人道的な真似をするとは思えないし‥‥



「スーーーーー、ま、計画通りってやつ?」



俺は勢いだけで、とんでもないことをやらかしてしまったかもしれない。






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