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にくまんちゃん

作者: 闇闇まん

ここは平和な世界『にくまワールド』


にくまワールドには喋るにくまんがいました。

にくまんちゃん達はお互い誰も傷つけず、戦わず、憎まない優しい世界でした。


そんなある日、森の奥で轟音と共に空間の歪みが発生しました。


冒険者ギルド『ほかほかセイロ』のベテラン冒険者にくまんちゃんが武器を取り外へ飛び出した。


「何だあれは…!」


空には見たことのない黒い蒸気がたちのぼり、甘い香りが漂う。ベテランとはいえ、平和な世界で冒険者ごっこをしていただけなので恐怖で手を震わせていた。


にくまんちゃん達はぞろぞろと外に出て森と空の様子をみた。

その方角から巨大な中華まんのホログラムが映し出された。

その姿は異様で同じ中華まんなのにツノがない。


「劣等中華まん諸君。聞こえるか。」


異形の中華まんは下手に編集された低い声を発した。


「我が名はあんまん。貴様らの世界を奪いに来た。」


「何だと!」「そんの許さないワ。」「一緒に住みたいの?」


にくまんちゃん達はザワつきながら聞いていた。

怖がる者、よくわかってない者、そして武器を振りかざし立ち上がる者もいた。


「私達の世界は私たちで守る!」

「今こそ冒険者の力を見せる時だワ!」


若い冒険者にくまんちゃん数人が森の奥へと走った。


「突撃!」

「待て!敵の力が未知の段階で無闇に近づくんじゃない!」


ベテラン冒険者にくまんちゃんが止めるがもう遅かった。

怖いけど気になるので後ろからこっそりついて行く事にした。


にくまんちゃん達が森の奥へ入ると奥から異形の中華まん、あんまんが現れた。その数は数百。数では圧倒的に不利だった。ベテラン冒険者にくまんちゃんは隠れつつ、数を減らし、敵の能力を測ろうと画作した。


「おい、若いの!突っ込むんじゃない。隠れて1人1人始末するんだ。」


「敵はっけーん!突撃だワ!」


若いにくまんちゃん達はベテラン冒険者にくまんちゃんの言うこと聞かず、行ってしまった。


「わー!わー!」


かわいい声をあげながら、プラスチックのような軽い素材でできた剣でペチペチした。


「痛い!痛い!お返しだ!」


あんまん達は素手で殴りかかった。その威力は剣を凌駕し、にくまんちゃん達は思わず武器を落としてしまった。


「あ!わたしの武器が!」


あんまんは武器を踏み潰し、にくまんちゃん達を囲んだ。


「あんまんに逆らうなどと、馬鹿な真似をするからこうなるのだ。」


あんまんはにくまんちゃん達を一斉にペチペチした。


「痛い!痛いワ!」「撤退!撤退!」


若いにくまんちゃん達は脱兎の如くぴょんぴょん跳ねて逃げ出した。


「はっはっは!劣等中華まんが逃げて行った!このままにくまワールドを支配するぞ!」


あんまん達は侵攻を開始した。


ベテラン冒険者にくまんちゃんは怖いから震えて見ていたが、このままではにくまワールドは全滅してしまう。


勇気を振り絞り奇襲攻撃を決心した。


「いっちにーあんまん!いっちにーあんまん!」


謎の掛け声で隊列を組み歩いているが、にくまんちゃん達より少し遅い。中身がぎっしりして重いのだろう。

ほとんど進んでいないのに、少しすると休憩をとり始めた。


「異界移動は疲れるなー。」

「まあな。初めてだからな。」

「ちょっとあっちの日当たりのいい場所で昼寝に行ってくる。」

「にくまんちゃんの襲撃に気をつけろよ。」

「大丈夫大丈夫。アイツら雑魚だから」


あんまんの1匹が別行動をし始めた。


(しめたぞ)


ベテラン冒険者にくまんちゃんは森の木の枝を拾う。

鋭く尖り硬い枝ならあの皮を貫ける。

あんまんの1匹はちょうど味方あんまんの視線から隠れてしまう位置の木に寄りかかった。

その木にこっそり登り木の枝の尖をあんまんに向けて飛び降りた。


「マア!アアン…」

変な断末魔をあげてあんまんは動かなくなった。


(やった!)


にくまんちゃん達は真っ二つにされても分裂してすぐに再生する性質があるが、あんまんはどうやらないらしい。もしかしたらあるが、遅いのかも知れない。


念の為突き刺した跡の穴に手を突っ込んであんまんを裂いた。


「アチチ!」


あんまんの中身は黒く、高温で、急いで食べてしまったら口内の皮膚がベロンってなるほどだった。


「誰だ!」


うっかり声をあげてしまったにくまんちゃんの声に気がつき、あんまん達がゾロゾロ集まってくる。

体にあんこがついて動けない。


「にくまんちゃんだ!攻撃!」


あんまんの1匹が強烈な拳を喰らわせる。


「ギャアア!」


その重い拳でダメージを受けたが、飛ばされたおかげで距離を取ることに成功。その隙に逃げ出すことができたのだった。


にくまんちゃんは急いで逃げ出し、『ほかほかセイロ』に向かった。



あんまんの移動は遅く、ベテラン冒険者にくまんちゃんがギルドに辿り着いても追いついてくる様子はない。


ベテラン冒険者にくまんちゃんは敵の情報を的確に話す。


「敵は無限再生しない、もしくは極端に再生速度が遅い、移動速度が遅く、今は異界移動により疲労している。そして攻撃力は圧倒的に高くにくまんちゃん数人がかりで戦っても勝てない。そして今は数でも負けている。」


にくまんちゃん達は身を寄せて真剣に考えたりぼーっとしたり居眠りしてたりした。


特に何も意見が出ないまま数分、寝ていた長老にくまんちゃんが口を開いた。


「にく魔神の加護を得るのじゃ…それしか方法はない。」


にくまんちゃん達はみんな長老を見た。


「何それー?」「かっこいいワね」「ニックマーン」


長老は続けた。


「近所に『セブン神のせいろ』、『ヘイチン神のセイロ』『ゴーゴーワン神のせいろ』があるじゃろ?そこへ入るんじゃ」


「よくわからないケド行ってみるわ!」


そんな感じでにくまんちゃん達は手分けしてセイロに入った。ベテラン冒険者にくまんちゃんは疲れたし、怖いから帰って寝ることにした。


若いにくまんちゃん達が蒸し上がるまで待っているとついにあんまんがギルド前まで来てしまった。


「おとなしく支配を受けろ。そうすれば殺さず、冷凍しておいてやる。」


長老が前に出て立ち塞がった。


「お前らに従うなどまっぴらごめんだ!これを食らえ」


長老にくまんちゃんは体の熱を一点に集中させ蒸気を放った。その熱は凄まじく、周辺は蒸気で見えなくなるほどだった。


「やったか!」


ほかほかとたちのぼる蒸気の中、その影は平然としていた。


「はっはっは!その程度の熱、効くわけないだろ?」


あんまんは1匹のあんまんを裂くと中身のあんこを投げつけてきた。


「ギャー!!」


長老はあまりの熱さに気を失ってしまった。


「わかったか!今日からこの世界は我々のものだ!」

「えい!えい!あん!まーん!えい!えい!あん!まーん!」


ギルドにいたにくまんちゃん達がゴロゴロし絶望した時だった。


「待てい!」


にく魔神のセイロで蒸しあがったにくまんちゃん達が帰ってきた。


「許せないワ!あなた達を倒して見せる!」

「雑魚が何匹いようと同じ事!」


あんまんはゾロゾロと1匹のにくまんちゃんを囲む。

「やっちまえ!」


あんまんは殴りかかる。にくまんちゃんはなすすべなく殴られた体が千切られていく。


「雑魚が調子に乗るからだ!」


粉微塵になったにくまんちゃんをあんまんは踏みつけた。

しかしその踏みつけた体が「ポン」という音と共に下から突き上げられる。体の下にはさっき粉々にしたはずのにくまんちゃんがいた。


「痛いワ。」


「な、なんだってー!」


さらに辺りに散らばるにくまんちゃんの破片からポンポンと音が鳴り続け、ついには周辺をにくまんちゃんで覆いつくしてしまった。


「セブン神の加護『永久生成』よ。」


「雑魚が何匹…増えようと…!」


あんまんはさらに攻撃をするがにくまんちゃんは瞬時に増えるばかり、ついには一斉にペチペチされたまらず一部のあんまんは退却した。


「どけ、俺がやる。」


重い体で地面を引きずる音を鳴らして、森から一回り大きなあんまんが現れた。


セブン神の加護を受けたにくまんちゃんを捕まえて放り投げる。体が千切れなければ増えない。投げ飛ばされたにくまんちゃんは衝撃で目を回し気絶して徐々に数が減っていく。


「次はワタシの出番アルね!。あちょー!」


大きなあんまんの前でぴょんぴょん跳ねるにくまんちゃん。


「お前もぶっ飛ばしてやる!」


捕まみかかろうとする腕をくぐり、下から腕を突き上げる。

相手の前に出ようとする力を利用して放り投げた。


「やったな!」


あんまんもすぐに起き上がり攻撃を繰り返すが、結果は同じ、ひらりとかわされ力と重さを利用して投げられる。

何度も何度も投げられた大きなあんまんは泣いて逃げてしまった。



ゴーゴーワン神の加護を受けたにくまんちゃんもなんかすごいけど特に活躍できそうにないから居眠りしていた。


にく魔神の加護を受けたにくまんちゃん達のおかげでついに、あんまん達を異界に追い出しました。



「ヤッタワ!」「ニックマーン」「にくまんこそ至高の中華まん…」


こうしてにくまワールドはあんまんの脅威から一時的に平和を取り戻しました。


しかし、空間の歪みは消えず、ピザまんちゃんやカレーまんちゃんなど別世界の中華まんちゃんもにくまワールドに遊びにくるようになりましたが、それは別の話し。



あんまんとの戦いはこれからも続くでしょう。



あんまんとの戦いは続くでしょうが物語は続きません。



おわり。


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